東郷平八郎に学ぶ 第2部
紘一郎雑記張
連合艦隊解散の辞
この文章は様々な形式で各国に翻訳された。なかでも米国のセオドア・ルーズベルトは大変な感銘を受け、英訳文を全米の海軍将兵に配布したほどである。
この訓示には「過去の歴史や教訓から学ぶ大切さ」や「平素の鍛錬の大切さ」「油断大敵」など、今にも通じる大切な教訓の数々が簡潔に分かりやすく書かれていると思う。中でも「危機管理に対する心構え」が鮮明に表現されている。
長文になるのでここでは一部分だけを抜粋する。
「軍人が太平に安心して、目前の安楽を追うならば、兵備の外見がいかに立派であっても、それはあたかも、砂上の楼閣のようなものでしかなく、ひとたび暴風にあえば、たちまち崩壊してしまうであろう。まことに心すべきことである。・・・神は平素ひたすら鍛錬につとめ、戦う前に既に戦勝を約束された者に、勝利の栄冠を授けると共に、一勝に満足し、太平に安閑としている者からは、ただちにその栄冠を取上げてしまうであろう。昔のことわざにも『勝って兜(かぶと)の緒(お)を締めよ』とある」
この部分だけからも、危機管理に対する心構えが読みとれると思う。何も軍人だけのことではなく、現代の国家の危機管理もしかり、企業もしかり、人もしかり、全ての組織、人に当てはまるものではないかと思う。
先人が命がけで国を護り、そして残してくれた文章である。今一度この訓示から学び今後に活かしていきたいと思う。