同じ「うん、良いよ」でも
「うん、良いよ」(原幹恵)
「うん、良いよ」(鳥居みゆき)
とするとイメージがまったく違いますね。
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前回の続きです。
日曜夜の終電間際の大阪駅は寂しい。土日の喧騒が砂にしみこむ水のように消えている。
「あ、夕食を採っていなかった」
僕は大阪駅構内のコンビニで弁当を買った。そして駅のホームでそれを開き、ベンチに座ってモソモソとそれを食した。
向かいのホームにはまだ人が残っていた。この人たちはこれから家へと向かうのだろう。僕はこれから客先に行くというのに…。弁当を食べるとホームに一匹の猫が通り過ぎた。
地方ならまだしも大阪駅のホームに猫?ふと周りを見渡すと深夜特急を待つ乗客が集まり始めていた。そして目の前には、白いヒラヒラのワンピースを着た女の子と、ヨボヨボのスーツを着た男性がいた。男性は女の子の肩をしっかりと抱いている。女の子は足が悪いのか片足に金属でできたギブスのような物をはめ込んでいた。それがスカートから覗いている。なんか幻想的。大槻ケンジの世界観に迷い込んだ感じだ。やがて列車が15分送れて到着した。サンライズ瀬戸号は全室指定の個室になっている。僕の指定券には10号車の16と刻まれている。
しかし列車に乗り込み10号車の16と書かれた部屋の前に行くと扉が閉まっていた。初めての深夜特急なので勝手が分からない。扉にはレバーがついたスライド式なのだが、どうやっても開かない。他の乗客は自分の部屋を見つけて入っていく。力任せにレバーをスライドしようとしても、まったく動かない。もしかして扉の横についているボタンに何か入力するのだろうか。
扉の説明書きを見るとパスワードを入力するように書かれている。パスワード?そんなの聞いていないけどな…。乗車券をチェックしてみてもそれらしきものは書いていない。もしかして誰かが間違えて入っているのではなかろうか?力を込めて再度レバーに両手をかけてオリャーとしたら、中からガチャリという音がして扉が開いた。
「入ってますよ~」
中には人がいた。30歳前後の兄ちゃんだ。グラマラスボディの女性が乗っていれば良かったのに!!
「あれ、すみません。乗車券あってますか?僕はこの客室で予約してあるんですけど」
「いいや私もこの客室ですよ。10号車の16番ですよね。出雲から乗ってるんですけど」
あっている。しかし僕の乗車券にも10号車の16番と書かれている。
「ちょっと乗車券見せてもらって良いですか?」
兄ちゃんが言うままに乗車券を渡した。僕の乗車券はさっきみどりの窓口で買ったばかりのものだ。絶対的な自信がある。
「あれやっちゃいましたね~」
兄ちゃんが言った。それに対して僕。
「そうでしょう。やっぱり間違ってたでしょう。違う客室でしたか?」
「いいや、違いますよ。お兄さんのチケットは明日の分ですよ」
んなわけない。
「え、日にち違いますか?」
「だって今日は5月11日ですよ。これは明日のチケットじゃないですか」
5月11日は日曜日の話。今の日時を正確に言うと5月12日の1時前、月曜日だ。
「いえいえ、違いますよ。この列車が大阪を出発するのは、日付を超えた5月12日です」
「え、今日って11日じゃないですか?11日は日曜日ですよね」
僕は携帯のカレンダーを見せながら説明した。
「日曜日は11日ですが、たった今は12日で月曜日です。そして僕の乗車券は12日に大阪を出発することになっています」
「あれー、僕はJRの人に日曜日の夜に出発するチケットで予約したんだけどな~」
その時、隣の車両から車掌が訪れた。
「すみません、チケット見てもらって良いですか」
僕は兄ちゃんからチケットを返してもらい車掌に渡した。
「ああ、この客室はお客様の部屋ですね」
ガッツポーズ!しょげる兄ちゃん。兄ちゃんはすでにすっかりくつろぎモードのラフな格好で本を片手にワインを飲んでいた。どんだけウキウキな小旅行なんだよ。
「ええ、僕は日曜日の夜に出雲を経つってチケットを買ったんですよ。これは駅員のミスですよ」
と彼は言うと車掌さんはフムフムと頷き、僕にこう言った。
「じゃあお客様は20号室でよろしいですか?そちらが空いておりますので」
「ああ、良いですよ」
すでに人が使った部屋を使いたくはない。
「どうもすみませんね」
「いえいえ良いんですよ」
と言って20号室に行ったが一瞬で後悔した。駄々をこねて高い部屋に変えてもらえば良かった~。
つづく。
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父の日のプレゼントに買っちゃいなよ。
ノーブランド シルバーアクセサリーショップ 銀ピカ.com
「うん、良いよ」(原幹恵)
「うん、良いよ」(鳥居みゆき)
とするとイメージがまったく違いますね。
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前回の続きです。
日曜夜の終電間際の大阪駅は寂しい。土日の喧騒が砂にしみこむ水のように消えている。
「あ、夕食を採っていなかった」
僕は大阪駅構内のコンビニで弁当を買った。そして駅のホームでそれを開き、ベンチに座ってモソモソとそれを食した。
向かいのホームにはまだ人が残っていた。この人たちはこれから家へと向かうのだろう。僕はこれから客先に行くというのに…。弁当を食べるとホームに一匹の猫が通り過ぎた。
地方ならまだしも大阪駅のホームに猫?ふと周りを見渡すと深夜特急を待つ乗客が集まり始めていた。そして目の前には、白いヒラヒラのワンピースを着た女の子と、ヨボヨボのスーツを着た男性がいた。男性は女の子の肩をしっかりと抱いている。女の子は足が悪いのか片足に金属でできたギブスのような物をはめ込んでいた。それがスカートから覗いている。なんか幻想的。大槻ケンジの世界観に迷い込んだ感じだ。やがて列車が15分送れて到着した。サンライズ瀬戸号は全室指定の個室になっている。僕の指定券には10号車の16と刻まれている。
しかし列車に乗り込み10号車の16と書かれた部屋の前に行くと扉が閉まっていた。初めての深夜特急なので勝手が分からない。扉にはレバーがついたスライド式なのだが、どうやっても開かない。他の乗客は自分の部屋を見つけて入っていく。力任せにレバーをスライドしようとしても、まったく動かない。もしかして扉の横についているボタンに何か入力するのだろうか。
扉の説明書きを見るとパスワードを入力するように書かれている。パスワード?そんなの聞いていないけどな…。乗車券をチェックしてみてもそれらしきものは書いていない。もしかして誰かが間違えて入っているのではなかろうか?力を込めて再度レバーに両手をかけてオリャーとしたら、中からガチャリという音がして扉が開いた。
「入ってますよ~」
中には人がいた。30歳前後の兄ちゃんだ。グラマラスボディの女性が乗っていれば良かったのに!!
「あれ、すみません。乗車券あってますか?僕はこの客室で予約してあるんですけど」
「いいや私もこの客室ですよ。10号車の16番ですよね。出雲から乗ってるんですけど」
あっている。しかし僕の乗車券にも10号車の16番と書かれている。
「ちょっと乗車券見せてもらって良いですか?」
兄ちゃんが言うままに乗車券を渡した。僕の乗車券はさっきみどりの窓口で買ったばかりのものだ。絶対的な自信がある。
「あれやっちゃいましたね~」
兄ちゃんが言った。それに対して僕。
「そうでしょう。やっぱり間違ってたでしょう。違う客室でしたか?」
「いいや、違いますよ。お兄さんのチケットは明日の分ですよ」
んなわけない。
「え、日にち違いますか?」
「だって今日は5月11日ですよ。これは明日のチケットじゃないですか」
5月11日は日曜日の話。今の日時を正確に言うと5月12日の1時前、月曜日だ。
「いえいえ、違いますよ。この列車が大阪を出発するのは、日付を超えた5月12日です」
「え、今日って11日じゃないですか?11日は日曜日ですよね」
僕は携帯のカレンダーを見せながら説明した。
「日曜日は11日ですが、たった今は12日で月曜日です。そして僕の乗車券は12日に大阪を出発することになっています」
「あれー、僕はJRの人に日曜日の夜に出発するチケットで予約したんだけどな~」
その時、隣の車両から車掌が訪れた。
「すみません、チケット見てもらって良いですか」
僕は兄ちゃんからチケットを返してもらい車掌に渡した。
「ああ、この客室はお客様の部屋ですね」
ガッツポーズ!しょげる兄ちゃん。兄ちゃんはすでにすっかりくつろぎモードのラフな格好で本を片手にワインを飲んでいた。どんだけウキウキな小旅行なんだよ。
「ええ、僕は日曜日の夜に出雲を経つってチケットを買ったんですよ。これは駅員のミスですよ」
と彼は言うと車掌さんはフムフムと頷き、僕にこう言った。
「じゃあお客様は20号室でよろしいですか?そちらが空いておりますので」
「ああ、良いですよ」
すでに人が使った部屋を使いたくはない。
「どうもすみませんね」
「いえいえ良いんですよ」
と言って20号室に行ったが一瞬で後悔した。駄々をこねて高い部屋に変えてもらえば良かった~。
つづく。
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父の日のプレゼントに買っちゃいなよ。
ノーブランド シルバーアクセサリーショップ 銀ピカ.com
下手すると逆上して暴力振るわれたりとか
ありがちですからね。
てか、切符の日付、私もよく分かりませんね。
出雲から乗った時は11日だったんじゃないんですか??
・・・頭が混乱してきたw
買った人も日付をちゃんと確認すればよかった。