そのころ、世に数まへられぬ古教授ありけり。

この翁 行方定めず ふらふらと 右へ左へ 往きつ戻りつ

10月21日(月)大学創立記念日

2019年10月21日 | 公開
  先週末土曜日は、高校の東京同窓会があって、同期のI元校長が副会長に就任し上京するというし、クラスメイトのS君も出席するという食事会にから、11:00に会場品川のホテルへ行く。卒業期の近い者でテーブルがセッティングされていたが、同テーブルの2期先輩の女性が国文で建礼門院右京大夫集で卒論を書いたとおっしゃるので、どなたがご指導で?と怖ず怖ずお尋ねすれば、久保木哲夫先生ですと。あらら、大先生はもとより、若先生にも非常勤出講していただいており、お世話になっていますと盛り上がった。反対隣りにお座りの、1期下のお医者さんは、お嬢様が勤務先大学の2年生だそうで、これまた奇遇であった。

  日曜はお稽古事の会の、15周年の食事会へ出席のため原宿へ。有名な中華料理店の本店が会場だったが、このお店、高校教師をしていた時に一度来たことがある。何十年ぶりかであった。乾杯の音頭を取らされたので、腰折れをその場で詠む。

    とをあまり いつとせをへぬ ほしともり うたひらくわざ まなぶつどひは

  ただごと歌である。

  それで本日は、大学の創立記念日であり、昔は休日だったが、昨今の文科省通達のせいで、きょうびの大学は祝祭日は無いのが普通である。それでいて、明日の即位の礼は休みなのだという。

  夕方、編集会議に出る、編集委員仲間の勤務先、市ヶ谷大学や、明治の次大学は、即位の礼関係なく授業実施日なのだそうである。なるほど、中核派や宗教系は、違うなあ。ウチの大学でも、その話題がとある委員会で出た時に、創立記念日に授業を行い即位の礼を休むとは、バカ田大学は右翼か?と詰ったのだけれど、理事会の決定だと相手にされなかった。

  明日は大雨だそうだ。令和になっても自然災害は、一向に収まらない。新帝の徳無きこと顕証である。我が国もはやく、共和国になったほうがよいと、左翼教授は思うけれども、昨今は共産党だにすらさへ、そういうことは言わなくなった。天皇陛下、まんざい!

  

10月10日(木)戻って来た日常

2019年10月10日 | 公開
10月8日、先週休講にした社会人向け講座の初回を務める。
「たらちねの ははのかたみの かはら数珠 てくびにつけて りんだもぢるひ」

10月10日、中世文学会賞を受賞することが決まった研究生K君から、弥陀の名号を歌頭に置いた哀傷の七首を贈られる。藤原定家の『名号七字十題和歌』の論文を、ここのところ書いているからだろうか。K君は本チャンの、浄土宗の僧籍をもっている。まあ、師匠が師匠なら、弟子もこのレベルか。

  恩師の母君の服に当たりて、愚詠名号七首和歌
「長月の 末にぞ君の たらちねは 旅立ちたまふ 君にみとられ」
「漏る涙 ひとつひとつに 込めらるる 母への思ひ 深くもあるかな」
「阿弥陀仏の 国へと急ぐ 君の母 君の祈りに 支へられつつ」
「弥陀の慈悲 さふるものなし 安らかに 至らんことの 頼もしきかな」
「たへがたき 悲しみおして 学び舎に 赴く君の 心強さよ」
「深からむ 母への思ひ いかばかり 日日かしづける 心尊し」
「つひに行く 仏の国は 倶会一処 ふたたびまみゆ 花の台に」

ただちにお返事申し上げる。

  名号七字の御歌に返し奉る 雲州甲乙人
「ながつきや むまれやまひて おいてしぬ ひととあきとの わかれなりけり」
「もれいづる なみだのつゆの おくつきに をさむるひまで いのりつづけむ」
「あなうれし ほとけのみてに すくはれて はすのうてなへ ははのいたれば」
「みづからは なごめるかほの たへにして よろこぶといふ なをばおひけり」
  注して曰く、戒名をば和顔妙喜といふと
「たましゐも わがみにそはぬ なげきとて さだいへのきみ うたひたまひき」
「ふかくして くらきかはあり わたしもり ははわたしてよ こころやすけく」
「つきかげに たとふるさとり えてしがな なもあみだぶつ なもあみだぶつ」

研究指導の時間にやってきたK君に、早々とお祝いを渡した。気に入ってくれたみたいである。

10月7日(月)母の没後

2019年10月07日 | 公開
十月五日、学会出張、奈良にて
「いまはなき ははわれつれて こし奈良の 赤膚焼の かのこざらはや」
「えきまへに 温泉つきの やどとりて のちのみわざの つかれいやしつ」
十月七日、つとめて
「大投手 金田正一 なききははに みかさきむまれ なぬかをくれ死す」

10月2日(水)遺骨となった母

2019年10月02日 | 公開
またの日は、授業をおこなう。
「きぞのうちに ははしにたれば けふのあさ 一時限めの 授業いそぎぬ」

十月一日、朝いちばんの釜にて、母荼毘に付す。
「はなのなき にはのあぢさゐ おもひいであり たらちねのひつぎにいれむ はのみなれども」
  ↑「ショートステイ はじめてかよふ ははのてに にはのあぢさゐ きりてもたせつ」(2017年6月旧詠の改訂版)

「茶ずきびと ははなりければ 一本の 茶杓ひつぎの むねのうへにおく」
「たくひれの しろき遺骨は ことごとく しろきみつぼに おさまりにけり」

十月二日
「しらたまや なみだのつゆぞ ゑりにおく ははみまかりて いくかならねば」