朴裕河(パク・ユハ)著『帝国の慰安婦』(朝日新聞出版)読了。
もう何から書いてよいのか分からないくらいに圧倒された…そして、ところどころで読むのを止めて、思いを巡らせる時間を持ったし考えもした。
とにかくここのところの日韓関係は最悪で、その原因は慰安婦問題だ。この問題をいろいろな角度から記した一冊。第27回アジア・太平洋賞の特別賞、第15回石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞受賞作。
まずこの本は、読む人の立場によっては過剰な反応を引き起こすことになるはずで、結局それがこの慰安婦問題を訳の分からない状態までもっていってしまっている、といったことか。
韓国では裁判も起こされ事実上の発禁処分となっているようだ。
タイトルにもあるように‘帝国‘の慰安婦とは、帝国主義によって作り出されたいろいろなシステムが、慰安婦を含め様々な問題を生み出す原因であり、だからといって慰安婦問題に日本の責任がないわけではないが、詳細をしっかりと見つめていこうというもの。とくに‘強制連行はない’との考えは斬新で、まあ韓国人には絶対に受け入れることができないだろうなあ、と思う。韓国人だが慶應大学を卒業して早稲田大学の大学院で学んだ知日派の著者が、これを書くには結構な勇気がいるはずだ。その孤独感のようなものがすごく感じられ、読んでいるだけなのに自分の心が折れそうになった。
また、男性中心社会、ジェンダーなどの点からも切り込んで行き、慰安婦制度を批判。最終的には国と国との‘合意’目指すべくあらゆる可能性を探って、そのことについて一歩一歩筆を進めていく。いやぁ、もう脱帽。
1965年締結の日韓基本条約のことなんかもよく分かったし、いろいろ勉強になりました。オレ自身は右も左もなくて(そういうのがキライで)、だからと言ってやっぱり日本人なので韓国の最近の対応にはウンザリしてました。でもこの本を読んで、少しでもいい方向に行けばいいなぁ、時間はかかってもいいからより良い方向に進んでいけば、という希望を持ちました。それは本当に些細な希望だけれど、そんな気持ちになりました。
ただ現実はそう上手くいかないだろうから、ここまで話が大きくなってしまった以上、日本と韓国の間で現実的な妥協点を見出していくことだと思います。著者は‘妥協’や‘放棄’ではなく、国同士の「合意」を目指してと言ってますが…
ケンカするとやったほうはすぐに忘れるけれど、やられたほうはいつまでも忘れない。なんか韓国って、そう意味でトラウマを抱えている感じで可哀想だ。でも、この本にもあるのだが植民地時代を清算するためにも、こういった問題を客観的に真摯に向き合っていくべきだという意見には大賛成。
そして帝国主義は間違いかもしれないが、それは時代やその時の考え方の制約による限界があって、今の時代にどうこう言うのも…だからこそ、日本もその壁を乗り越えるべく現在の在り方をしっかりと見つめなおしいていく必要がある、そんなとこか。
オレにはうまく説明しきれないけれど、本当にいい本でした。感動とは違うけど、心に残る一冊でした。
もう何から書いてよいのか分からないくらいに圧倒された…そして、ところどころで読むのを止めて、思いを巡らせる時間を持ったし考えもした。
とにかくここのところの日韓関係は最悪で、その原因は慰安婦問題だ。この問題をいろいろな角度から記した一冊。第27回アジア・太平洋賞の特別賞、第15回石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞受賞作。
まずこの本は、読む人の立場によっては過剰な反応を引き起こすことになるはずで、結局それがこの慰安婦問題を訳の分からない状態までもっていってしまっている、といったことか。
韓国では裁判も起こされ事実上の発禁処分となっているようだ。
タイトルにもあるように‘帝国‘の慰安婦とは、帝国主義によって作り出されたいろいろなシステムが、慰安婦を含め様々な問題を生み出す原因であり、だからといって慰安婦問題に日本の責任がないわけではないが、詳細をしっかりと見つめていこうというもの。とくに‘強制連行はない’との考えは斬新で、まあ韓国人には絶対に受け入れることができないだろうなあ、と思う。韓国人だが慶應大学を卒業して早稲田大学の大学院で学んだ知日派の著者が、これを書くには結構な勇気がいるはずだ。その孤独感のようなものがすごく感じられ、読んでいるだけなのに自分の心が折れそうになった。
また、男性中心社会、ジェンダーなどの点からも切り込んで行き、慰安婦制度を批判。最終的には国と国との‘合意’目指すべくあらゆる可能性を探って、そのことについて一歩一歩筆を進めていく。いやぁ、もう脱帽。
1965年締結の日韓基本条約のことなんかもよく分かったし、いろいろ勉強になりました。オレ自身は右も左もなくて(そういうのがキライで)、だからと言ってやっぱり日本人なので韓国の最近の対応にはウンザリしてました。でもこの本を読んで、少しでもいい方向に行けばいいなぁ、時間はかかってもいいからより良い方向に進んでいけば、という希望を持ちました。それは本当に些細な希望だけれど、そんな気持ちになりました。
ただ現実はそう上手くいかないだろうから、ここまで話が大きくなってしまった以上、日本と韓国の間で現実的な妥協点を見出していくことだと思います。著者は‘妥協’や‘放棄’ではなく、国同士の「合意」を目指してと言ってますが…
ケンカするとやったほうはすぐに忘れるけれど、やられたほうはいつまでも忘れない。なんか韓国って、そう意味でトラウマを抱えている感じで可哀想だ。でも、この本にもあるのだが植民地時代を清算するためにも、こういった問題を客観的に真摯に向き合っていくべきだという意見には大賛成。
そして帝国主義は間違いかもしれないが、それは時代やその時の考え方の制約による限界があって、今の時代にどうこう言うのも…だからこそ、日本もその壁を乗り越えるべく現在の在り方をしっかりと見つめなおしいていく必要がある、そんなとこか。
オレにはうまく説明しきれないけれど、本当にいい本でした。感動とは違うけど、心に残る一冊でした。