花紅柳緑~院長のブログ

京都府京田辺市、谷村医院の院長です。 日常診療を通じて感じたこと、四季折々の健康情報、趣味の活動を御報告いたします。

新たなかたちを作る

2021-10-03 | 日記・エッセイ


いけばな展の会期中は通常連日、作品の手入れが必要である。相手は活物である。前期・後期の各三日間の開催期間中、蕾が開きすぎて全体のバランスが乱れる、室内照明の影響で花の向きが変わる、延命剤を用いても花や葉が萎垂れるなどの事態への対処が求められる。花材の長さや向きを調整し、どれを残して何を新たに加えるか。様々な工夫を凝らし再構築を行えば、異なる風情の新たな花の姿が完成する。それは手元にある限られた食材を組み合わせ、食指が動く惣菜の一品を作り出さんとする思案と似通う。 

昨年度より医学関連の学会や研究会は、ライブ配信・オンデマンド配信が行われるオンライン開催が主流になった。今後も現地とオンラインのハイブリッド開催の方式として、潮流は元には戻らないだろう。そしていけばなを取り巻く環境も大きく様変わりした。大和未生流華展の開催前日、流派のお仲間と切磋琢磨して花を生け込んだ往日を振り返る時、熱閙と静謐が交錯する準備会場のあの一隅に、ふたたびこの身を置きたいと切に思う。