乳酸菌革命 2010/02/26 モンゴル出身の金鋒(ウラン・トガ)教授 著 評言社 \1200
SARSが流行っていた2003年、広州の養豚場で、病気が発生し、豚の死亡率は70%に及び手の施しようもなく、金鋒先生に助けが求められました。
金鋒博士は、乳酸菌による治療の実験をしました。
汚れのひどい農場で、1km離れた場所からでも養豚場があることが分かるほど臭いが酷いところだったそうです。
内モンゴルで採取された乳酸桿菌を使用し、飼料に混入し、水にも混ぜ、豚舎内外に噴霧しました。
わずか2~3週間で病気が治りだしました。最終的には自然死亡率といえる5%まで低下し、加えて、病気が治るだけでなく、その豚の肉を食べると皆一様に驚きました。これまでの肉よりはるかに美味しかったのです。
さらに不思議なことは、乳酸菌を与えた豚の行動でした。豚舎で人間が豚に近づくと、ふつう豚は大騒ぎして一目散に人間から遠ざかろうとして、一番遠い隅っこに山なりになってしまいます。ところが、乳酸菌を与えた豚はとてもおとなしくなり、人間が入っていってもほとんど気にする様子もなくじっとしています。わずかに眼を開けて見るくらいなのです。
養豚場にセーターを着て入ると2回洗濯しても匂いがとれないのですが、この実験場では、セーターで入っても誰も気付かないほど匂いが付きません。
とくに冬場は、保温のために豚舎の窓を閉めたほうがいいのですが、現実は窓を開けて臭いを外に出さないと豚が中毒になってしまいます。でもこの実験場では窓を閉めても大丈夫でした。豚同士で喧嘩をすることもなくじっとしているそうです。
当初糞尿処理場を創ろうと計画していましたが、全く臭いがしなくなったので、近所の農家が豚糞を買いに来て、処理場は不要になりました。
この豚糞を使ってエビや魚の養殖をすると、水を汚染することもなく、水産動物の成長が早くて病気にもならなかったそうです。
日本の食肉研究センターに豚肉を送って成分の分析調査をして貰いました。
検査担当の人が「これは、どこの肉ですか?」と何度も訊くので「どうしてそんなことを訊くのですか?」と逆に訊くと「生肉としては、こんないい肉を今までみたことがないので」言われました。
日本の通常の豚肉は、タンパク質が10.05%であるのに対し、21.68%
もありました。美味しさをつくるイノシン酸は、日本の標準豚肉が0.009%,
鹿児島の黒豚が0,04%に対しその4倍以上の0.17%だったのです。
金鋒先生はなぜ肉が美味しくなるのか? どうして豚が喧嘩をしなくなるのか? なぜ豚舎が匂わなくなるのか?を研究しました。
臭い物質は硫化水素やアンモニアです。一方これらはアミノ酸の原料でもあります。乳酸菌を与えた豚は、硫化水素などを糞尿として出してしまわずに、キチンと消化して肉にしているのです。
人間の細胞数は60兆個あるといわれています。同時に人間と共生している微生物の数はその100倍にもなります。この事実は、他のすべての生命体も同じと考えて間違いありません。微生物の中にはバクテリアもあるし、ウイルスもあります。通常バクテリアは人間の表面しか分布しない微生物です。ウイルスは人間の組織や細胞内部に入れる微生物です。
すべての生命は共生共存の関係があります。人間はふだん自分が依存する生命体、つまり環境をつくる森や食料を与えてくれる植物、タンパク質を得る動物のことしか頭に入っていません。しかし、もっとも大事なことは、人間の体の表面に微生物を付ける必要があるということです。
私達の空気の入り口である鼻から肺まで、食べ物の入り口である口から出口の排泄口まで、外耳から中耳まで、外生殖道から子宮頚まで、想像できないほどの量のバクテリアが分布しています。
口から肛門までの消化道も人間の表面といえますが、肌はもちろん、呼吸道、生殖道、目、耳も全部人間の表面です。人間の表面を守るというのは、表面が汚れず、腐食されないということだと理解すればいいのです。
机や家具などには、木の表面を汚さないために、塗料が塗られます。金属も錆を防ぐためにペンキなどでコーティングしなければなりません。
人間も全く同じで、身体の表面ヲバクテリアでコーティングしないと身体を守ることが出来ないのです。そのバクテリアの状態をベストに保てばもっと人間は健康になれるのです。逆にそれが出来なければ、いろんな雑菌が繁殖して感染しやすくなります。
実験場の豚は乳酸菌のコーティングで、健康を保ち、病気も治癒したのです。
どんなに賢い人でも、ある物が食べられるか?食べられないか?は頭脳で判断出来ません。一方で、食べて消化道に入ったら、それが安全か安全でないかは、消化道の神経細胞が判断出来ます。人間にとって安全な物でないと、すぐ吐き出したり下痢したりして、なるべく早く人間の体を中毒にさせないための反応を起こします。
ほとんどの人が知らないのですが、人間の第二の脳である消化道には、大脳の中に匹敵するほどの数の神経細胞(ニューロン)があるのです。
ニューロンは「考える細胞」と言われます。これまでは、考えると言えば、学者でも頭のことしか思い浮かびませんでした。じつは腸の思考力は、頭脳の及ばないものを持っているのです。
消化道は消化の目的だけで働くのというのが、一般的な考え方です。しかし実際は、人間の感情や気持ちなどを決定する化学物質はほとんど腸の中でつくられます。腸の中で、食べ物から、人間の幸せと愛情の感覚を維持するセロトニンとドーパミンの前駆体を合成します。
フロリダ州立大学のブランドン・アラゴナ博士はハタネズミの研究から、ドーパミンは幸せを記憶する物質と分かりました。幸せというのは心地よい記憶ということです。他人のいいところを覚えている物質でもあります。
セロトニンも、幸せや良い気分、働く気持ちをつくる物質です。セロトニンが足りないと疲れやすく、集中力が持続しなくなります。
ドーパミンやセロトニンは、自分の想像を超えるような精神的ショックがあると、身体から一挙に少なくなってしまいます。人間の精神的なキャパシティというのは、ここで決まります。
2000年のノーベル賞はカールソン博士がドーパミンの研究で受賞しました。
博士の研究では、ドーパミンは神経の電子伝導物質として認識され人間の脳の性欲、感覚、興奮のメッセージを伝える機能を持ちます。人間が好きになって止められないものを記憶する物質です。麻薬や酒・煙草を止められないのもドーパミンが関係しています。それと同じように、ドーパミンによって、愛情も深く記憶されるのです。好きなものを長く忘れずいつもパートナーを思い出して、他の誘いを抑えることが出来る物質ともいえます。逆にドーパミンが足りないと、愛情とセックスのパートナーを分離出来るかもしれません。
ドーパミンやセロトニンの合成は、食べ物とバクテリアで決まります。
自殺・うつ病・自閉症の人の特徴は、好きなものばかり食べて、乱れた食生活になっている場合が多いのです。
実験場の豚が、喧嘩をせず、人間にも反発しないのは、乳酸桿菌の作用でドーパミン・セロトニンの産生が多くなったのがその理由と考えられます。
中国は、モンゴル系の王朝に征服された期間が長く、遼・元・金・清は、万里の長城の北方の民族です。征服王朝の原動力は、この乳酸桿菌ではないか?
漢民族の中で征服王朝が堕落したのは、乳酸桿菌を失う生活になったからではないだろうか? ジンギスカンもヌルハチも乳酸桿菌で武装し、ドーパミン・セロトニンを多く保ち、愛情深い指導者だったと想像できます。
SARSが流行っていた2003年、広州の養豚場で、病気が発生し、豚の死亡率は70%に及び手の施しようもなく、金鋒先生に助けが求められました。
金鋒博士は、乳酸菌による治療の実験をしました。
汚れのひどい農場で、1km離れた場所からでも養豚場があることが分かるほど臭いが酷いところだったそうです。
内モンゴルで採取された乳酸桿菌を使用し、飼料に混入し、水にも混ぜ、豚舎内外に噴霧しました。
わずか2~3週間で病気が治りだしました。最終的には自然死亡率といえる5%まで低下し、加えて、病気が治るだけでなく、その豚の肉を食べると皆一様に驚きました。これまでの肉よりはるかに美味しかったのです。
さらに不思議なことは、乳酸菌を与えた豚の行動でした。豚舎で人間が豚に近づくと、ふつう豚は大騒ぎして一目散に人間から遠ざかろうとして、一番遠い隅っこに山なりになってしまいます。ところが、乳酸菌を与えた豚はとてもおとなしくなり、人間が入っていってもほとんど気にする様子もなくじっとしています。わずかに眼を開けて見るくらいなのです。
養豚場にセーターを着て入ると2回洗濯しても匂いがとれないのですが、この実験場では、セーターで入っても誰も気付かないほど匂いが付きません。
とくに冬場は、保温のために豚舎の窓を閉めたほうがいいのですが、現実は窓を開けて臭いを外に出さないと豚が中毒になってしまいます。でもこの実験場では窓を閉めても大丈夫でした。豚同士で喧嘩をすることもなくじっとしているそうです。
当初糞尿処理場を創ろうと計画していましたが、全く臭いがしなくなったので、近所の農家が豚糞を買いに来て、処理場は不要になりました。
この豚糞を使ってエビや魚の養殖をすると、水を汚染することもなく、水産動物の成長が早くて病気にもならなかったそうです。
日本の食肉研究センターに豚肉を送って成分の分析調査をして貰いました。
検査担当の人が「これは、どこの肉ですか?」と何度も訊くので「どうしてそんなことを訊くのですか?」と逆に訊くと「生肉としては、こんないい肉を今までみたことがないので」言われました。
日本の通常の豚肉は、タンパク質が10.05%であるのに対し、21.68%
もありました。美味しさをつくるイノシン酸は、日本の標準豚肉が0.009%,
鹿児島の黒豚が0,04%に対しその4倍以上の0.17%だったのです。
金鋒先生はなぜ肉が美味しくなるのか? どうして豚が喧嘩をしなくなるのか? なぜ豚舎が匂わなくなるのか?を研究しました。
臭い物質は硫化水素やアンモニアです。一方これらはアミノ酸の原料でもあります。乳酸菌を与えた豚は、硫化水素などを糞尿として出してしまわずに、キチンと消化して肉にしているのです。
人間の細胞数は60兆個あるといわれています。同時に人間と共生している微生物の数はその100倍にもなります。この事実は、他のすべての生命体も同じと考えて間違いありません。微生物の中にはバクテリアもあるし、ウイルスもあります。通常バクテリアは人間の表面しか分布しない微生物です。ウイルスは人間の組織や細胞内部に入れる微生物です。
すべての生命は共生共存の関係があります。人間はふだん自分が依存する生命体、つまり環境をつくる森や食料を与えてくれる植物、タンパク質を得る動物のことしか頭に入っていません。しかし、もっとも大事なことは、人間の体の表面に微生物を付ける必要があるということです。
私達の空気の入り口である鼻から肺まで、食べ物の入り口である口から出口の排泄口まで、外耳から中耳まで、外生殖道から子宮頚まで、想像できないほどの量のバクテリアが分布しています。
口から肛門までの消化道も人間の表面といえますが、肌はもちろん、呼吸道、生殖道、目、耳も全部人間の表面です。人間の表面を守るというのは、表面が汚れず、腐食されないということだと理解すればいいのです。
机や家具などには、木の表面を汚さないために、塗料が塗られます。金属も錆を防ぐためにペンキなどでコーティングしなければなりません。
人間も全く同じで、身体の表面ヲバクテリアでコーティングしないと身体を守ることが出来ないのです。そのバクテリアの状態をベストに保てばもっと人間は健康になれるのです。逆にそれが出来なければ、いろんな雑菌が繁殖して感染しやすくなります。
実験場の豚は乳酸菌のコーティングで、健康を保ち、病気も治癒したのです。
どんなに賢い人でも、ある物が食べられるか?食べられないか?は頭脳で判断出来ません。一方で、食べて消化道に入ったら、それが安全か安全でないかは、消化道の神経細胞が判断出来ます。人間にとって安全な物でないと、すぐ吐き出したり下痢したりして、なるべく早く人間の体を中毒にさせないための反応を起こします。
ほとんどの人が知らないのですが、人間の第二の脳である消化道には、大脳の中に匹敵するほどの数の神経細胞(ニューロン)があるのです。
ニューロンは「考える細胞」と言われます。これまでは、考えると言えば、学者でも頭のことしか思い浮かびませんでした。じつは腸の思考力は、頭脳の及ばないものを持っているのです。
消化道は消化の目的だけで働くのというのが、一般的な考え方です。しかし実際は、人間の感情や気持ちなどを決定する化学物質はほとんど腸の中でつくられます。腸の中で、食べ物から、人間の幸せと愛情の感覚を維持するセロトニンとドーパミンの前駆体を合成します。
フロリダ州立大学のブランドン・アラゴナ博士はハタネズミの研究から、ドーパミンは幸せを記憶する物質と分かりました。幸せというのは心地よい記憶ということです。他人のいいところを覚えている物質でもあります。
セロトニンも、幸せや良い気分、働く気持ちをつくる物質です。セロトニンが足りないと疲れやすく、集中力が持続しなくなります。
ドーパミンやセロトニンは、自分の想像を超えるような精神的ショックがあると、身体から一挙に少なくなってしまいます。人間の精神的なキャパシティというのは、ここで決まります。
2000年のノーベル賞はカールソン博士がドーパミンの研究で受賞しました。
博士の研究では、ドーパミンは神経の電子伝導物質として認識され人間の脳の性欲、感覚、興奮のメッセージを伝える機能を持ちます。人間が好きになって止められないものを記憶する物質です。麻薬や酒・煙草を止められないのもドーパミンが関係しています。それと同じように、ドーパミンによって、愛情も深く記憶されるのです。好きなものを長く忘れずいつもパートナーを思い出して、他の誘いを抑えることが出来る物質ともいえます。逆にドーパミンが足りないと、愛情とセックスのパートナーを分離出来るかもしれません。
ドーパミンやセロトニンの合成は、食べ物とバクテリアで決まります。
自殺・うつ病・自閉症の人の特徴は、好きなものばかり食べて、乱れた食生活になっている場合が多いのです。
実験場の豚が、喧嘩をせず、人間にも反発しないのは、乳酸桿菌の作用でドーパミン・セロトニンの産生が多くなったのがその理由と考えられます。
中国は、モンゴル系の王朝に征服された期間が長く、遼・元・金・清は、万里の長城の北方の民族です。征服王朝の原動力は、この乳酸桿菌ではないか?
漢民族の中で征服王朝が堕落したのは、乳酸桿菌を失う生活になったからではないだろうか? ジンギスカンもヌルハチも乳酸桿菌で武装し、ドーパミン・セロトニンを多く保ち、愛情深い指導者だったと想像できます。