中爺通信

酒と音楽をこよなく愛します。

六根浄(前編)

2012-07-16 09:28:28 | お酒の話し(山形県)
 (今日の「お酒の話」は、ややディープな酒論が展開されますので、興味の無い方や禁酒中の方にはおすすめできません。)


 「伊右衛門」のCMの雰囲気は良いですね。モックンと宮沢りえの、やたらと清潔感のある夫婦。亭主は「より旨いお茶」を探す(調合するのか?単なる仲買人なのか?栽培するわけではないみたい)という、よくわからない事に心血を注ぎ、それを遠くから貞淑な妻がじっと支えている。何をやっているのかは不明だが、「お茶の味」一筋に打ち込む、職人のような芸術家のような真摯な姿には、わけもなく好感が持てます。

 「茶道」というとお作法ですから違いますが、そういう、茶の味の「道」みたいなものは無いんでしょうかね?

 日本酒にはあります。作法とは無関係の、まさに酒の味の道、「酒道」ともいうべき道の達人こそが、杜氏でしょう。単なる「生産者」とは違います。できあがった酒は、杜氏の「酒道」、つまり酒に対する美意識や、それを世に問うメッセージが込められています。


 ということで、山形は天童の水戸部酒造「六根浄」。・・・珍しい酒を戴きました。私のこのつまらない酒評を読んで下さっている方から、「好みに合うと思います」と。なんともありがたいことです。しかしこれがとんでもない「挑戦状」だと、飲んでみてわかりました。

 水戸部酒造は「山形正宗」という銘柄で有名な蔵で、その作風は私の印象では、酸が強めの「男酒」です。線が太くて、くっきりばっさり・・・「正宗」という名がふさわしい。さらに言えば、大河ドラマ「平清盛」が持ってる刀みたいな感じ。もちろん変な臭みや刺激があるという意味ではありません。「純米酒」らしい、米だけで描いた「一筆書き」のような、素朴で純度の高い酒を造る蔵です。

 そこの蔵に特別に造らせたのが、この「六根浄」だそうです。酒通というより酒道の達人のような、酒店の店主が監修して、「これぞ純米酒」というものを作り上げた逸品だと。

 その割には、精米歩合は60%。価格も安い。逆に、みなぎる「自信」を感じます。

 さて開栓。

 ・・・これが、「酒を味わうということ」の根本的な意義を、自分に問い直す体験になりました。

 (と、期待を持たせて、次回につづく。・・・申し訳ない。勿体つけているわけではなくて、今日午後からのリハの前に、少しはマーラー「復活」を練習をしなくてはならないので・・・)
コメント (2)
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