そのころ、世に数まへられぬ古教授ありけり。

この翁 行方定めず ふらふらと 右へ左へ 往きつ戻りつ

2月12日(木)その2

2009年02月12日 | 昔日記
 今日から一般入試である(勤務先がバレちゃうかな)。電車がトロトロ走るもんだから、あやうく遅刻しそうになる。K教授がお弁当を持って行くとブログに書かれていたので、いただいた「マヌカ」を使った卵焼きを手ずから作り、少しばかりオカズにお持ちした。控室でお渡ししたら、近くにいた中国文学のO教授が目を丸くしたので、とんとんとんからりんと隣組みたいなものですわ、と説明しておく。

 朝、机の中を整理していたら、拳銃が何丁か出て来た。K教授はロシア文学がご専門なので、トカレフを1丁差し上げた。A教務主任には、コルト・ガバメントを差し上げた。あ、彼はイギリス文学が専門だった。まあ、いいや。本当はエンフィールド№2あたりがあるとよかったが、あいにく持っていなかったので。やばいんじゃない?とのたもうたが、やばいですよ。でも、実弾付けたわけではないので、大丈夫でしょう。あとは、リボルバータイプのものが2丁ほどある。欲しい方には差し上げます。三八式歩兵銃が欲しいなあ。ゴボウ剣だけでもいいんだけど。そのほか、ナチスの党員バッジ(本物)などもございますが、これは差し上げられませぬ。

 そうそう、「マヌカ」といえば、「雨の御堂筋」は出だしになぜ「小糠雨降る…」などという特殊な語彙を使ったんだろう? 和歌研究者の私には、ここは「来ぬか」の掛詞になっているように聴こえてしまうのだが、いかが。「こころ変わりな夜の雨」が降っていて、「あなたをたずねて南へ歩」き、来ない男を「女がひとり探して」いるんだから。

 試験監督は事無く済み、質問ひとつ出なかった。きょうびの受験生は本当に礼儀正しい。最後の科目が終わって試験場を退出していく際には、皆、「ありがとうございましたァ」と私にお辞儀をしていく。

 Hさんにすばらしいコーヒードリッパーをいただいたせいで、我が家のコーヒー消費量が半端じゃなくなったため、「緑の豆」に寄る。何かインパクトのある豆はないものかね?と尋ねたら、店員のおにいさんは困ったような顔をしたが、「ハワイコナ」を薦められたので、200g焙煎し、挽いてコナにしてもらった。

 それから、ふらふらっと「うつわや釉」の前を通ったら、女主人と目が合った。入り込んでお茶を淹れていただき、お土産にお菓子まで頂戴する。そうそう、こないだ先生の名前をおっしゃっていたお客さんがありました、と言い出したから、どんな人?と返すと、近くにお住まいだとか、小柄な女性で…、ははあ、×××先生だなとピンときた。私もお店の宣伝に一役かっているのかも。

 神楽坂の蕎麦屋談義にしばし花を咲かす。結局、蕎麦自体のレベルとしては「志ま平」が一番だが、大将がおしゃべりなのが玉に瑕というのが、女主人のご意見であった。ほぼ同感する。等々力の蕎麦屋「三稜」を教えてもらったが、わざわざ行くのは、ちょいと億劫だな。

 げげげ、ついつい時間を潰しちゃった。急いで帰宅したらパートナーが冷やかである。妻の実家に住む身というのは、肩身が狭いものだ。

2月12日(木)

2009年02月12日 | 昔日記
 オックスフォード出の教組委員長殿が、組合ニュースにものすごい分量連載された、現下の経済状況と大学の心もとない取り組みに関する高邁なご解説(文中やたらゴシックが多くて、□○のクロカンの文章みたいだった)を、好評につき冊子にして配布するという話が、私の欠席した執行委員会で決定したらしく、メーリングリストで見積もり書が回ってきて仰天した。今私が書いている『百人一首』本の初刷発行部数よりも多い冊数が書きこまれている。おいおい、組合員はいったい何人いるんだよ? そんな何千冊も本当に要るのかいな? 合冊が作りたければ、今まで出たニュースをそのまま版下にして、「MDコーナー」あたりでプリント・簡易製本すれば済む話じゃないの?

 その前の執行委員会で、委員長殿は、周囲では冊子にして欲しいという声が強いとのたもうていたが、私の所属する人文学系学部では、そんな声は一言も耳にしなかったぞなもし。私はもともと、PDFファイルにして組合のホームページに載せておけばいいと主張していたんだ。だいたい経済状況なんぞはあなた、日々刻々と変化するだろう。『百人一首』の研究状況だって変化するぐらいだからね(たとえば「藤原清輔朝臣」の生年が1104年ではなく1108年と確定したのはつい数年前のことだ)。まあ、委員長殿ご所属の経済学部で好評なら、りっぱなご著述だと専門家が認めたということなのだろう。でもね、では経済学部で、いったい何人からぜひ冊子にして欲しいと言われたのだろうか? 経済学部は組合組織率が低く、組合員はたった42名しかいないはずなんだけど…。それで数千冊刷るんですかい?

 この発行部数は、到底理解できないとメーリングリストに返信したが、いつもは素早い反応が返ってくるのに、執行委員は皆沈黙したままである。ああ、とうとう私も嫌われちゃったかなあ。この歳になって、もう喧嘩は疲れるからいやだと思うようになったんだけど…ついつい黙ってられないんだよなあ、こういうことに対して。黙っていればいいのになあ。そういえばK教授は執行委員、しかも副委員長を務めあげた直後に、組合を脱退されたけれども、私も同じ道筋を辿るような予感が… 

 それでも命じられた仕事は果たさねばならぬ。助教・助手向けに続いて、専任教員と任期付き教員向けの組合加入勧誘ビラの案を作り上げて、書記局のMさんに送った。次回、執行委員会で検討してもらうようお願いする。これも組合用語を徹底して排除したから、きっと文句を言われることだろうなあ。