うたのすけの日常

日々の単なる日記等

うたのすけの日常 和歌山の山と海 5

2007-05-13 09:14:25 | 旅行記

    迷路そのものの館内にただ唖然とするばかり

 桟橋に船から降り立ったと言いましたが、正しくはボートと称すべきものなかも知れません。200何人乗りとかで満員の乗客でした。ハハーン、こういうときよく事故が起きて惨事を引き起こすんだなと思いました。勿論定員は守っているのでしょうし、救命具の所在も矢印で明示してありますが、立っている乗客もいて船内は立錐の余地もないのですから。
 それはともかくとして、そうでした初日からあたしたちのツアーと、先になったり後になったりして観光地を巡っていた、台湾のツアー客も乗船していました。大半は彼らでした。それが嬉しいではありませんか、台湾の女性が、若い女性の一人が人混みの間からあたしを目で、目でですよ、どうぞとものを言わせて席を譲ってくれたのです。あたしは思わず「サンキュウ」と行ってその若い女性の好意に甘えました。若い女性はにっこりと微笑みました。若い女性を連発してくどいですね、スミマセン。あたしは座ってから、この場合「シェーシェー」と言うべきではなかったのかとほぞを噛んだりしました。
 あらかじめガイドさんから館内の説明を、何かと受けていたのですが改めて館側の説明を受けます。その説明を聞けば聞くほど頭は混乱して分からなくなりました。あたしたちの宿泊する本館を含め四棟のホテルがあり、長い廊下で繋がっているのです。そしてその長い廊下やエレベーターで行き来するのです。なにしろこれがホテルの自慢で、各館に
六つの風呂男湯女湯と合わせて12の風呂が散在してて、温泉巡りを推奨しているのです。3ヶ所以上巡れば粗品進呈ときたもんです。冗談ではありません、温泉宿まで来て歩き回ることはごめんです。あたしは即座に本館の風呂だけ1ヵ所ときめました。ですがバイキングの食事処は別の館だというのです。ですから一生懸命食堂への道筋を頭に叩き込みます。傍らのかみさんに、「あんたもちゃんと頭に入れててよ」と話を向けますが、心ここに非ず、その目は広大な土産物店にしきりに向けられていました。
 とにかく夕食の時間は迫っているのです、幸いツァー客全員同じ三階なので連れ立って行きましたが、エレベーターを降りてから歩くこと歩くこと、半端な距離ではないのです。かみさんしきりと万歩計を持ってこなかったのを悔やんでいます。やっと部屋へたどり着きました。窓の外の景色は対岸の灯りが迫る夕闇に光を増し、停泊している無数の釣り船が異国情緒を感じさせます。我ながら実に他愛ないと思いました。しかし人間高望みしてはいけないとも思いました。この程度のことで感激する気持も大事ではないのかと思ったりしました。いじらしいですね。
 部屋から風呂へ行く道順は聞いてはいるし、よく大病院の廊下や壁に、行き先別に帯状に色分けされた標識が書かれていますが、それと同じことが、ここでもなされてはいるのです。しかし心許ないので、部屋にきた道順を慌てず慎重にフロントに戻り、あらためてそこで風呂の場所を聞きやっと温泉に浸かりました。風呂場は自然の洞窟に造られ、半分外洋に面して開放されていて波音が迫ってきます。天井の岩肌、周りの奇岩のさまは見ものでした。女湯とは壁で仕切られているようで、様子はかみさんの話では男湯と同じのようです。

 食堂への道がまたまた見事と言うほかはありません。長廊下はもちろんですが、その両脇に延々と土産物店が並んでいるかと思えば、ゲームコーナーからけたたましい音が鳴り響き、カラオケボックスが何軒も立ち並んでおりました。食堂はどこから湧き出してきたのかといった人で一杯です。バイキングです。この混みようでは食事にありつくには敏捷さと、ある程度の厚かましさ強引さが問われます。何とか席を確保しジョッキを傾けることが出来ました。そして落ち着いて見渡せば、皆それぞれに席に収まり、和気あいあいと食事をしております。食事にありつけ腹が満たされれば、自ずと平和な気分になります、先刻までの殺気さえ感じた食材を取るさまは、見事に消えております。上手く出来ているとつくづく感じた次第です。
 後は今晩は荷物の整理をして寝るだけです。どこに行くにも大仕事なんですから。といっても今夜中に済ませねばならぬ事があったのです。宅急便で荷物を発送する仕事です。なにしろ明日は八時半出発、それまでに食事を済ませ、朝風呂にも入りたいのです。そのたんびに部屋風呂フロントと行き来していては間に合いません。荷物を持っての移動も容易ではありません。それで二人して作戦を立てました。
 荷物を発送して身軽になる。明日は朝風呂から戻ったら身支度してフロントに行き、鍵を返し会計を済まして食堂に直行。食事を済ましたらフロントわきの集合場所へ行く。
 まあこんな案配で明日は買い物はしないということを、最後に誓い合いました。