朝礼の話題

見たり読んだりして、感じたことを朝礼で話しています。この頃は仕事の話は少なくなりました。

量が質に変わる

2005-05-18 12:30:33 | 老化防止
 「いい文章が書ける修行はありませんか?」と小田島弘さん(当時リコー理事)にお尋ねしたところ、「書くことですよ。書き続けていますと量が質に変わるのです。私もそう信じて書き続けています」とお答えいただきました。
 「素晴しいアドバイスだ」と感激し、「私は下手でもいつかは上手くなれる」と書き続けています。
 【量から質】という表現は、作文のことだけでなく、総ての物事の進歩を言い表していて、考えるときのキーワードになると思いました。

 尊敬する日下公人さんの新著の題は、「【質の経済】が始まった」です。
 バブル以前の経済は量の経済であったが、はじけた後は次元が変わり、質の経済として日本は世界をリードして行く と言っています。

● 大量生産から多品種少量生産への変貌
● 青年時代の大食漢がグルメに変身する老年期
● 第二次大戦の絨緞爆撃からイラクのピンポイント爆撃
● 戦前の子沢山から現在の少子化
量が質に変わるのは、ほかにも沢山例がありそうです。

田中真澄先生は「しつけ三原則」の講演でこんな話をなさいます。
1・2・4・8・16・32・64・・・・・・・・・・100万・200万・400万・・・・・・・・・・
と毎日2倍に増えていくとき、それを1目盛 100万でグラフに描きますと最初のうちはまったく低空飛行で変化は見えません。何日か何ヶ月か経ってその数字が100万を超えるようになりますとグラフは急に上昇します。
 人の知識・経験・商売など努力を続けても中々成果は見えません。
 努力を続け、ある限度を超えると、このグラフのように、どんどん伸びるのです。「こつ・こつ・こつ・・・・・・・・」と結果は出ないでも努力を続けていると、ある時から「びゅう・びゅう・びゅう」と上昇トレンドに乗るのです。

 知識が増えること、勉強・観察・経験 など頭脳活動を考えてみますと、これはすごいことになります。
 人間の脳は見る事・感じるもの(痛い・熱い・甘い・美味しい など)など一つ一つ全部記憶しているそうです。記憶は脳細胞のシナプスという突起の接点に蓄えられているそうです。
 脳細胞が5個あるとすれば、その接点の数は5x4x3x2x1=120です
 同じく  6個ならば、その接点の数は  6x5x4x3x2x1=720   
       7個ならば            7x6x・・・・・・・・・=4320
というように2倍ずつ増えるのとは比べ物にならないほど増えていきます。
 この時の増加は単なる量の増大というものではなく、データの処理の方法も変わり、まったく次元の違うものとなり、これが【量から質】への転換と言われるものと思います。 そして人間の脳細胞の数はものすごい量ですから、自分の脳の10%も使っていないと言われています。

 私たち、いわゆる老年は若い人とは次元の違う知識があり、感じかたも違う。自分がその域にあるのに、若い者と同じように感じないのは可笑しいなどと決め付けると、どこかで変調をきたすことになりそうです。
 即ち、貯金はいっぱいあるのに、キャシュ・カードの番号を忘れてお金をおろせず、貧乏暮らししているようなものでしょう。

佐伯泰英さんという北九州市出身の作家がいます。時代小説を毎週一冊それも300頁くらいある本格的なものです。いずれテレビドラマになり、藤沢周平のように大ブレークする作家です。もう100冊ぐらいあり、この量は素晴しい、そして質も上々で、作品に厚みもあり粗製乱造では決してありません。量と質を兼ね備えた平成の直木賞作家と呼ばれるようになるでしょう。

直木賞を貰うと宮部みゆきも大沢在昌も作品数が少なくなりました。題材もオカルトものになり残念です。【新宿鮫】のあのダイナミックな人物描写がなくなり、主人公も魅力がなくなりました。量のないものは質を維持できないように感じます。

 私たち昭和13年生まれも、爺さん婆さんになったといじけることなく、量でいきましょう。 3年5年続けていれば、量が質にかわりいい成果がでます。
 1-2-6-24-120-720-4320と飛躍する時今日は昨日の延長ではない。明日は今日の延長ではなく、次元の違う世界・階段を一段上がった位置にあると考えよう。
 階段を上らず、その位置に留まれば、あとから昇ってくる人に追い抜かれます。

 今年の長者番付1位は納税額30億円ですって!!
 次元の違う人はいるのです。  彼も初めは、こつこつ努力したんでしょうね。!

 萩本欽一と山口もえ がスペインで邸宅をかまえる成功者を訪問する番組がありました。「どういうふうにして財産を作られたのですか?」と山口もえ がききます。彼は「一番最初はサッカーくじにあたり資金を得ました」と言っていました。
 こつ・こつ・こつ と買い続けたから当たったのでしょうね!
 なにかをこつ・こつ・こつ とやりつづけましょう!!