中爺通信

酒と音楽をこよなく愛します。

燃えよ剣

2020-01-11 22:08:03 | 読書
 本を良く読みますが、それは現実から離れるためなので、実用書は読みません。同じ理由で、ノンフィクションも手に取らない。山形では「ドキュメンタリー映画祭」が隔年で催されますが、申し訳ないですが観に行ったことはない。物語はフィクションだからこそ、作家の世界観がそのまま現れると思うのです。

 似たような理由で、歴史小説もほとんど読まずに来ました。好きな人は、「こんな人が実際にいたのだ、と思えばこそ入り込める」と言いますが、私はあまりその必要性を感じない。芸術における「リアリティー」は、それが本当にあったかどうかではなくて、訴えかけているものの「切実さ」だと思うからです。史実と芸術は両立しないし、させる必要もない。


 そんなふうに思って敬遠してきた司馬遼太郎を、この冬休みに読みました。…「燃えよ剣」。新選組の土方歳三を主人公にした名作ですね。

 理由は特にありません。ただ、私の知り合いに、土方歳三と髪型が似ている人がいるというだけ。これも何かの縁かなと。

 ということで、読んでみた結論から言うと…

…激しく感動しました。「男の生きざま」をとくと見たような気がします。創作も入っているのでしょう。小説としても実に面白い。充分に「芸術」と呼べるものです。

 個人の力ではどうしようもない歴史のはざまで、必死にもがくしかない人間のありようは涙を誘います。こういう時代を生きた人が、モーツァルトやベートーヴェンよりもはるかに歳下だというのも信じられない。


 高校の修学旅行で五稜郭に行った時、興奮している友達がいたのを思い出しました。その気持ちが少しわかったような気がします。

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