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日本の奇祭48「アスムイ・神田祭り」

2015年06月08日 | 日本の奇祭

一年を通して日本全国の各市町村で何らかのお祭りが必ずあります。

故郷を思うとき、まず思い出されるのが祭りではないでしょうか?

 

ただ世の中には、地元の人には普通で真剣なんだけれど、

外部の人から見ると摩訶不思議な世界に見えてしまう祭りがあります。

これを世の人は「奇祭」と呼びます。

 

奇祭とは、独特の習俗を持った、風変わりな祭りのことと解説されています。

 

これを、人によっては「とんまつり(トンマな祭)」

「トンデモ祭」とも呼んでいるようで、

奇祭に関する関連書物も数多く出版されています。

よく取り上げられるのは、視覚的にインパクトがある祭り

(性器をかたどった神輿を担ぐ祭りなど)がよく話題になりますが、

ほかにも火を使った祭りや裸祭り、地元の人でさえ起源を知らない祭りや、

開催日が不明な祭りなど、謎に包まれた祭りはたくさんあるようです。

 

これから数回に渡って奇祭を特集していきます。

その多彩さに驚くとともに、祭りは日本人の心と言われるゆえんが、

祭りの中に詰まっていることが理解できるでしょう。

 

特に言う必要はないと思いますが、

以下にふざけて見えようと馬鹿にしているように見えようと、

れっきとした郷土芸能であり、

日本の無形民俗文化財だということは間違いありません。

 

今回は、沖縄県のアスムイと東京都に神田祭りです。

 

 

アスムイ(沖縄県国頭郡辺戸地区)

 

アスムイは、昭和18年ころ途絶えてしまいましたが、

1999年に復活した首里王府お水取り行事です。

 

執り行われる場所は沖縄本島最北端の辺戸御嶽ことアムスイ(安須森)です。

アムスイは琉球開闢七御嶽のひとつで、

その中でも最初に作られた聖地だそうです。

 

 

行事の内容は辺戸区の神アサギでお水取りの開始、

無地執り行われることを祈願し、大川(アフリ川)でお水を取り、

人々の健康を祈願して、シチャラ嶽(ウガミ)で万国の太平を祈願、

祝女殿内(火の神)で祖先への感謝を祈願の後、

出発式を行い、首里に向けて出発します。

 

 

沖縄本島最北端にある辺戸の集落の前方に

アスムイと呼ばれている岩山が突き出ています。

最古の歌謡集「おもろさうし」にも次のように歌われています。

 

 一、あすもりの きりくちの(安須森の 切り口の)

   きみのあまへ きよらておりとみ(君の歌へ 清ら天降り富)

 

 又、つれのふた(何れのふた)

   つれのまきよ おれほしや(いずれのマキョに降りたいのか)

 

 又、いじけまきよ(意志気マキョ)

   いじけふた おれほしや(意地気ふたに降りたいものだ)

 

きりくち(アスムイの別称)の女神が喜び踊り、

美しい天降り富船を浮かべて、どこの村に降りようか、

すぐれた立派な集落におりたいものだ、という意があります。

 

これはアムスイに神が降りてきたことをうたったもので、

ここで初めて天から神(アマミキヨ)が降りた場所で、

神聖な場所であるとされ、地元では黄金森とも呼ばれています。

 

アマミキヨは天帝の命によって土と泥で最初に辺土のアムスイを作り、

続いて今帰仁のスムチナ御嶽、そして知念森と沖縄島を次々に作ったといいます。

 

荒海の辺の渡を渡るさい、航海の安全を祈る女神の鎮座する御嶽として

「おもろそうし」にうたわれています。

土器や石器が出土した宇座浜遺跡やカヤウチバンタ貝塚などがこの御嶽の北、

および西麓にあり、古くから人が住んでいたことがわかります。

 

このアムスイのふもとを流れる大川は

毎年5月と12月に王府からお水取りの使者がきて、

国王と闇得大君の長寿を祈る若水を首里に送ったと伝えられています。

 

【交通アクセス】

バス:名護バスターミナルより67番琉球バス交通または沖縄バス辺土名線に乗り、

   辺土名バスターミナルへ、村営バス待合所より国頭村営バスで。

 

 

神田祭り(神田神社:東京都千代田区)

 

神田祭りは、2年に1度5月の第2日曜をはさんで、

約1週間にわたって行われる祭礼です。

 

 

神田祭りは、江戸総鎮守である神田神社の祭礼で、

赤坂にある日枝神社(山王権現)の祭礼と隔年で行われますが、

共に江戸城に入城し将軍の上覧に供した「天下祭」です。

江戸に幕府が開かれて以来、江戸城入城を許された祭礼は、

神田祭りと日枝神社の山王祭り、根津神社の祭礼以外にはありません。

根津権現の祭礼は1714年に初めて江戸城へ入城しましたが、

その後は入城していません。

 

神田祭りの起源は記録文書がほとんど残されていないので詳細は不明ですが、

大祭化したのは江戸時代前後のことです。

江戸時代の「神田大明神御由緒書」によると、

江戸幕府開府以前の1600年に徳川家康が会津征伐において

上杉景勝との合戦に臨んだ時、神田神社に戦勝の祈祷を命じ、

また石田三成との関ヶ原の合戦においても戦勝の祈祷を命じられたそうです。

神社の祈祷により天下を統一できたのかは分かりませんが、

9月15日神田祭りの日に家康は天下を統一したのです。

それにより家康は神田神社を厚遇し、社殿、神輿・祭器が寄進され、

神田祭りは徳川家縁起の祭りとして

以後絶やすことなく執り行うよう申し付けられたそうです。

 

「天下祭」として知られる神田祭りは、

1620年ごろまでは船渡御だったといわれています。

1670年代中頃まで毎年斎行されていましたが、

山王祭(赤坂・日枝神社)と隔年で斎行することになり、

以後今日まで2年に一度斎行されることが恒例となりました。

江戸幕府の庇護を受け、江戸城内に祭礼行列が練り込み、

将軍・御台所の上覧があったことなどから、

江戸の庶民たちがいつからか「天下祭」と称されるようになりました。

また、江戸時代を通じて全国的に有名な祭りの一つとして

「日本三大祭り」「江戸三大祭り」の中に数えられています。

 

江戸歳時記に描かれた山車の中で囃子が演奏されていますが、

最初からこのようなスタイルだった訳ではありません。

最初は山車の上で太鼓を打ち鳴らすだけでしたが、

1752年の山王祭で山車の上で葛西囃子が演奏されました。

これが好評だったらめ翌年の神田祭りでは山車の1/3ほどが

囃子を乗せて巡行を行い、後に恒例になりました。これが神田囃子のルーツです。

 

 

明治に入り山車は大幅に減少しましたが、1884年に46本、1887年に40本と、

江戸時代の36本よりも多く出され盛大な祭礼が行われた時もありました。

しかし明治22年を境に不景気と電線架線などの影響から、

山車が出されなくなっていき各町に備え付けられるのみとなりました。

また、1873年に太陽暦に改められ、祭礼の斎行日が約3週間早まり、

台風発生時期に重なってしまったために、多くの山車に被害が発生しました。

このような経過から神田祭りは、1892年から5月に変更されました。

 

 

大正時代に入ると山車が出されることはほとんどなくなり、

神社の神輿が渡御する「神輿渡御祭」へと変遷していきました。

渡御祭は、数日かけて氏子町々を隈なく渡御する祭りで、

長い日には1週間もの日数をかけて渡御が行われていましたが、

関東大震災・戦争などを経験して、

終戦後に神輿主体の連合渡御に代わっていきました。

 

平成に入り、諌鼓鶏の山車の復活、相馬野馬追騎馬武者行列の特別参加、

町田町火消行列、将門武者行列、一本柱万度型山車の特別参加、

船渡御の復活やKIXプロジェクト、

インターネットによる神幸祭の映像配信など様々な神振行事を行います。

また、本祭にあたらない陰祭の年にも、

平成16年より大神輿の渡御が恒例化し、賑やかに行われています。

 

 

現在の神田祭りでは、午前8時に鳳輦・神輿行列が出発し、

途中で加わる附祭を合わせて約300m、

約2000名もの祭礼行列が、神田、日本橋、大手、丸の内、

秋葉原の神田神社の氏子108か町大小合わせて約200基余の山車や神輿が、

約30kmの道程を一日がかりで巡行します。

さらに翌日には、終日、各氏子町会の神輿が自分たちの町々を渡御し、

そのうち約100基の神輿が神田神社へ宮入りするという、

東京屈指の名物祭礼に発展しています。

 

【交通アクセス】

電車:中央線・総武線「御茶の水」駅(聖橋口)より徒歩5分。

   京浜東北線・山手線「秋葉原」駅(電気街口)より徒歩7分。

   東京メトロ丸ノ内線「御茶の水」駅(聖橋口)より徒歩5分。

   東京メトロ千代田線「新御茶の水」駅(聖橋口)より徒歩5分。

   東京メトロ銀座線「末広町」駅より徒歩5分。

   東京メトロ日比谷線「秋葉原」駅より徒歩7分。

バス:茶51駒込駅南口←→御茶の水線「神田明神」バス停下車、徒歩1分。

車 :首都高速都心環状線「神田橋」出入口

   首都高速1号上野線「上野」出入口

 

いかがでしたか。

祭りには底知れない魅力と気分を高揚させる何かがあります。

長年にわたって受け継がれてきた祭りには、

理屈では割り切れない人々の思いが詰まっているように思います。

たかが祭り、されど祭りといったところでしょうか?



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