そのころ、世に数まへられぬ古教授ありけり。

この翁 行方定めず ふらふらと 右へ左へ 往きつ戻りつ

7月31日(火)三朝庵、閉店す

2018年07月31日 | 公開

  社会人向け講座夏学期最終回を終え、メトロで大学へ。代講で担当している科目の、定期試験の答案を受け取りに行く。研究室受付へと赴けば、美術史のT教授から、今日で「三朝庵」が閉店するって知ってた?と言われた。

  知らなんだ。最後と聞けば、りんだもぢらずんば非ず。交差点を渡っていると、「カツ丼終わりました 百年のご愛顧ありがとうございました」の貼り紙を出しているところであった。

  カツ丼以外はあります…とのことで、もりを注文する。500円也。つるつると、いつになく旨いような気がいたしましたわ。

  「三朝庵」は、味はさて措き、紛うことなく早稲田の老舗であった。「すゞ金」は鰻高騰のためか営業を休止しており、「志乃原」「いもや」も店を畳んでしまった今、往時の面影を伝える店は「源兵衛」くらいになるのかなあ。「牧舎」も変なピザ屋になっちゃったし。健在なる老舗№1は、「高七」か。

  早稲田も往時の早稲田に非ず。もともと愛校心の欠片だにすらさへ持ち合わせていない私だけれども、なんだか寂しい気がしたことでありましたよ。


7月26日(木)むまのはなむけ

2018年07月26日 | 公開

  春学期の担当授業も、やっと最終日である。卒論ゼミは3人の発表を聴く。5分ばかり時間超過した。そういうわけで昼飯は食えず、博士課程の研究指導に突入。ううむ、居眠りしてしまった。4時限目の空き時間に、「北京」へ行って堅焼きそばと餃子を食べる。

  修士演習は、輪読の総まとめというか、輪読したテクストを研究する場合の視点、切りこみ箇所について話し合う。早く終わるつもりが、そこそこまでかかった。

  さて、8月1日に北京に帰国するC君の送別会を有志で開催、「かわうち」を会場に、10名ほど集まった。もちろん、全員にむまのはなむけ歌を詠ませた。愚詠、下掲のごとし。

    張りきりて きたりしきみも いつしかと 博(ひろ)くまなびて かへるひとなる

    ひむがしの みやこにまなび からくにの 北の京(きやう)へと かへるきみはも

    かまくらや みぎのおとどの うたごころ 研ぎ究めなむ きみぞかしこき


7月23日(月)ボランティアは集まるまい

2018年07月23日 | 公開

  東京オリンピック/パラリンピックの学生ボランティア募集が、はかばかしくないそうだが、当然である。だいたい春学期末の試験期間だ。そこで各大学に、その時期の授業を休むよう要請?が出ているようだが、半期90分×15回の授業を厳密に実施させているのは、文部科学省ではないのか? 国民の祝日もこの時期に寄せて来るらしいが、寄せられた元の時期の休みは、どうしてくれる? 旧のお盆の時期を動かせというにいたっては、何をか言わんや。そのうち、ボランティアの人数を、各大学に割り当てて来るに相違ない。そうなったら、現代版の「学徒動員」である。

  学生たちは、災害地へのボランティアならば、喜んで向かうだろう。しかし、オリンピック/パラリンピックが、もはや利権と商業主義にまみれていることは、子どもでも知っていることだ。災害ボランティアと、オリンピック/パラリンピックのボランティアと、同日の談ではあるまいて。きょうび、学部生や大学院生に、大学のイベントや学会運営のお手伝いをお願いする場合、きちんと謝金を払うのは常識である。お国のためだといい、無料で働かせようというのだから、いったい誰がボランティアなどするものか。

  そもそも、どうしてこんな炎旱の時期に、オリンピック/パラリンピックを開催するのか、正気の沙汰ではない。そんなに学生ボランティアに依存するなら、はじめから大学の夏休みに開催してたらいいじゃないか。ボランティア参加啓蒙活動?に従事させられている学生の姿をみて、あわれを催した。嗚呼、国家の走狗、そのうち煮て食われることだろう。歴史は繰り返すと、つくづく思う。


7月19日(木)まだまだ続く春学期

2018年07月19日 | 公開

  2時限は卒論ゼミで、2名の発表を聴く。一条摂政御集の「とよかげ」部分と、閑吟集の枕歌群を中心とする考察。卒論を書く4年生の、夏休み前の発表としては、内容水準をいっている。来週は3名の発表を予定。

  結局昼飯は食えず、3時限の博士課程研究指導は、JA君の萌芽的研究を聴く。現資料の書誌的観察を、もっと徹底すべきである。4時限が空き時間なので、神楽坂へ行き、「うつわや釉」で金継ぎをお願いしていた茶盌を受け取る。うまく直っていた。またまた素敵な片口がたくさん入荷している。岸野寛さんの小壺も、何ともいえない。片口にはほんとうに、目が無い私。家が片口だらけになっているぞなもし。お店の脇で、広末涼子がドラマの撮影をしていた。今秋、放映の予定らしい。

  大学へ戻って、5時限は修士演習。輪読の最終回で、来週は総括を行なう。定家所伝本金槐和歌集全体の本文プリントを配布。6時限は研究会で、学部生の発表も聴く。この学生さんはなかなか筋がよい。国文系のサークルで鍛えられているせいかもしれない。修士の院生から、就職先が内定したとの報告を受ける。そういえば、J教授から博士号を取得したO君の就職が決まったとの話も聞いた。こもごも、うれしいかぎりだ。K君の著書出版についても、目途が立った。

  そうそう、今秋の図書館展示に関し、目玉となる展示資料を提案したのだが、個人蔵のその資料、快く出陳していただけることになった。図書館の企画担当の方々も、大喜びだった。お人のために尽力できたことはまた、うれしいかぎり。

  荊妻は教授会で、夜は卒業生と会食とのこと。教授会では、ひと悶着あったらしい。攻撃されたから、反撃したとのことで、怨敵は撃破し、同僚教授連から絶賛されたそうだ。いざとなったら闘うぞ!という姿勢が、大事である。いつもいつも、戦闘モードでいる必要はないけれども、闘うとき時は躊躇してはならない。やっぱり荊妻もワセジョだなあと、つくづく思ったことでした。(汗


7月18日(水)暑しといふもさらなり

2018年07月18日 | 公開

  なんという暑さだろう! いふまいと思へどけふの暑さかな

  教授会は長くかかった。現教務任期最後の定例教授会で、学部長殿の最後の挨拶を聞いて拍手をするのが礼儀だから、小便に3度も行ったぞなもし。

  最中に美術史のT教授が隣関にやってきて、明治期の古今集の小刊本をくださるという。研究室のお片付けで、重複不要本とのこと。刊記が笑っちゃうぜと言われたが、たしかに、笑っちゃいましたわ。


7月8日(日)出世景清

2018年07月08日 | 公開

  7月7日は関西で研究発表を行なう予定が、大雨のため中止となってしまった。学会事務局のNさんから連絡があり、また7月7日は秋の学会大会研究発表者の追加募集締め切り日で、申し込みが僅少だと聞いた。それならばいっそ、中止の例会発表をそのまま大会にはめ込んだら如何?と提案したところ、諸方面打診の結果その方向で調整が可能ということであった。そもそも今回の発表は、昨年秋の大会で発表するつもりで申し込んだのが、希望者多数で常任委員は遠慮しようとボツにしてもらったネタである。なんだかんだで、1年遅れになるが、まあ、人文学研究は先陣争いも熾烈ならず、治まる御代とこそ、めでたけれ。

  新神戸に宿泊し新山口へ移動する予定を改め、飛行機で山口宇部直行、小郡で泊まることにした。飛行機は予定通りで、新山口駅前で飲み屋を物色していたら、知り合いにばったり。一緒に飲む。

  朝、せっかく小郡で泊まったのだからと、再現された種田山頭火の其中庵を見学した。投句ポストがあったので、一句投げ入れる。

      其(そ)の中に はじめていれり なつ庵(右往左翁)

完全な、挨拶句にすぎぬが、まあ、水準か。(-_-;)

  駅前からバスで長門市へお連れいただき、「出世景清」333年ぶりの上演を観る。いやはや、素晴らしかったが、裸女を折檻したり、子ども2人を刺し殺したり、人を股裂きにしたり、自分で両眼をえぐり出したり、一般公演は難しいだろうなと、思わんでもなかった。

  月曜朝いち演習があるので、山口宇部空港から帰京。内山美樹子先生や、鳥越文蔵先生ご長女と同じ飛行機だった。


7月5日(木)いろいろありまして

2018年07月05日 | 公開

  先週末から、いろいろなことがあった。土曜は「どげだ会」すなわち、高校の同期会が品川で行なわれ、なんとなんと35名も集まる。参議院議員のS君も出席、スピーチが選挙演説みたいだった。日曜は業務で出勤、夜の20:30までかかった。その間、ショックな連絡を受け、その対応に月曜、火曜、水曜と振り回されることとあいなる。

  本日、卒論ゼミは夏休み前の輪番発表。なかなかのレベルに到達しつつある。修士演習は、7日の学会発表のリハーサルをさせていただいた。研究会も、文法にこだわる発表で、面白かった。

  修士演習に、自宅がJR最寄駅が同じ、J教授の研究室の院生さんが参加しておいでなのだが、過日、M駅の近くで、先生が奥様と手を繋いで歩いていらっしゃるのを望見しました、と言われる。お声は掛けませんでした、と。たしかに、そういうことは、心当たりがある。

  毎朝、老母に付き添って、20~30分ほど自宅脇の公園を散歩させているのだが、過日、仲のよいご夫婦ですね、と声を掛けられた。おいおい、冗談じゃないよ。もう、何がなんだか、わからんごとくある。(-_-;)

 

  本日の愚詠。

    ぬばたまの 喪服のごとき リクルート スーツを纏ひ ゆく女学生(右往左翁)