アベノミクスは既に一定の成果が出ていると思うが、評価がそれほど芳しくないことは否めない(例えば、アベノミクス「評価せず」57%…読売世論調査 2016年02月26日)。ただし、安部政権の支持率は高く、日本の厳しい状況下で、漠然とアベノミクスが景気を良くしたとまでは言えないまでも、これまでの経済政策よりはマシだ、頑張ってはいると感じている人が多いのではないだろうか(特に若者の雇用は改善しているので、安部政権支持も無理はない)。
①少子高齢化に対しては、楽観論もあるようだが、日本人は概ね悲観論だと思う。年々人口が減れば、年々売り上げも下がるわけで、楽観論は意味が分からない。まずは、状況が非常に厳しいという認識に立ち、皆と認識を共有した上で、出来るだけの努力をして、少しでも成果を出していくというスタンスでやるべきだと思う。高度経済成長の再来は望めないわけで、必要なのは最善の努力なのだ。楽観論も必要ないが、努力を放棄する必要もない。こういう認識を国民と共有していくことが重要だ。
高橋洋一氏は著書「マイナス金利の真相」(買った)で、「人口とデフレに相関関係はない」としているが、人口とデフレに相関関係がないとしても、人口と経済成長には相関関係があることに注意が必要だ(例えば
平成15年度年次経済財政報告)。
アベノミクスで雇用(雇用は重要な指標である)は改善しているが、政策や景気改善とは関係が強いのではなく、高齢化による医療・福祉分野での労働需要増加が主な要因で、特に団塊世代の高齢化が背景にあるとの厳しい分析がある(
「アベノミクスは失敗」に首相が反論 雇用は本当に改善しているのか? BLOGOS 2016年04月06日 07:00)が、当を得ている様に思う。
②自民党の旧来の経済政策は、借金を増やす政策だという悪いイメージがついているように思う(旧アベノミクス第二の矢が「機動的な財政政策」で、その是非はおいておいて新たに20兆円の経済対策を準備している(「経済対策、20兆円規模に…政府・与党が調整 読売新聞オンライン」2016年07月21日 07時56分)ので、「お金を使うイメージ」がついているのはしょうがない)。まずは財政の本当のところを国民に説明すべきだ。日本の借金は類をみない膨大なものというとうイメージがあり、筆者もそう思ってきたのだが、高橋洋一氏の本などを読むと、必ずしもそうではないという説を否定するのは難しいと思う。財務省は状況が厳しいと煽って、財政を良くするのに一生懸命だったのだろうが、言うほど危機ではなかったのだと思う。消費税先送りの世論が強かったのも、その辺を感じ取っているからではないか。(増税は財政を良くするとは思う。増税反対派が言っているのは増税は景気を悪くするということだ。景気は財政政策で良くなるとしても、使ったことで財政そのものは悪化するということではないか。金融緩和など政策を総動員して、適度なインフレにしていくことは、いいことだとは思う)いずれにせよ、財政に関しての悪いイメージをどうにかしないと、経済政策のイメージも転換しないと思う。
③少子高齢化の不安は根強い。新三本の矢の2は「夢を紡ぐ子育て支援」で勿論安部首相の視野に入っていると思うが、しつこく言って、熱意を伝えていくことが重要だ。(例えば、注目度の高い都知事選で候補の応援に入って、「アベノミクスは道半ばです。○○候補を当選させて、アベノミクスを前に進ませてください。政府としっかり連携して(1)希望を生み出す強い経済(2)夢を紡ぐ子育て支援(3)安心につながる社会保障を必ず前に進めます!」を訴えるなど)