中爺通信

酒と音楽をこよなく愛します。

きめつ

2020-05-30 23:59:00 | 読書
最近話題の「鬼滅の刃」について、語ってみることにいたしましょう。

 「キメツ」…なんだかよく耳にするけど、「それって何?」と訊くほどの興味も無いし、ましてや「検索してみよう」という気も起こらない。でも、教えようというなら聞いてやっても良いかなという、そこのアナタ!そんなあなたのために、語ります。…娘に借りて、まだ3巻までしか読んでいない私ですが。


 ひと言で要約するなら、「鬼退治」の話です。大正時代の地方では時々、鬼が現れては人間を襲って食べていたらしい。みんな困っているわけですが、一般人には鬼を退治することができないので、その専門の職人みたいなのがいた。その人達は特殊な訓練を受け、特別な武器である「鬼滅の刃」を持っている。そんな時代、鬼によって家族を殺された少年が、努力してその職人になり鬼を倒し妹を救おうとする話です。

 …ありがちなのに、なんで人気が出るのか?

 「鬼」と言っても、いろんな種類がたくさんいて、えらい鬼は姿を変えられる。かわいい少年だったり。それが狂気たっぷりで襲いかかってくるから面白い。ゲゲゲの鬼太郎のバージョンアップみたいな感じをイメージしてください。

 しかし、きわめて醒めた分類をすれば、妖怪相手の、わかりやすいバトル系ビルドゥングスロマン。このジャンルはいつになっても人気があるし、「連載向き」ですね。「鬼滅」もオーソドックスな作品だと思います。似たようなのは昔からたくさんある。…それなのに、なぜヒットするのか?

 …私が思うに、現代ではみんな、過去の作品を読まないんですね。「いま流行っているから」はじめて手に取るわけです。

 芸術に限らず、創作の分野では「過去にないものを創り出そう」と、みんなが必死で頑張るわけですが、現代ではその必要はないかもしれませんね。焼き直しでは、コンクールに通らないし、業界の人からは評価されないでしょう。しかし、ヒットするしないは、過去の作品を全く読んでない若い人たちが決めることなのです。

 皮肉を言っているつもりはありませんが、現代はやはり大量生産・大量消費の世の中。過去の名作は図書館にあっても誰も読まない。劣化を恐れずに、どんどん積極的に焼き直していくことも、人類の「智」の財産を遺してゆくために今、必要なことなのかなと思います。


 ベートーヴェンの音楽をカッコよくロックンロールにアレンジしてボカロに絶叫させるとか、そういうこともあって良いんです。ヒットさえしてくれれば。「…こんなのは音楽じゃねえっ!」と、ちゃぶ台をひっくり返す感性は、むしろ後世にとってマイナスなのかなと。

 ある意味「伝統芸能」の世界に生きている私たちですが、新しい在り方、というものを考える必要があるのかなと、思ったりするのでした。

コメント (4)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 再開へ | トップ | 新しい生活様式 »
最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (librarian)
2020-06-02 13:49:40
鬼滅、娘もすっかりハマっているようで「まずアニメ観て!そして秋に公開される映画一緒に行こう!」と言われ家に籠もっている間に観ました。全26話。コミックでいうと7巻くらいまでらしいです。
その続きが映画になり、さらにアニメ第2シーズンへと繋がっていくようです。
絵が綺麗だったしまあまあ面白かったですが、そこまでとは…
何が大変ってまず登場人物の名前が覚えられない。まあこれもヒットの一つの要因かもしれませんが。
返信する
Unknown (中爺)
2020-06-02 22:04:52
>librarianさん
 ありがとうございます。やはり…「鬼滅」にハマってない若者を探す方が難しいようですね。
 私たちの世代にとっては「どろろ」で充分なような気がしますが、もっと昔の人なら「八犬伝」と言うかも知れませんし、そこはまあ、時代ですね。
返信する
Unknown (futaba)
2020-06-03 21:34:53
アニメはドハマりました・・いい年して・・
しかし中島くんの口から鬼滅が出るとは!!
漫画の方は読んでないのですが、アニメは画面が凝っていてなかなか良いですよ!ぜひ!
返信する
Unknown (中爺)
2020-06-04 21:56:26
>futabaさん
 ありがとうございます。私は娘にマンガを借されなかったら触れることは無かったと思います。futabaさんはそういうアンテナもあるんですね。尊敬します。
 流行っているものには、それなりの理由があるものです。焼き直しであったとしても、その時代を映しているので、見てみる価値は必ずありますね。
返信する

コメントを投稿

読書」カテゴリの最新記事