花紅柳緑~院長のブログ

京都府京田辺市、谷村医院の院長です。 日常診療を通じて感じたこと、四季折々の健康情報、趣味の活動を御報告いたします。

夏至の養生

2015-06-22 | 二十四節気の養生


夏至(6月22日)は、二十四節気の第十番目の節気である。昼の長さが一年で最も長く、夜の長さが反対に最も短くなり、陽気の最盛期を迎える一方で、陰気がすでに芽生え始める時期である。気温がますます上昇するとともに雨も多いので、暑熱の気候が湿気と結びついて、五臓のうちで消化系統の働きを司る脾の機能を損ないやすい時期である。五臓の脾、そして表裏関係にある六腑の胃は、相互に密接な関係をもって働くために、「脾胃」とひとつにまとめて称されることが多い。脾胃の働きにより、飲食物から消化吸収した栄養物質や水液を原料として気血津液が作られ、からだの生命活動が維持されている。そのために脾胃は「気血生化の源」、「後天の本」と呼ばれている。雨水で述べた様に、脾の機能が弱ると食欲不振や、倦怠感、腹の膨満感、エネルギーや栄養不良などの全身の気血不足の状態が引き起こされる。また飲食物中の余剰の水液を肺や腎に送って、汗や尿に変えて体外に排出する機能も、「運化水液」とよばれる脾の働きであるので、脾の機能が衰えると水液が体内で滞って湿毒や痰飲と呼ばれる病的物質ができやすくなり、頭痛、めまいやむくみの原因となる。多汗の季節には、酸味のもの(表を引き締める)や塩辛いもの(心を補う)を多くとることが薦められるが、夏の食事は基本的にはあっさりと薄味が良い。熱性食品の摂取、冷飲食、油脂の多い食事は、体内に熱を生じたり、脾胃の機能を損なう恐れがある。

草深く 荒れたる宿の ともしびの 風に消えぬは ほたるなりけり    和漢朗詠集、蛍、詠み人しらず