九月二十四日 雨、しめやかな秋雨である。<o:p></o:p>
さて今後の覚悟は山頭火、いきなり気合いを入れてます。まずは借金を整理すること、そのためには酒を慎まなければならない。禁酒は不可能でも節酒は可能と、ぐうたら根性、やけくそ気分を払拭せよ、是非実行すべしと悲壮です。<o:p></o:p>
まずは焼酎を厳禁、焼酎はうまくない、ただ酔うのみなり、心理的にも生理的にも有害なり、焼酎は私にはほんに悪魔なり。<o:p></o:p>
今日の食事は純日本米、昨日は純シナ米、明日はと食糧事情は日々深刻化しているということでしょう。<o:p></o:p>
十月一日 曇、時々小雨<o:p></o:p>
興亜奉公日、国勢調査日、防空綜合訓練第一日。陰暦の九月朔日。<o:p></o:p>
身の回りを整理するとあります。いつ死んでもいいようにと付け加えます。「門外不出、誰にも会わず、一文も使わず、ひたすら謹慎する。風邪心地なので早寝、うとうと眠りつづけた。」<o:p></o:p>
十月二日 百舌鳥啼きしきり、どうやら晴れそうな。<o:p></o:p>
今日はすごいことになっています。ちょいとポストまでが、途中で頓挫となるのです。昨日の今日なのにと理解に苦しむといったところか。<o:p></o:p>
慣習的にとあっさり言ってのけ、途中の酒屋で一杯ひつかけのが運の尽きと言うのでしょう、二杯が三杯となり、一洵老の奥さんから汽車賃を借り出すとあります。そして今治に飛び出すのです。メチャクチャと言う外ありません。そして俳友の清水さんを呼び出し、逆にご馳走に預かりずいぶん飲んだと言います。そして十時の汽車で防空訓練で真っ暗闇の中別れます。闇を踏んで帰るさなか、アル中のみじめさを嫌というほど味わいます。<o:p></o:p>
「Sさんありがとう、ほんにありがとう、」小遣いをもらったばかりでなく、お土産まで頂きます。<o:p></o:p>
帰庵したのが二時近かったと言います。帰途の途中の話が笑ってしまいます。犬から貰うと題します。その夜どこからともなく付いて来た白い犬、大きい餅をくわえていたのです。「ワン公よありがとう、あまりはこれもどこからとも出てきた白い猫に供養した。」<o:p></o:p>