うたのすけの日常

日々の単なる日記等

うたのすけの日常 映画を観る

2013-06-05 11:16:18 | 映画

                     映画「口づけ」を観る

 先日吹奏楽のコンサートの帰りに観る予定を見送った日本映画「口づけ」を、CMの大いに泣けるといった殺し文句に誘われたわけではありませんが、かみさんと2人して観てきました。ホントに泣かされてしまいました。
 知的障害者のグループホームでの日常を描いたものでして、ある日知的障害を持つ娘とともに、ホームで働きながら暮らそうと元漫画家の父親がホームを訪ねるとこから話は始まります。娘には施設に居たとき、そこを脱け出したさいに男に誘われて不幸な目に遭うとといった過去があります。誰にも優しい、そして疑心を知らぬことが不幸を招き、以来男性に対して恐怖心が拭えないでいます。そして時たま情緒不安定な状態に苛まれますが、ホームの生活に和み、それに父親が一緒に居るということから安定した日々を送るようになります。
 しかし穏やかな安定した日常は長くは続きません。ホームを襲う問題点が明らかに、そして障害者に対する世間の無理解や、ホームの経営状態の危惧が父親を思わぬ危機に追い込んで行くのです。ある日ホームを閉鎖しなくてはならぬ事情が経営者の妻から話されます。経営の基盤は保護者から納入される入居者の障害年金であり、それが何か月も納入されず、保護者の生活費、或いは遊興費に流用されてしまっている状態であるというのです。
 そんな中、父親の末期がんが明らかになり、彼は医者である経営者の紹介で娘を再び施設に入所させることとなります。父親が医者と交わす話の中で、知的障害者の暗澹たる実像が浮き上がってきます。
 「世間でいうところのホームレス、路上生活に落ちる理由は様々ではあるが、健常者であれば、ブルーシートや段ボールを使ってねぐらを作る。空き缶、古雑誌を集めて生活の糧を賄うことが出来るだろう。しかし障害者が親に死なれ、兄弟との仲が疎遠になったら彼ら彼女らはたった一人、生きる道を閉ざされて、空腹を埋めるには盗みの道しか残されていないのである。」そして刑務所には出たり入ったりの知的障害者が膨大な数になると言うのである。
 日をおかず破局は訪れる。父親は既に喀血を繰り返し、ひん死といってもいい状態である。施設に馴染めず閉鎖されたホームで、娘は
父親に死期の近い事を知らされ一緒に死にたいと抱きつき、父は娘に頬ずりし握っていた娘の手から己の手を外して娘の首に巻きつける。
 娘は死に、父親は逮捕される。経営者の妻の「なぜ一言打ち明けてくれなかったの」という言葉が耳に残る。


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