MSN産経ニュース/自民党総裁選記者会見要旨(1)
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/090919/stt0909192013010-n2.htm
西村康稔氏に関して言えば、後述しますが派閥に関する考え方が具体的に整理されていない印象です。経験の浅さ、ブレーンに派閥に関係が薄い人が多い(?)ことが、影響しているのでしょうか。谷垣禎一氏に関して言えば、「みんなでやろうぜ」という精神はいいと思うのですが、どう実現されるかが不透明です。何故なら、これも後で明らかになりますが、露骨に従わなそうな人がいるからです。河野太郎氏の言うことにも違和感があります。
>小さい効率的な無駄のない政府をつくり、健全な公平な競争環境を作り出すことで経済を発展させる。発展をした経済の果実がきちんと社会保障として手当てされる世の中を目指す。少子高齢化が進んだ人口構成では、それなりの財源を社会保障に出さなければいけない。やや大きな社会保障にならざるを得ないが、大きな政府、再分配を志向する民主党とは明確に対(たい)峙(じ)していく。
言ってることが内容的に間違っているとは思いませんが、所謂「小さな政府」とは、アメリカの保守派が目指すもので、書いている内容とは矛盾していると思います。消費税増税論者でもあるようなので、麻生政権の中福祉中負担路線と同一の方向性と見るべきでしょう。麻生政権でも無駄のカットは結構やっていました。看板の架け替えは直ぐにバレるので、意味が無いと思います。
【2、3位連合】
>西村 私と河野氏では政策の違い、手法の違いがある。今の段階では即答できない。イエス・アンド・ノーだ
2、3位連合という考え方には問題があります。これが機能するには派閥の論理が必要だということです。誰が従うと言うのでしょうか。締め付けがないと従わないのではないかという疑問があります。実際問題、私なら、西村氏でダメな場合、谷垣氏の方がいいと考えます。バーターで河野氏に投票しなければならないなんて、可笑しいでしょう。脱派閥を掲げていることと、残念ながら矛盾しています。こうした力学を必要悪と捉えるか、本当に止めてしまうのか。そしてそれは止められるものなのか。そういうことが問われていると思います。谷垣氏も適材適所・若手の登用を掲げているので、トップの年齢ばかりに拘る姿勢であるならば、私には好ましいものとは思えません。トップの若さは利点の一つでしかないでしょう。
【推薦人】
>河野 (今月8日の)党両院議員総会で総裁選の推薦人を10人に下げるべきだという動議を出したが賛成したか。
谷垣 賛成していない。20人を集められなければ、当選も果たせない。一応の合理性はある。
西村 賛成していない。20人ぐらいの理解がある人が周りにいることは最低条件だ。
谷垣氏・西村氏の言うことがもっともだと思います。大体、候補者が多ければ多いほど、派閥連合というものが機能しやすいのではないか。河野氏の考えは、纏まっていないように見えます。
MSN産経ニュース/自民党総裁選記者会見要旨(2)
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/090919/stt0909192018011-n1.htm
【派閥】
>河野 派閥を出るなら(推薦人と)足並みをそろえて出たい。森喜朗元首相のクモの巣にからめとられてしまっている人に「派閥を出よう」というのは、かなり厳しい。リーダーが派閥を相手にせず、派閥に人事権を渡さず、資金を渡さず、公認権を渡さないのが大事で、問題を矮小(わいしよう)化するのが間違っている。
森喜朗元首相は、この度の逆風下でもキッチリ小選挙区で当選しています。決め付けで批判しているようにも見えます。あまりにも失礼ではないでしょうか。
>西村 法務副大臣の就任は派閥のおかげか。
河野 町村派にいれば希望していた外務副大臣をやらせてもらっていたと思う。残念ながら外務政務官も副大臣もやらせてもらえなかった。
私怨に見える。人事権を渡すべきではないのであれば、「やらせてもらっていた」という考えが可笑しい。派閥がないのが理想と思うのであれば、人事で派閥に期待するべきではありません。また、自民党という大政党(今は少し怪しくなったものの)においては、トップリーダーの目に直接依存するシステムは逆に人材を埋もれさせる危険性もあると思います。
■補足説明
>河野 全員野球には反対だ。自民党の悪しき体質を引きずってきた人をもう一度ベンチに入れるべきでない。
党内に敵を作り出しているだけではなく、有権者の決断を侮辱している。
【自民党の理念軸】
>河野 復古主義への回帰はありえない。左側には政権与党の民主党がある。同じところに行ってもはね返されるだけだ
誰が復古主義とやらを唱えているのか知りませんが、伝統にはそれなりの敬意を払うべきです。特に日本は歴史ある国ですので、活かせるものは活かすことが大事です。また、誰が左側に進もうとしているのかも定かではありませんが、河野氏自身が社会保障もやるということも言っています。
>谷垣 個人の自助努力が基本だが、共同体の共助的機能も尊重し、過剰な国家介入は排する。寛容で幅広い保守主義を考えていく必要がある。
自身の考えが分かり易い。
【靖国神社】
>河野 A級戦犯が合(ごう)祀(し)されている以上、国立の追悼施設を造るのが一番自然ではないか。
同じところに行ってもはね返されるだけだ。
【経済成長戦略】
>河野 出生率引き上げの明確な目標を立て、必要な財源を付ける。
別に構わないのですが、民主党と何が違うのでしょう。理念らしきものが空回りしている。
【世代交代】
>谷垣 国会論戦は重鎮クラスにも先頭に立ってもらう。
具体性があります。
【自民党離党】
>河野 自民党が再生できなければ健全な二大政党の一つの軸にならない。その時には何らかのことを考えることは、ありえる。
私の考えが採用されなければ、再生とは言えず、その時は離党するぞと言っているように見える。
【自公関係】
公明党さんの考えもあるでしょうから、次の参院選での選挙協力も不透明と言えます。民社国の連立がどうなるかにも掛かっていると考えるべきでしょう。まずは、自民党を見つめ直すのが最優先課題だと思います。
~感想~
谷垣氏のポイントが大幅アップ。巧みさに好感がもてます。党を実際問題、改善・改革出来るのは、こういう人かもしれません。西村氏は据え置き。経験の浅さが目につきます。谷垣氏と差別化できるものを打ち出さなければ苦しくなるでしょう。私が期待するのは、日本の向かう方向性についての見識です。これは、新技術が次々現れる世界を考えると、若さも利点に成り得ると考えます。河野氏は政策に共通する部分もありますが、如何せん手法に問題があります。野党の指導者として、最悪に近いのではないかと思います。与党時代から纏まりは課題であったと私は思いますが(どうして党内で支持されない党首を有権者が支持すると思うのか)(河野氏自身が決めたばかりのことを引っくり返そうとして無用の混乱を起こしていました)、野党は求心力が落ちますから、党内抗争をする余裕は尚更ないと見るべきです。自民党の党内抗争は、与党であるからこそ可能であった、対抗政党が無いゆえの(滅び行く定めの)曲芸であると考えるべきでしょう。事実、民主党は党内が纏まって大勝しました。大体が、ベテラン議員は有権者の支持を頂いた(比例復活の方もシステム内です)わけで、粗末に扱う河野氏は極めて不遜であると言えるでしょう。ベテランの経験も重要です。活かせるものは活かすべきです。