神田の古書会館で開かれている新興古書展へ向かう。メトロ駅近くでキャンパス図書館のF課長とすれ違ったので、「志乃原」が今週で閉店だから最後に手繰ってきたと申し上げると、行かねば!とのお返事。やはり図書館関係者には、馴染みの深いお店だったのだ。
御茶ノ水から坂を下って会場に入ると、五十嵐さんがおいでだったので、ご挨拶した。『五十嵐日記』の、五十嵐さんである。今や古本業界の超有名人。
A書店にお願いしていた写本を見せていただく。珍しいものだが、拝見すると図書館に買ってもらうほうが好適だろうと判断される。そこで、しばし猶予をいただいてトイレの前から特別資料のK課長に電話すると、それくらいの値段なら収蔵しましょうと一決。東京古典会では希望を全部取り下げたし、こうした、ここぞという時には、日ごろの謙虚な態度がものを言うんだよね。結局自分では何も買わず(谷山茂旧蔵写本の面白いものが1点あったが、やめておく)、会館を後にしようとすると、K研のO教授が入ってこられた。なかつよ文学会機関誌への原稿を督促する。あまり追い詰めてもいけないが、そろそろ釘を刺しておく必要があったので、ちょうどよかったわい。
そのまま歩いて須田町方向へ。「まつや」の前には人が列をなしていた。いやはや、ご繁盛である。12月下旬はクリスマスに、同居人と娘の誕生日も重なって、ぼんやりできない。娘のバースディ・プレゼントは本人指定の物があるよしで、同居人のほうを物色。これは!というものを、一応入手した。あとは姑殿と老母へのクリスマスプレゼント…。
神楽坂へ戻ってコーヒーを買う。もう年末なので400g焙煎していただいた。「うつわや釉」でお願いしていた品を受け取る。お店にTさんとNさんがいらっしゃったので、Tさんに、私の卒論指導の学生がJ社に入ることになりまして…とご報告。入るのが難しいから、よほど優秀な学生さんなんでしょうね!と言われた。優秀かどうかは知らんが、出版社向きの、ユニークな学生ではありまする。Tさんのお連れ合いは、前に当社の社長をなさっていたのであった。
18:05開始の会議に出る。A前学部長に、神楽坂でもとめた税抜き390円也のお歳暮を差し上げた。これは、めっぽうかいに美味い缶詰である。会議はまあ、折り合いがついてきた感じだが、上つ方の危機感を、蒼生はちっとも理解しておらぬことが問題なのだと思う。9月まで一応、公卿簽議?の場に連なっていた現散位、前代官・現小普請組編入の身としては、両前学部長閣下の危機感は、よ~く理解できる。そうなのだけれど、皇国の荒廃この一事にありと言われても、民草の違和感・抵抗感は存外大きかろう。それを、人徳の無いA前学部長みたいな御仁が言い募れば、そうでなくても脅迫に聞こえて、反発を買いかねない。L前学部長はめでたくも星の位に登られたが、そこで見聞された現実を上手に民草に伝わるよう、配慮されるべきかと思う。恐ろしい言い方になるが、その人のもつ価値は人によって違う―ということになるのかな? 大学も企業論理で動く時代へ。ひっくるめて言えば、政治的な感覚が必要―ということか。現両学部長閣下はそのあたり、しっかりした考えをお持ちの方々なれど、事はスピード感を要する。ぶっちゃけ、今の教員(とくに50歳以上のロートルども)は全部クビにして、総とっかえするくらいの話に行くのかも知れませんな。大学教授なんて、スポーツ選手と同じだもの。事はそういうふうに進むと思いまするがな。定年目前の小生は、さて逃げ切れるか? 実は、勤務先に対する「愛校心」みたいなものを、全く持ち合わせていないことに、吾ながら呆れるほどなのである。もう、どうでもいいや、亡父が死んだ年齢まで生きてさえ行ければ…。
会議は20:00過ぎに終わったので、直帰する。同居人は研究会の忘年会とやら、まだ帰っていなかった。冷凍ライスバーガーを2つ解凍して、遅い夕食とする。スターマッコリを1瓶空けたところで、ご帰宅あそばした。