花紅柳緑~院長のブログ

京都府京田辺市、谷村医院の院長です。 日常診療を通じて感じたこと、四季折々の健康情報、趣味の活動を御報告いたします。

薏苡仁(よくいにん)│ハトムギとジュズダマ

2019-10-16 | 漢方の世界

貮 数珠だ満 蕎麦能花│「四季の花」秋之部・壹, 芸艸堂, 明治41年

「薏苡仁」は、ハトムギ、学名Coix lachrymal-jobi L. var ma-yuen Stapfの種皮を除いた成熟種子から得られる生薬である。ハトムギはジュズダマ属、イネ科の一年草で、夏季に穂状花序をつけ茶褐色に結実する。よく似たジュズダマ(数珠玉、川穀)はハトムギの原種で、学名はCoix lacryma-jobi L.である。ハトムギとは異なり花序は垂れ下がらず、また果実は成熟するにつれ苞鞘(花序に腋生する有鞘葉)が固くなり、糸を通して繋げば所謂、数珠玉の形態を示す。
 「薏苡仁」の薬性は、甘、淡、凉、帰経は脾経、胃経、肺経で、効能は利水消腫、滲湿、健脾、除痺、清熱排膿(体内の水湿、痰飲を利尿により取り除き、脾の機能を高め、水腫脹満や小便不利を改善し、筋を緩め関節や筋肉痛を緩和する。熱を冷まして膿を排泄する。)である。配合された方剤には三仁湯、薏苡仁湯、参苓白朮散などがあり、単味は尋常性疣贅(ヒト乳頭腫ウイルスによる”いぼ”)、扁平疣贅(同じくウイルス性疣贅の一種)に有効である。

つなぐとは希望あること数珠玉も     紅加茂 後藤比奈夫