観測にまつわる問題

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神武天皇から例外なく男系継承というのはどちらかと言うと誤り

2019-11-19 19:07:42 | 皇室・日本文化
 神武天皇から例外なく男系継承というのはどちらかと言うと誤りですね。何処が例外かと言えば持統天皇から文武天皇が例外です。草壁皇子から男系と言えなくもなく、天武天皇から男系とも言えますが、順番的にも明らかに持統天皇から女系継承しています。従ってややこしいですが、元明天皇・元正天皇・聖武天皇も広い意味で女系継承と言えそうです。他に天武天皇の血筋は幾らもいたことが理由ですが(例外なく男系継承なら有り得ない継承の仕方です)、持統天皇の血筋だけが淳仁天皇まで正統だったと考えられます。これは筆者の特殊な見方というより、当時の正統的な見方だったでしょう。日本神話は明らかに女系継承が含まれ、日本書紀最後の天皇は持統天皇です。元明天皇・元正天皇は中継ぎと言われますが、そうではなく即位しています。仮のトップとは神功皇后のように摂政を指すはずで、中継ぎ投手が正式な投手であるように、元明天皇・元正天皇も何ら他の天皇と変わることがない正統性と力があったと考えられ、古事記は元明天皇の命で成立しています。この見方で孝謙天皇も女系ですが、孝謙上皇は問題なく淳仁天皇を廃嫡にしています。これが例外なく続いた男系継承の皇室の出来事でしょうか?
 神武天皇から続く皇子・皇女(推古天皇・皇極天皇)による継承を男系継承と捉えることが許されるなら(そういうことは何処にも書いていませんが)、持統天皇に関係する(息子の妃である妹を含む)皇子・皇女による継承を女系継承と言って何ら差し支えないと考えます。まぁ持統天皇からの継承は天武天皇からの継承と読み替えることは出来はしますが、虚心坦懐に見て持統天皇を中心とした女系継承が行われていたことは疑いないところです。要は第41代持統天皇から第42代文武天皇への継承は祖母から孫への女系継承と解するしかなく、事実持統天皇の子でない第40代天武天皇の子孫は皇統を継ぐことは出来ませんでした。淳仁天皇が皇統を継いだのは元正天皇から女性天皇が未婚になったからですが、持統天皇から遠くなりなし崩し的に始まった女系継承がなし崩し的に男系継承に戻っていったとも考えられます。持統天皇は上皇の嚆矢(史上初の太上天皇)でもあり、要するに持統天皇が例外そのものです。天武天皇が崩御した後、大勢いる皇子に継がず、皇后が即位したことが例外の始まりでした。持統天皇そのものは男系とも言えなくもありませんが、男系天皇すなわち天智天皇の子として即位したのでは全く無く、天武天皇の皇后として自分の子孫に継ぐため(女系継承するため)即位したのは明らかです。
 養老律令は双系を定めた規定(女系を容認した規定)と読め女系継承があった傍証になります。結局臣下の継承方法がありますから、男系継承に戻るしかなかったのかもしれませんが、女系継承が無かったということは出来ません。
 そもそもは神功皇后の摂政も推古天皇の即位も全くの例外であるに違いありません。神功皇后は何故摂政となったでしょうか?開化天皇の子孫だからでしょうか?仲哀天皇の皇后の資格で摂政となったのではないでしょうか?推古天皇の即位もそれ以前に女性天皇の即位があったでしょうか?物事の始まりは例外であるものです。ルールが明文化されていたらそのルールと異なるものは違法です。明文化されていてもルールを変えることでそれまでと異なるやり方が成立します。例外とはこういう厳密なやり方ではない曖昧なやり方ですが、正に持統天皇が例外であるということです。


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14 コメント

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Unknown (管理人)
2019-11-24 13:34:56
父方に天皇を持つ女性天皇と異なり、女系天皇は前例がないという定義を見かけてのコメント→女性天皇の定義は女性の天皇です。女系天皇は狭義に母系を遡って女性天皇に行き着くこと、広義に女性天皇から子孫に継承することです。後者で女系天皇の前例があり、前者で父方に天皇を持つ女性天皇の男子は女系天皇になりません。・・・どう考えても定義がいい加減で成り立っていないんですよね。普通に考えると前者が女系天皇の定義で文武天皇は持統天皇から継承された女系天皇になるはずですが。DNAなる当時ない概念を云々する方々も現れる始末。
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Unknown (管理人)
2019-11-24 13:50:06
加えて指摘しますと、父方の父と遡るのに拘るなら、父方に天皇を持つ女性天皇を男系天皇と言うのは、交差しているから無理があります。(室町時代遡る傍系容認の男系論者の方々の言い分に沿えば)神武天皇のDNAを受け継がない天皇の事例は結構あるということで、それは女性天皇に神武天皇のDNAが含まれていません。女性天皇は瑕疵のない天皇なのであって、中継ぎと言って一時的なものと思いこんでいる人は歴史をちゃんと調べていない。
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Unknown (管理人)
2019-11-24 23:04:34
元々生物学的に歴史上複数あった女性天皇は神武天皇と血は繫がっておらず、系図上女系天皇と神武天皇は繫がっている以上論理的な問題はなく、女性天皇同様、女系天皇は神武天皇以来の正統性を有する天皇ということになりますね。狭義の定義は双系天皇という新しい解釈に繫がると思います。
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700年前の天皇に遡る皇位継承のため、今の若い女性皇族が絶えるまで時間稼ぎするらしい (管理人)
2020-02-17 08:40:05
女性皇族・女性天皇が古代の皇位継承の危機において重要な役割を果たしてきた歴史に鑑み、女性天皇・女性皇族の臣籍降下ルールを見直すべきだと思っていますが、今の安倍政権は古代の皇位継承ルールを尊重する気はないようです(読売新聞によると女系継承・女性天皇について議論する気はないということです)。にも拘わらず神武天皇以来例外なくなんて寝言を言い立てるのですから話にもなりません。持統天皇は母から孫へと継承したのであって、これを女系継承と言わずして何と言うんんでしょうか?嘘つきが答える可能性はないでしょうけど。例外は何時だってあります。明治時代以来の女性天皇を禁じるルールの方が例外的なのもまた事実です。ただ女系皇族・女性宮家の考え方が歴史上一度も無かったのは事実です。しかし皇籍がない「皇族」が「復帰」した事実も無いだろうと思います。700年前の天皇に遡る皇族なるものを新たに認めるには一度全て若い女性皇族が絶えないといけないという考え方なのかもしれません。ちょっと酷すぎますね。議論をするのではなく、時間切れを狙っているのでしょう。次期首相も多分同じです。このまま行けば神武天皇以来初めて直系継承の原則が一顧だにされず踏みにじられると思います。皇位継承の重要原則が踏みにじられて、筆者は随分ショックを受けています。あれは保守ではなく、改革派(リベラル)だというネット上の意見がありましたが正しく、筆者が間違っていたのかもしれません。700年前の天皇に遡るなんて正気の沙汰ではないでしょう。皇室の歴史には女性天皇の伝統があるにも関わらず。
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皇室の存続の危機の際には女性皇族が役割を果たすのが常道 (管理人)
2020-02-22 07:47:52
今の皇室の存続の危機を救う議論において軽視されている歴史的事実は、皇室の存続の危機の際には女性皇族が大きな役割を果たしてきたということに違いありません。中世には女性皇族が大きな役割を果たすのは稀になりましたが、これは藤原氏(中臣氏)という神別氏族の台頭と武家の台頭に絡む事象と思われ、現代においては華族復活の議論はほとんど皆無で、文民統制の制度の下にあることも否めず、皇室の危機の際に重要な役割を果たしてきた女性皇族を軽んじる(女性天皇を禁じる)明治以来のルールのままでいいのだろうかという疑問があります。筆者は愛子天皇論ではなく、極力男系を維持すべきであろうと思いますが、700年前の天皇に遡るというのは、常識的に考えて皇室の断絶を意味すると考えており、この直系重視の伝統を軽んじ、皇祖を女性とする神話を軽んじ、記紀にあたっての女性天皇即位の伝統を軽んじる男系固執革命の対処法に強く反対しています。古代史を尊重する気があるのであれば、決して採れない考え方だと思うのですが、神武天皇を古代史の天皇に位置付けるのではなく、明治以来の「伝統」に位置付け固執しているのだろうと推測します。日本の伝統は明治から始まりません。本気で神武天皇以来の皇室を尊重するのであれば、女性皇族が存続の危機にあたって果たす役割の議論は避けて通ることが出来ないと考えます。
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竹田天皇がそんなにお望みか? (管理人)
2020-02-22 13:14:27
分かりやすいようにあえて例えると、男系固執派は竹田〇〇氏は旧皇族だそうで旧皇族を皇族にするんだそうですから、例えば竹田天皇支持派と言え、女系容認派は未婚の若い女性皇族方を宮家にして子孫を残す考え方ですから、例えば愛子天皇・眞子やすいようにあえて例えると、男系固執派は竹田〇〇氏は旧皇族だそうで旧皇族を皇族にするんだそうですから、例えば竹田天皇支持派と言え、女系容認派は未婚の若い女性皇族方を宮家にして子孫を残す考え方ですから、例えば愛子天皇・眞子天皇・佳子天皇支持派と言えます。これは筆者のような容認派が悠仁天皇支持派であることから考えて誤解を招く表現ではありますが、竹田天皇の部分を臣籍降下した〇〇天皇に変えれば、男系固執派の方はそのまま通用する見方です。系が問題と言うなら、竹田天皇と愛子殿下・眞子殿下・佳子殿下の子供を天皇にすると読み替えてもいい。いずれにせよ、男系固執派が直系継承の原則を軽んじすぎていることを指摘するのが主眼です。男系固執派が議論から逃げるのは、直系継承を軽んじている、つまりは伝統を軽んじていることが明らかになるからなのでしょう。まぁ女系継承側も完全男女平等原理を支持する人が多いらしく伝統重視派と言えないのが残念な話ですが。もう何というかまともな人が誰もいない世界だと思っています。ほとんど絶望。
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女系容認の具体的ルール考 (管理人)
2020-02-22 13:30:19
女系容認の具体的ルールを考えると、適齢の男性皇族がいない時のみ、女系継承を認めるのは一案だと思います。女系継承の前例は持統天皇とか(天皇では無いものの)神功皇后ぐらいだと思いますが、前例がない訳ではありません。ただ女系皇族は前例が無いので新しい方策ではありますが、竹田天皇に至っては明らかに皇統が断絶しているというか新王朝になってしまうので、それよりはマシと言えるでしょう。逆に言えば女系継承でなければ、苗字がない皇室の伝統を守るのは難しいと言えます。ただ万世一系の皇室というのは、既に滅びており今は源王朝と言えなくもありません。竹田王朝と言えど、代を重ねれば無かったことには出来ると言えば否定できる訳ではありません。適齢とは老年でないことを指し、40歳あたりがひとつのラインだと思います。若い分には摂政があって、伝統的な規定です。この規定だと老老継承で時間稼ぎは意味がないということになりますが、まぁそれでいいのでしょう。
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既に滅びている万世一系 (管理人)
2020-02-22 13:39:07
醍醐天皇が臣籍として生まれた唯一の天皇で源維城と言います。ですから、今の皇室は源氏が継いだ源王朝と規定することも出来ます。神武天皇以来の万世一系は源維城が終わらせたということも出来るんですよね。別の氏族が継いではならないルールであれば。だから男系固執論者が言う神武天皇以来例外なく続いた皇統というのは、醍醐天皇の部分で切れていると見ることも出来ます。それを繋がっていると見るのは旧皇族を繋がっていると見る為にする議論に過ぎません。これに対して女系容認だと醍醐天皇からにはなりますが、別姓は入れない対応になります。男系固執論者が皇配が皇位を継ぐのようなデマを垂れ流すので要注意。
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摂政と女系皇族・女性皇族 (管理人)
2020-02-22 13:55:59
摂政は女性皇族もなれますが、女系継承を容認するなら、皇位継承の可能性がある内親王・女王を皇后・皇太后・太皇太后より優先させた方がいいかもしれません。実際に皇位継承の可能性がある生まれながらの皇族と皇配として後から入った皇族とは区別するべきだからです。女系皇族を容認したとして、皇配が即位する可能性は全くなく(そういう制度設計ならばですが)、皇配が摂政になる可能性もほとんどない(摂政の就任順位を変えればですが)と言えるでしょう。(生まれながらの)女系皇族は(臣籍の身として生まれた)女性皇族より格が高いとも言えます。女性宮家を設けたとして、男子が生まれたとしても女系皇族になります。女系皇族への継承は前例がありませんから、万一の保険ということにすべきでしょう。万一の保険で言えば例えば竹田宮家への継承も同じですが、竹田宮家への継承は直系継承の原則によりアウトで前例は一件ありますが、前例を認めるなら、神武天皇以来続いた男系なるものは存在しないということになります。DNAが皇位継承を決めている訳ではなく、皇族に繋ぐのが皇位継承と言えます。
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皇配と仕事 (管理人)
2020-02-22 14:09:30
女系を容認すると、皇配の地位をハッキリさせねばなりません。明治以来女性天皇を禁じて皇配は女性に限り皇位継承の可能性はありませんから、扱いが曖昧になっています。古代においては皇配も皇族でしたから、皇配・女性皇族への継承は度々ありました。具体的に男性の皇配を容認すると問題になるのは仕事だと思います。女性皇族は仕事を辞めるのが前提でしたが、男性皇族も仕事を辞められるのかという問いが当然に有り得るでしょう。どちらがいいとは筆者は言えませんが、皇族だから仕事を辞められるのが当然というならば、選択肢を狭めるのは間違いありません。無論皇族が仕事をされるのは違和感なしではありません。ですが、皇族方も公務はしておられる訳ですし、(研究所の所長のような)一般人が就くことが出来る仕事をやってもいます。戦前には皇族が軍人になることさえあり、伝統的にも皇族が軍を率いて戦う事などしばしばありました。この際、皇族と仕事に関して見直しがあってもいいと思われる訳です。あくまで私見ですが、公務員はOKというルールはどうでしょうか?(詳しくありませんが)戦前には有り得たんでしょうし、この辺はどうも慣習的なようなもののようです。
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