そのころ、世に数まへられぬ古教授ありけり。

この翁 行方定めず ふらふらと 右へ左へ 往きつ戻りつ

7月31日(金)

2009年07月31日 | 昔日記
 今日も終日、古記録注釈の読み合わせ。10:30に開始し、終わったのが19:30。途中1時間ほど昼食時間をとっただけ。ふう、それでようやく半分ほどが済む。後半は、編集委員の都合が合わず、8月31日と9月1日に行うことになった。

 昼食は、皆をいったん「たかはし」に案内したが、鰻重を食べたいという人が多く、うち6人を「すゞ金」へお連れした。やれやれ、空いていて助かった。G先生や、Tさんにもお気に召していただけたようだ。「すゞ金」は、東京で一番コストパフォーマンスの高い鰻屋だと、かたく信じて疑わない。

 終了後、今度は皆を「AMA」へ案内する。「すずはん」は、席が別れてしまうというので断念。自分はS寺に走り、「歌論の会」に少しだけ顔を出す。I先生へのお中元のお金を払ってから、失礼して「AMA」へ。やはり駅の近くは、帰りが安心。Eさんは明日が博論の口頭試問だそうだ。頑張ってください。

7月30日(水)

2009年07月30日 | 昔日記
 終日、古記録注釈の読み合わせ。今日・明日と設定したが、終わるものかは。やっとこさ5分の1ほど進んだ。明日、どうにか半分までいくとして、さらに最低2日はかかるだろう。8月中は編集委員の都合が合わない。1ヵ月ほど入稿が遅れることになりそうだ。

 お昼は「牧舎」へ行ったが、法学部の先生が多い。近いから当たり前だが、今日あたり休み前のゼミ最終日なのだろう。学生連れが目立った。

 目がしょぼしょぼする。本日の分にけりをつけて、皆で「かわうち」へ行く。例によって長居となった。昨夜に引き続きで、勘弁してほしいが、編集幹事兼会場係だから仕方がない。

 昨日、N氏に頼まれた面倒事について、E学部のT教授と相談する。あなたが引き受けるなら協力するわというお返事。まあ、学内序列があるから簡単にはいかないけれど、最終的にはそういうことになるかなあ。先頭に立つことだけはいやなんだけど。 

7月29日(水)その2

2009年07月29日 | 昔日記
 立川へ着いた時間が半端だったので、「無庵」には行けず。モノレールに乗ったら、多摩川の向こうの禅宗大学のN氏が、シートに座っておいでだった。同じ会合に呼ばれたらしい。一緒に資料館へ。途中、面倒なことを頼まれる。こないだも面倒なことを頼まれた。でも、N氏に頼まれると断りにくい。

 ただっぴろいエントランスの向こうには、ペンギンの剥製とかが飾ってある。極地研が同居しているせいだ。そのうち雪上車もディスプレイするとか。タロ・ジロの剥製も置いたらいいのに。

 館長室に案内され、名刺交換。今回の会合はちょっと微妙で、私はW文学会からの様子見という役で派遣されたのである。諸学会の連携の可能性を探る懇談会、といったような仕儀。話はなかなか興味深かったし、方向性もかなり具体化して実りがあったと思う。私の前に、娘がお世話になることになった、鈴懸の径大学のK先生がお座りになった。よくよくご挨拶を申し上げておく。

 奈良のT先生が、休み返上で熱心に生徒指導する中学の教師が高く評価されるが、忙しくて正倉院展にも行けないような教師に、よい教育ができるはずがないとおっしゃったのには、深く同感しました。またN氏と同道して、モノレールに乗って立川駅へ戻る。

 中央線が人身事故で止まっていた。おかげで団交の打ち合わせに遅刻した。組合事務所にたどり着いたら、N教授から電話がかかってくる。すみません、コースの会合にはかくかくしかじかで、間に合いませんでしたと謝る。19:00過ぎから団交。今日は教育・研究条件に関する交渉なので、話はいたって前向き、生産的である。相手はT常任理事だしね。組合側も、春闘団交も相手がT常任理事ならよいのにと、内々言っておりまする。私は奨学金制度に関する部分を担当させられたので、奨学課長を相手に、いろいろと質させてもらった。

 団交後、夏休み前の最後だからと、委員長以下で、昭和元年創業の「源兵衛」へ行く。どうせ今夜はパートナーも娘もいないから、まあいいや。「源兵衛」なんて何十年ぶりだろう。名物のシューマイをいただく。いろいろ裏話が出た。手鏡教授だとか、K大のスキャンダルだとか…やばいからやめておきませう。J給対部長は人文研で浅田彰と一緒だったそうだ。K大関係の方も意外に多いな。著名画伯のご子息書記次長もそう。こういう話を組合ニュースに載せたらウケるんじゃない?と情宣部長(=私)が発言し、大笑いとなる。委員長とポーランドの話をして楽しかった。普段ご縁のない他学部の先生方と交流できるのは、組合活動のメリットではある。

7月29日(水)

2009年07月29日 | 昔日記
 午後からコースの寄り合いをするとのメールが来ていたが、立川の資料館へ、関係諸学会連絡会議とやらで行かなければならんことを、すっかり忘れていたわい。夜は団交である。お詫びのメールを送る。早く帰って来られたら顔を出しますから、というのはもちろん、愛想に過ぎない。

 パートナーと娘は、大阪へ文楽を観に行くと出かけていった。駅まで車で送らされる(荷物があるからな)。今夜はレイトショウの「天変斯止嵐后晴」(てんぺすとあらしのちはれ)を観るそうだ。これはシェークスピアの「テンペスト」の翻案。「文楽」って、やっぱり大阪のものだよなあ。2泊してくるらしい。その間の生活費を支給される。

 秋に出る本のゲラがどばっと届いたが、頭がどんよりして、校正する気が起きない(塚本邦雄の本、有り難うざいました)。鬱状態に向かっているのかもねぎ。駿河なる宇津の山辺の、うつうつとして、きたぞなもし。いかん、いかん。我ひとり、楽しきことを思はむ(萩原朔太郎?)。フランスに行く金は無し… せめては、新しき浴衣でも着て、高橋(たかばし)へ泥鰌食いに行きてえなあ。

 結局日本人ってさ、同音意義語でひたすら面白がっているんだよね。先月、運転免許の書き換えに行って、講習受けた時、「聴覚障害者マーク」が蝶の図案であることを示されて、ははあ「聴覚」と「蝶」を引っかけたんだなあと感心したが、パートナーに言わせると、蝶が両羽を広げた形が、両耳を類推させているんじゃないかとのこと。さもありなむ。耳だけを書くと露骨過ぎるのだろうね。ひとつ音でひっかけて、重層的・縁語的に意味や由緒を重ねると、もっともらしく思われるのが日本語の不思議なところである。数日前、朝の連ドラを見ていたら、「人間長く生きていると、汗と恥は何度も〈かく〉ものだ」みたいな台詞があった。うわ~と思ったが、見事なオヤヂ風掛詞だ。

 花火大会が盛んで、浴衣姿の女性をよく目にする時節である。よしだたくろうの「旅の宿」を口ずさみたくなるが、ふと替え歌が浮かんできた。隣の研究室の、万葉集がご専門のT教授にお聴かせしてみようかな。

  額田の王は 歩揺の簪
  差し鍋の長柄を 握って
  もう一献いかがなんて
  妙に 艶っぽいね~♪

ダメですかねえ? 
うまさけ、みわの山! 答案の山! レポートの山!
人づまゆゑに、吾恋ひめやも…手でも振りましょうかな。

さあて、立川へ行ってくべい。

7月28日(火)

2009年07月28日 | 昔日記
 朝飯抜きで痛風の病院へ行く。体重は88kg。88㎜ならドイツ軍の高射砲だ(戦車砲にも使われてますがな)。検査数値は可もなく不可もなし。体が痛いかと聞かれたから、よれよれですと答えた。誕生日を迎えてこのかた、とみに老いを感じる昨今である。

 山のように薬をもらい、新宿京王百貨店の地下食品売場で買い物をしてから、大学へ。バスでは教組書記局のTさんと一緒になった。デパートでおまけにもらったお菓子を、Tさんに進呈する。まず図書館へ行き、データベース室のM前調査役に、暑中見舞いの「獺祭」を1本お届けした(図書館職員の方に差し上げるのに、これほどつきづきしい銘酒は他にない)。夏らしく発泡酒にする(保冷剤を付けてもらったので直行した次第)。それから特別資料室に上がり、午後閲覧に来るからと、おまんじゅうを差し入れた。古典籍を閲覧する場合は、学内といえども手土産を用意するのがエチケットというものだ。

 昨日は食べそびれたので、昼は「八幡そば五郎八」で略称「アボ蕎麦」を食べることにした。その前にはもちろん、生ビールを飲む。「アボ蕎麦」は、平茶碗のような形の大きな美濃焼の黒っぽい器に蕎麦が盛られ、トマト、玉葱、オクラ、キウイがあしらってある上に、切れ目の入ったアボガドの半身がどんと鎮座している。それにツユを好みでかけて、ぐじゃぐじゃと混ぜて食するのだ。レンゲが添えてある。ご想像の通り、ちょっとねばねばする。ぱっと一味を振ると、パンチが効いてさらによい。この間はじめて食べてみたが、また食べたくなった。夏向きの、クセになる味である。ネーミングがいまいちだが、味は悪くない。「勝おろし」(蕎麦の上に豚カツと大根おろしがのっている)に続く、「五郎八」オリジナルメニューの精華?といふべし。

 メールボックスに立ち寄ったら、大学院の講義でNさんがおいでになっていた。ぎりぎりまで申し訳ないことです。専任教員で休講にしているヤカラもいるというのに…。今日は守覚法親王のお話とか。時間があったら拝聴したいなあ。

 13:30から大学本部棟でナントカWGの第一回会合。畏友教務主任殿が悪態をついている。連絡に不行き届きがあったらしく、頭から湯気を上げていた。

 座長を決めろというので、ひと揉めした挙句、E学部の教授がお引き受けあそばしたが、私は幹事に指名ということとあいなった。本部がどれくらい本気なのか定かでないが、少し暴れてやろうかとは思っている。

 本部棟を出るところで、S教務部副部長閣下とすれ違う。「Kawanami」にいらっしゃりたいそうだが、入るのが怖いとか。まあ、シェフのカワナミさんは変な人だけど、とって食われるわけじゃないし、べらぼうに高いわけでもありませぬ。ランチで様子をご覧になってはと思いますよ。しかし、とにかく入りにくい店なんだよなあ。情報もほとんどないようだし。

 予定通り会議が終わったので、図書館の特別資料室へ鎌倉期の資料を閲覧に行く。そうしたら、井上宗雄先生がお見えになっていた。ははーっと最敬礼。詩吟関係の版本をご覧になっている。次々と面白いお仕事をなさるものだなあ。先生をお見送りし、自分の調査は短時間で終えた。すると、午前中に届けたおまんじゅうに、お茶を淹れて出してくださったので、ありがたく頂戴する。F調査役は気楽な格好で走り回っておいでだ。誰も調査役とは思わんだろう。

 16:00から図書館で会議。またまた電子媒体委員というのを引き受けたのである。委員長が決まり、スケジュールを確認して20分弱で終了。一目散に帰宅する。

7月27日(月)その2

2009年07月27日 | 昔日記
 16:30から会議がひとつ。予定通り1時間で終わる。お茶菓子に近江八幡は「たねや」の「雅鮎」が出た。お茶はペットボトルの小だったけれど…

 雨が降ってきて、少し涼しくなった。夕食は珍妙アボガド蕎麦でもと、「五郎八」まで行ったが、準備中だったので、「AMA」へ。もう、くたくた。ビールと豚串1本をとり、今日はカレーの気分じゃないので、「タイ風オムレツ」というのを頼んでみたら、中身は野菜だった。がっくり。仕方無いので、ビールをもう1杯。渡部泰明氏が出した岩波新書を読む。さすが、元俳優の東大教授だけのことはありますな。夏合宿までに、院生諸君に読んでくるよう、指示を出すかな。実に渡部氏らしい内容である。

 「AMA」の階段を降りて、交差点のほうへ歩き出した途端、右手から巨大な欧米人がずんずん歩いてきた。一瞬まごついたのが祟って、接触し跳ね飛ばされる。いやはや、こういうのは気が滅入りますわ。オレも歳をとったものだわい。欧米人のやろ~は何事もなかったかのように行ってしまった。「ケーニヒスティーゲル」に、我が「九五式軽戦車」が跳ね飛ばされたようなものである。欧米人には敵わん。しかし、ここは日本であるぞ。無礼者。生麦事件起こしてやろうか。

 研究室に戻り、朝いち演習の試験の採点をする。出来はあまりよくない。持ち込み不可にしたからな。K先生からメールが来ていた。返信メールに愚痴を綴っていたら、7限となる。夜学の講義も試験を実施。21:00過ぎまでかかった。

 それから春闘団交の会場へ走る。着いたのは21:30過ぎだが、あいかわらずの膠着状態らしい。J教授の隣に座る。学長や理事の話を聞いていると、最終的には教員の個別業績評価と年俸制に持って行きたいと、考えているように思えてくるのだが、勘ぐり過ぎであろうか。そうしたら私なんぞはクビだろうなあ。大学に全く貢献していないもの。定年退職まであと7年、持つかなあ?

 夏休み後に理事会側が再提案する方向で、終わったのが22:45。今日は団交開始が20:00だったはずだから、早く終えたらしい。やれやれ、助かったぜ。「××の一番長い日」だった。阿南陸相のように、割腹のひとつもしたくなった、さんざんな一日でした。

7月27日(月)

2009年07月27日 | 昔日記
 Aさんと連名で執筆した短い論文というか、資料紹介のようなものが載った雑誌が発行された。雑誌と抜刷は、昨日のうちに自宅に届いていた。朝いちで出勤し、北京から一時帰国しているK准教授や、隣の研究室のT教授に雑誌を進呈する。同じ雑誌には、S君も長いものを載せている。 

 しかし、何が悲しうて今日まで授業をせにゃならんのだろう? 朝いち演習は、教場試験である。1時間ほど試験を実施。ところが、試験だけで終わると、半期15回授業の外数になるのだ。仕方無いので、30分ほど春学期のまとめの講義をした。行基式日本図と五畿七道について話す。秋学期への指示は、ええい、もうやめだ。夏休みは休みたまえ。秋は秋で、また一からやりますから。

 大学院の授業は先週で終わりにしたので、成績等を事務所に提出した。片っぱしから処理していかないと間に合わない。研究室に戻ったら、K助手が出勤している。私の研究指導について、いろいろ御意見を承った。なかなか耳の痛い話だ。

 正午となった。キャンパス図書館の課長と連れだって、「すゞ金」へ行く。まず鰻重をいただき、オープンキャンパスで展示する、杉本苑子の書状・葉書ほかをお借りした。杉本苑子の実家は、「すゞ金」の2軒隣で薬屋を営んでいた。「すゞ金」の先代とは交流があって、その書状や葉書は、いつも店内の目立たないところに、額に入れて飾ってある。それを、せっかくだから、図書館で展示させてもらえないかとお願いしたのである。今日の「すゞ金」はやけに混んでいた。これだけ暑くなると、誰しも鰻に食指が動くよなあ。

 昨日、国際短歌大会表彰式の着替え室に、腕時計を忘れてしまった。電話で問い合わせると、保管してあるとのこと。暑い中を、神楽坂へ引き取りに行く。も~死にそう。焼け死にそうだ。手ぶらというわけにもいかんので、「梅花亭」でお菓子を買った。ご丁寧にと、フロントのおね~さんに丁重に辞儀をされた。

7月26日(日)

2009年07月26日 | 昔日記
 国際短歌大会の表彰式のお手伝いをする。10:00の集合で、終わったのは18 :00過ぎ。ああ、疲れた。

 Eさんが学会誌の査読に、修正採用になったとの報告を受ける。ものすごく厳しい査読なので、ほぼ諦めていたのだが、たいしたものである。なんだかんだで、着実に論文が活字になっていくのは、甘心、甘心。ここのところ、我が研究室の査読論文の打率?はすこぶるよい。自前の雑誌等を持たないので、ひたすら査読誌にチャレンジさせるか、業績的にポイントはゼロの同人誌に書かせるかしか、選択の余地はないのだが。私の亡き指導教授からは、前者で行くのがあくまでもノーマルなのだと、耳にタコができるほど言われてきた。まあ、私自身、企画力や政治力、組織力がないから、気のきいたことができないのがいけないのだけれど。

 本年度の後半には、まずWさんの課程によらない学位審査があり、それから順調に行けば、課程による論文が2本提出されるはずである。それらの審査委員の手配は、すでに終わっている。Nさんのについては、元指導教授の、目白のK教授にご快諾いただいたが、相当いいものが仕上がるんじゃない?と、今日メールが来た。期待が大きいぞよ。

7月24日(金)

2009年07月24日 | 昔日記
 T先生が今日、研究室においでになるというので、「緑の豆」で水出しコーヒーを買い、おそらく何かお土産を下さるだろうから、「遠音」へ行ってお返しの品をみつくろう。花札演習用の賞品も合わせて購入。

 15:30ぴったりにお見えになった。T先生はヨーテボリ大学の教授であり、5月から京都の日文研へおいでになっていたのである。27日にご帰国のよし。論文をいただいたので、私の最新の論文が掲載された雑誌や、編著などを進呈した。お土産には「久保田 萬壽」をくださったので、「遠音」で選んだお返しを差し上げる。

 40分ほどお話しをする。学科の再編で、建物を移動されたとのこと。スカンジナビアの学会がヨーテボリで開かれた時、パートナーが研究発表するのについて行ったことがある。その時お訪ねしたすてきな校舎から、50m離れたビルにお移りになったという。また、近年上からの締め付けがとみに厳しくなったと嘆いておいでになった。いづくも同じ…である。

 肝心なお話は、交換研究員の受け入れ教員になって欲しいとの打診であったが、お安いご用とお引受けした。我が大学の図書館は、外国の大学教員に至極評判がよい。資料がよく揃っている上に使いやすく、また外国人研究者用の宿舎が便利なところにあるのだ。そうそう、韓国のPさんの宿舎も、8月になったら申し込まないと。来月の頭には苺白書大学のH先生もお見えになるというし、結構国際的なお付き合いも盛んなのでありんす。

 花札演習は今日が最終回。図像学の視点から授業を展開してきたが、最後はやはりゲームとしての側面も取り上げなければなるまい。まったくやったことがないという学生も結構多いので、花合わせの超簡略版を説明したプリントを配布して、トーナメントを実施。1位となった女子学生には、賞品として九谷焼の花札ストラップ(「遠音」で売っとります)を贈呈。7月だから萩に猪のヤツにしました。それから、先週「花闘」の素晴らしい発表をしてくれた韓国人留学生に、柳に道風のストラップを特別賞として贈呈。「花闘」と一番違う図像だからね。

 そういうわけで、花札演習は楽しくお開きとあいなった。皆熱心に参加してくれたので、「A」を乱発したいところだが、30%以内という決まりがある。ご了承あれかし。秋学期は、明治時代の職業風俗画を取り上げる予定である。

 パートナーに電話を掛けると、図書館前に来てとの指示。蒸し暑い。不快指数がずいぶん高そうだ。水の中を歩いているような気分がする。到着すると、H社のSさんがおいでになった。パートナーの学部同期生。3人で遅まきながらSさんのお誕生日祝いをすることになっていた。目星の焼き鳥屋に行くと、予約で満員。仕方がないので、今日も「AMA」へ行く。新書か選書を出したいとSさんに相談した。あまり長いのはダメだそうだ。選書は売れない。200枚くらいで新書というのが、めやすいらしい。それくらいだったら、ちゃちゃっと書いてみようかしら。むしろパートナーのほうが、好適なネタがありそうだ。『男は変わる?』という書名なら、間違えて買う人も多いんじゃないかな。内容は、日本語の変化の問題だけど。 

7月23日(木)

2009年07月23日 | 昔日記
 卒論演習は今日が最後。先週都合で休みにしたので、まずIさんのテクスト検討結果について細かな話を聞く。レベルを2つくらいに分類すれば、うまく処理できるんじゃないかな。依拠するテクストに関してじたばたしておくことは、今の段階では大切なことだと思う。Kさんに貸していた架蔵の古注は、同一のものがなかったそうだ。案外珍しいものかもしれないが、百人一首の注は掃いて捨てるほどあるからなあ。夏休み中の作業の進め方、休み明け以降の卒論指導の要領について説明してから、さあ、昼飯食いに行きましょうと、一同を引き連れて「AMA」へ。交差点のところで学生担当教務主任殿と一緒になったが、今日は「メーヤウ」にはおいでにならなかったらしい。まあ、ともあれ学生とお店に上がり、カレーセットだのフォーだのを注文。ビールもちょっとだけ飲む。

 メールチェックしたら、スウェーデンの大学の教授であるT先生から、明日研究室で会いたいとのこと。16:30から学部の演習なので、その前ならOKと返信する。15:30に行くと、すかさず返事が来る。何かお土産用意せにゃなるまい。

 博士課程の研究指導は、Sさんの発表。一番専門が近いNさんは、博論のラストスパートで欠席だったし、S君も現れないので少し困ったが、あれこれ意見を申し述べた。結局、私の意見は、昔よく言われていたようなことだったらしいが。10世紀のテクストは全く専門外なので、申し訳ありません。でも、面白かった。

 修士の演習は、春学期に読んできたものの最後のところをTさんに報告してもらう。読み方に関してはもう少し修行が必要だな。引き続き今日は特別に、秋の学会で研究発表するUちゃんに、ラフな下発表をしてもらった。時間に対する分量はちょうどよいし、筋立てとしてはしっかりしている。水準、水準。ただまあ、緊張して話すと、どうしてあんなに聞きづらい発音になるのかなあ。ボイストレーニングが必要かも。

 18:00からの会議に、少し早めに行く。もっと面倒かなと思っていたら、30分ほどで終わった。やれやれ、一丁あがりである。食事が用意されていた。これから大学院と研究会の合同打ち上げ会なので、食事は不要とメールをしたはずなのだが、せっかく用意してくださった以上、有り難く頂戴する。そして、打ち上げ会場のお店へ走った。安い飲み放題のコースだったので、料理はややお粗末で、夕食食べてきて大正解。私はもっぱら日本酒にする。参加者は、最終的に16名(S君は終了間際に参着)。Uちゃん、幹事ご苦労さま。女三宮が好き!と叫びまくるのには、閉口したけどね。

 秋の学会の大会は、UちゃんとK助手が発表することになっている。学内学会と、大学院生中心の研究発表会にも、それぞれ1人ずつ出てもらいたいと、修士課程の他の諸君に話しておく。Oさんも、査読雑誌に論文が修正採用とあいなって、やっと一つハードルを越えた感じ。Nさんの推薦状は近々書いて送ります。あ~忙しい、忙しい

 web試験の採点作業も、順調に推移している。白紙答案を出している受験生に、何かのエラーではないか確認されたしとメールした。救済措置も用意してある。なんと周到な先生でしょう。我ながら感心いたしますわ。

7月22日(水)

2009年07月22日 | 昔日記
 会議日である。まず8月1日~3日のオープンキャンパスの折の、キャンパス図書館の特別展示に出陳していただく、資料の借り受けについて近所へ交渉に行く。1週間ほど貸してもらうことで話がついた。そのまま図書館に行き、N課長と来週月曜に一緒に借りに行くことを打ち合わせる。乞うご期待。大学の近くで生まれ育った某女性作家の私信・ハガキ類を、まとめて展示する予定。

 13:00から臨時教授会。キャンパス内の建て直しに関して、昨年教授会が承認した内容を変更する提案が諮られた。旧案の策定に関係した先生から強い反対が出たが、最終的な決は、圧倒的多数で現教務案が支持された。私は皮を斬らせて骨を断つの新案が、内容的にもよほどよいと考え、教務案に賛成した。もっとも、出席者はあまり多くはなかったが。

 引き続きカリキュラム委員会。前回欠席したので、話がよく分からん。任期ももう終わりなのに、夏休み中に次回も開くという。この任期が終わったら、今度は別の基幹委員に就任である。春闘も一向に終わらんし、いかにぞならむ?

 研究室に戻ったら、まだ教室会議をやっていると言われて、慌てて最寄りの会議室へ。肝心な議題はあらかた終わっていたが、追加意見を述べ、少しこまごまとした問題について話した。

 コース研究室では院生諸君が鳩首会談中。研究発表会の日程、発表者に関する相談らしい。誰がいいでしょうと言われたので、意見を述べておく。

 さあ、帰れるぞ。本屋に寄った後、まだ明るいので神楽坂で買い物をする。まず「ラ・カーブ・イデアル」でロゼのワインを買い、「長寿房」で長芋の豆腐を買う。ポイントが溜まって豆乳がもらえるのだが、売り切れで次回ということに。それから「うつわや釉」へ寄って、野口稔作のぐい吞みを受け取る。次は「アルパージュ」へ。今日は「ロックフォール」がいいんだけど…「パピヨン」というのにした。こちらもポイントがたまったので、ドライフィグをいただく。姑が好きなんだよね。早稲田通りを横断して「緑の豆」で「神楽坂ブレンド」200gを焙煎し、挽いてもらった。「神楽坂まつり」で、ホオズキがたくさん売られている。ついでに「ベッカー」でフォカッチャを購入。うわ~、だいぶ散財したぞ。毘沙門天付近の屋台を冷やかしたが、人が多くて暑苦しい。

 帰りの電車で長谷川櫂『和の思想』(中公新書)を読む。職業がら、高校の教科書に使えないかとついつい頭が働いてしまうのだが、これは非常に好適な素材だ。やっぱり文章がうまいねえ。惚れぼれする。あとは光人社NF文庫の新刊を買うこといつもの通り。光人社は教科書には使えません。

 web試験は本日まで。操作ミスで白紙答案を出したと泣きついてきたのが数件。存外少ない。明日の12:00までにメールで送れと指示する。寛大な先生で、よかったね。

7月21日(火)

2009年07月21日 | 昔日記
 次期執行委員への引き継ぎの会が開かれるので、ウキウキと組合事務所へ行く。といっても我々の任期は10月の大会までなのだが、次期の委員は既に選出され、担当部署もほぼ決まったので、夏休み前に新旧の顔合わせとなった次第。

 次期の情宣部長は、附属高のK君である。私は形式的に1年だけ、K君の指導教授をつとめたことがあるし、今はNさんが非常勤でお世話になっている。井上宗雄先生の直弟子で、非常によい研究をしており、我が大学の次代を担ってもらうべき逸材だが、論文はやや寡作という感じ。附属高はご多忙なのであろう。

 引き継ぎは超簡単であった。なにしろ情宣部というのは、実はほとんど仕事がない。広報媒体は、幹部執行委員と書記局の差配で、どんどん発行されていく。やったことといったら、新任教員への加入勧誘ビラを作っただけである。あとは、web上のデータベース構築を目標に掲げていたが、書記局がお忙しくて、とても着手できなかった。その点、取り組むとしたらかくかくとお話をしておいた。

 引き続き執行委員会。来週また春闘団交がある。職員組合は妥結を急いでいるらしく、対案を検討しているよしだが、教組はまだその時期ではないとの判断である。聖戦貫徹!という雰囲気だ。でも、落とし所はどこか、現実的に考えるべきじゃないかな。職組の言っていることも分かる。教組としては、賃上げ要求を取り下げる格好になるのがいかんらしい。私だったら、社保手当は完全に譲歩して、各期手当ての月数は理事会が言うように名目上下げ、その分は本給と住宅手当に載せさせて、ついでに0.95%の賃上げも実現させる(この%は満額とはいかないだろうが)という方向で対案を出すんだがな。そうすれば理事会も組合も、双方面目が立つはずだ。でも、来年3月まで春闘を続けるなんて言ってるよ、おいおい。

 21:30に終わったので、ちょいと1杯のつもりで「太郎月」に寄ったら、結構深酒に及んでしまった。どこかで聞いた声だなと思っていると、A学部の走る哲学者、H先生がおいでになる。後からT学部のI助手も入ってきた。U教授の研究室の打ち上げを「太郎月」貸し切っておやりになるらしい。豪勢だな。大将に叉焼と焼き〆鯖を勧められたので、頂戴する。素材がよいのは分かるが、まあ叉焼と、少し酸っぱい焼き鯖に他ならなかったわいな。「黒牛」を飲んでいたが、最後に「太郎月」で一番高い酒を注文してみた。ほほう、最初から飲む酒ではないが、複雑微妙で、思わずうなってしまいましたわ。

7月20日(祝)

2009年07月20日 | 昔日記
 祝日だが、実はウチの学部は、今日明日と補講日である(大学は正規授業日)。朝いち演習は補講の必要がないので、今日はお休み。ところが、補講明けにまた授業があり、来週火曜までは正規授業期間となっている。私は27日まで、授業をせにゃならん。

 K教授のブログを拝読すると、補講までで春学期授業は終わったものと認識していらっしゃったらしい。お気持ちは分かるが、甘い、甘い。まだまだ大学院の授業はみっちりあるし、学部もひとわたり、最後の授業が残っている。もっとも多くは、教場試験プラスまとめということにするつもりなのだが…(試験だけ独立して実施すると、半期15回の外数にカウントされるので)。

 先週の教授会で、畏友教務主任殿は実によいことをおっしゃった。そもそも教務部が滅茶苦茶なのだという。7月最終週まで授業させておいて、その一方では学生がインターンシップなどのプログラムに参加することを認めている。正規授業をないがしろにしているくせに、なんじゃらほい。これで賃金下げるなどと、よくも言い出せるものだ。小中高が夏休みに入ったのに、大学が延々と正規授業していたのでは、学生諸君も塾講などのバイトに困るだろうが、まあ、そんなことは瑣末事なのかもしれない。

 インターネット上で学期末試験を始めたら、問題が開けないと苦情のメールが殺到。読解問題の資料にリンクした図書館のデータベースがダウンしている。正規授業日だったのが幸いし、9:00に連絡したら迅速に対応してもらえた。胸を撫で下ろす。再受験できるよう措置した旨、断りのメールを出す。去年までは受験可能期間を24時間としていたが、本年度は3日間に設定しておいてよかったぜ。

 休みとはいえ、試験問題を作りまくる。回路さえ繋がれば、私の作問能力は低くはない。だいぶ錆ついてきたことは、確かであるが。しかし、石田純一は達者だねえ…と朝の芸能ニュースを観て思う。

7月18日(土)

2009年07月18日 | 昔日記
 蒸し暑い。私のようなメタボには辛い時節である。娘がバイト先に弁当を持って行くというので、出汁巻き卵を作る。味は濃い目にしておく。パートナーはいなり寿司を作った。時期が時期だけに気を遣うが、匂いのしないようにしてと、なかなか注文が難しい。

 W文学会の例会である。渋谷に出て乗り換え、割とぎりぎりに会場校へ到着。私は例会副委員長なのだが、今日は当番ではないので気楽。

 前座がウチのU君。司会は外大のM氏だが、チクチク皮肉を言いやがる。S君、やっぱり読み原稿を用意していないらしく、はらはらする。以上で発表を終わります…おいおい、結論というか、肝心要なことを言ってないじゃないか! 質疑では最初にI先生が挙手してくださった。S君もぜひコメントをいただきたいと言ってたから、よかったね。続いて、敢えて私が質問する。指導教授が質問するのはとっても変なんだけど、背に腹は替えられぬ。それでようやく発表の趣旨が、聴衆に理解されたと思いまする。最後にNさんが、「学問所」の問題が重要だと、願ったりの指摘をしてくださった。今回はそれがキモだったんだよね。まあ、何とかなったかな。

 2人目は、先月のC文学会大会の発表者。その続きといった内容だ。とにかく資料が分かりにくい。質疑となって、Uちゃんがさっと挙手。おお、学会質疑デビューじゃないか! なかなか印象的なシーンでしたな。トリはMさんの精緻を極めた発表だったが、洛北の「長谷」を「はせ、はせ」と読むのが、耳につき、いたたまれなくなった。それで、「あれは〈ながたに〉と読むのではないか」と下らん指摘をしたら、「今回は〈はせ〉に統一してみました」と変なことを言う。基礎から勉強し直したまえ。お手上げだぜ。すると続いて、N女子大のO先生が、新たな伝本の存在を紹介された。会場が、おお!とどよめく。Mさんが発表した『新M集』は孤本で、江戸時代の目録にもう1本の所在が掲載されているのだが、どうやらその本が出現したということらしい。しかも序の一部が付いているという。いやはや、すごいことだ。こういう場面に居合わせるのが、学会参加の醍醐味の一つかもしれない。

 委員会は秋の大会の件が中心。発表申し込みが少なかったので、追加分を含めてすべてご採用とあいなった。Uちゃん、安心されたし。そうしたら、後ろの席に座っていた、多摩川のかなたの禅宗大学のN教授から肩を叩かれた。彼は今、C文学会の事務局を引き受けている。そちらも秋の大会発表者が足りないらしい。誰かお宅で出せないかと相談される。そこでK助手の携帯に電話すると、二つ返事でOK。面目をほどこす。やれやれ、札幌に行かなければならんなあ。

 今日のS君の発表により、去年の4月から始めて、私のところの博士課程研究指導参加者は、私自身を含め8名全員が、W文学会で研究発表をしたことになる。まあ悪くない回転率であろう。

 飲みには行かず、まっすぐ帰宅。パートナーからお小遣いをもらったが、使わなかった。おっつけ娘も帰ってきて、家族揃っての夕食は久しぶりだ。シアトル土産にA先生からいただいた、スモークされたサーモンを皆で食べた。娘が「アメリカで食べた味だ!」と感激している。

 私がブラザー・トムに似ていると、娘の友人たちが言ってるらしい。あんなに色が黒くはないぞよ。

7月17日(金)

2009年07月17日 | 昔日記
 社会学科4年の娘は、そろそろゼミ論のテーマを届けるのだそうだ。「たいしゅう文化論」にしようかと思うと言い出したので、そりゃまたずいぶんお堅いテーマじゃないかと答えると、「大衆文化論」ではなくて、「体臭文化論」なのだそうである。そんなキャッチーな題目にしてどうするの?と言いたいが、幼少の頃から落語を聴かせて育てた子だから仕方がない。

 パートナーに内緒で腕時計を買った。私は元来、腕時計は大嫌いなのだが、セイコーの万歩計付きを入手してこのかた、こいつは手放せなくなった。一方、変な腕時計を見つけると欲しくなる気性で、文字盤がアラビア語表示のものとか、干支表示のものとかを持っている。アラビア語なんぞは全然分からんから、その日の曜日も分からない。

 セイコーから「ヌーカ」という新製品が出た。一目見て、デザインに魅了されてしまった。昨日から装着している。分の表示が、いわば砂時計みたいになっていて、「時」を「量」というか、「嵩」で感覚できるのがミソ。我々大学教員は、90分単位で話をすることが身についているが、こういう表示は授業の感覚にぴったりくる。秒はデジタル表示だから、存外精密なのだ。当分使ってみよう。パートナーには内緒である。

 さて、花札演習は、韓国からの留学生Rさんに、「花闘」のプレゼンをしてもらったが、実にもって秀逸な発表だった。もう「A+」を確実に差し上げます。「花闘」は日本の「花札」が入って変化したものだが、これをテーマにした漫画や映画、TVドラマが大ヒットしたそうである。デジョンの大学教授をしているPさんに頼んで、今度来日する時、その漫画を買ってきてもらうことにしよう。最後に「ゴーストップ」のゲームを実際に行ってもらった。来週は最後の演習だが、日本の花札をゲームとして取り上げる予定。しかし、大学の授業で花札をやらせて、いいのかいな? まあ、「表象・メディア」だから、構わんとは思うのだが…

 演習を終えて研究室に戻り、S君の発表資料作りを手伝う。Uちゃんも動員された。Oさんにもらったワインを供する。明日は三軒茶屋の女子大で学会だ。