日本100名城とは、財団法人日本城郭教会が2007年(平成19年)に迎える
設立40周年の記念事業の一環として、
2005年(平成17年)に日本国内の名城と呼ばれる城郭を公募したもので、
歴史や建築の専門家などにより、
観光地としての知名度や文化財や歴史上の重要性、
復元の正確性などを基準に審査の上選定、
2006年(平成18年)2月13日に発表したものです。
ちなみに、認定は4月6日「城の日」に行われました。
今回も、中国地方(69番~70番)
69番 鬼ノ山城
鬼ノ山城
鬼ノ山城は、すり鉢形の標高397mの鬼城山に遺る神籠石式山城で、
山頂周囲を石垣・土塁による城壁が周囲2.8㎞に渡って取り巻いています。
城壁によって囲まれた面積は約30ヘクタールに及び、
城壁の要所に、門。城外への排水機能を持つ水門を配備していました。
門は東西南北4ヶ所、水門は6ヶ所に確認されています。
城の内部には食料貯蔵庫や管理棟などと推定される礎石建物が7棟、
烽火場の可能性が指摘される焚き火跡、水汲み場、鍛冶場、
工事のための土取り跡などが確認されています。
【温羅伝説】
温羅伝説とは、吉備地方に残る、
桃太郎話のモチーフとなったといわれる伝説です。
古代吉備地方には百済の王子と称する温羅(「うら」または「おんら」)という
鬼が住んでいて、鬼ノ城を拠点にこの地方を支配し悪行を行っていました。
吉備の人々は都へ出向いて窮状を訴えたため、
これを救うべく崇神天皇は孝霊天皇の子で
四道将軍の一人・吉備津彦命を派遣しました。
命は現在の吉備津神社の地に本陣を構えました。
温羅に対して矢を1本ずつ射たが岩に呑み込まれました。
そこで命は2本同時に射て温羅の左目を射抜きました。
温羅が雉に化けて逃げたので命は鷹に化けて追いました。
更に温羅は鯉に身を変えて逃げたので
吉備津彦は鵜に変化してついに温羅を捕らえたのです。
それぞれの伝説の地に矢喰神社、温羅の眼の血が流れた血吸川、
鯉喰神社などが存在しています。
温羅は製鉄技術をもたらして吉備を治めた
技術者であり豪族ではないかと推察されます。
また、血吸川の川の赤さは鉄分によるものと思われます。
吉備地方は古くから鉄の産地として知られ「真金吹く吉備」と呼ばれていました。
実際、鬼ノ城の東麓には日本最古級の製鉄遺跡が存在しています。
[所在地]
岡山県総社市奥坂
[交通アクセス]
鉄道:JR吉備線「服部」駅から約5㎞、
JR伯備線「総社」駅からタクシーで約20分。
歩き:備中松山駅から歩く場合は約60分。
麓の石火矢町ふるさと村から歩く場合は約40分。
車 :岡山自動車道賀陽ICより車で約20分、下車後徒歩約20分。
70番 岡山城
岡山城
岡山城は、戦国時代に備前西部から美作、
備中に勢力を伸ばした宇喜田氏が本拠とした城で、
近世城郭の基礎が生まれ、
その後小早川氏、両池田氏により整備、拡張が行われました。
岡山城は標高が十数mの丘が連なる小高い土地に建設されました。
当時、旭川河口部は複数の派川に分岐していて、
その中の大洲原と呼ばれる広大なデルタ地帯中央に「岡山」、
その西隣に「石山」、さらにその北西には「天神山」の3つの丘が連なり、
各時代ごとに要害として使用されたと思われます。
その中の石山にあった石山城に宇喜多直家が入城・改築し、
後に子の宇喜多秀家が隣接する岡山に新たに本丸を設け、
石山城を取り込む形で城郭が建造されました。
これが岡山城です。
城の縄張は基本的には梯郭式となっていて、
三段の城郭配置が西側の一方だけに広がる平山城となっています。
言い換えると本丸の北から東には郭の無い、非常に防備が薄い縄張です。
そのため旭川の流路を変更し、天然の堀として東側の備えに利用したとされます。
さらには郭の代わりとして、「後楽」が築かれたともいわれます。
天守は4重6階の複合式望楼型で、特に初重平面形状が
歪んだ多角形をしているため同じく歪んだ多角形平面の天守台を持つ
安土城天守を模したものではないかと言われていますが、
羽柴秀吉による大阪城天守を模しているという説もあります。
その外観は黒漆喰の下見板が特徴的で、
この印象から「烏城」とも「金烏城」とも呼ばれ、
隣県の「白鷺城」とも呼ばれる姫路城と対比されることもあります。
元禄時代の古地図からは、五重の濠に囲まれた城郭と、
南北3.5㎞、東西1.3㎞におよぶ城下町の姿が伺えます。
明治時代に御殿・櫓・門の大半が取り壊されました。
堀は内堀の一部を除いてほとんど埋められましたが、
街路は江戸時代の位置をほぼ踏襲している個所が多くあります。
さらに第二次大戦中、空襲のため天守・石山門を焼失しました。
現在までに2つの櫓、本丸付近の石垣、内堀が残り、
戦後に天守・不明門・廊下門・六十一雁木上門・塀の一部が再建されました。
現存する月見櫓・西之丸西手櫓は国の重要文化財に指定され、
「岡山城跡」として史跡にも指定されています。
その他、京橋御門が岡山市南区小串に移築され現存しています。
城跡は「烏城公園」として整備される一方、
二之丸跡に山陽放送、林原美術館、岡山市民会館が、
三之丸跡に岡山県庁、岡山県立図書館などの公共機関があります。
近年本丸御殿の再建が検討されましたが、その目処は今のところ立っていません。
[所在地]
岡山県岡山市北区
[交通アクセス]
鉄道:岡山電鉄東山本線「城下電停」下車すぐ。
外に出かけると汗ばむ日が多くなってきました。
外に出かける時は熱中症に気をつけて十分な水分補給と
紫外線から身を守る対策を心がけましょう。