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日本の奇祭37「烏相撲・ウンジャミ・太地浦勇魚祭」

2014年12月15日 | 日本の奇祭

1年を通して日本全国の各市町村で何らかのお祭りが必ずあります。

故郷を思うとき、まず思い出されるのが祭りではないでしょうか?

 

ただ世の中には、地元の人には普通で真剣なんだけれど、

外部の人から見ると摩訶不思議な世界に見えてしまう祭りがあります。

これを世の人は「奇祭」と呼びます。

 

奇祭とは、独特の習俗を持った、風変わりな祭りのことと解説されています。

 

これを、人によっては「とんまつり(トンマな祭)」

「トンデモ祭」とも呼んでいるようで、

奇祭に関する関連書物も数多く出版されています。

よく取り上げられるのは、視覚的にインパクトがある祭り

(性器をかたどった神輿を担ぐ祭りなど)がよく話題になりますが、

ほかにも火を使った祭りや裸祭り、地元の人でさえ起源を知らない祭りや、

開催日が不明な祭りなど、謎に包まれた祭りはたくさんあるようです。

 

これから数回に渡って奇祭を特集していきます。

その多彩さに驚くとともに、祭りは日本人の心と言われるゆえんが、

祭りの中に詰まっていることが理解できるでしょう。

 

特に言う必要はないと思いますが、

以下にふざけて見えようと馬鹿にしているように見えようと、

れっきとした郷土芸能であり、

日本の無形民俗文化財だということは間違いありません。

 

今回は、京都府の烏相撲と沖縄県のウンジャミ、和歌山県の太地浦勇魚祭です。

 

烏相撲(上賀茂神社:京都府京都市北区上賀茂本山町)

 

重陽神事は、重陽の節句に無病息災を願う神事です。

九月九日は、九という陽の字が重なることから重陽といい、

古来よりこの日に菊酒を飲んだり、

菊花についた露で肌を拭ったりして災厄を祓ってきました。

古来宮中その他で行われた五節句の一つの重陽の節句に相当し、

本殿に菊花を供え無病息災を祈願します。

 

 

重陽神事の後に行われるのが烏相撲です。

烏相撲は、上賀茂神社御祭神の外祖父賀茂建角身命が神武天皇東征に際し、

八咫烏となって先導したという故事があり、

それに信仰行事の相撲が結びついたものといわれています。

烏相撲では、祢宜代・祝方東西に子供たちが分かれ相撲を取ります。

 

 

午前10時から、斎王代・子供力士らはまず土舎、次に本殿祭へと向かいます。

本殿祭が終わり斎王代・宮司・権宮司は本殿から細殿へ向かいます。

細殿中央に斎王代、左右に宮司・権宮司が着座し、11時より烏相撲が始まります。

地取りの後、差符(子供力士の名簿)を斎王代へ差し出します。

 

 

弓矢・太刀を立砂へ立てかけ、

扇を開き「カーカーカー」と三三九度烏鳴きをします。

行事と子供力士たちが三度立砂の周りを歩きます。

東西10名づつに分かれ白熱した相撲が展開します。

 

 

引き続き、勝ち抜き戦も行われます。

烏相撲は1時間ほどで終了し、楽舎で菊酒が振る舞われます。

 

 

【交通アクセス】

JR京都駅より

  市バス4系統にて「上賀茂神社前」下車すぐ。

  市バス9系統にて「上賀茂御薗橋」下車徒歩3分。

四条河原町より

  市バス4・46系統にて「上賀茂神社前」下車すぐ。

  市バス37系統にて「加茂川御薗橋」下車徒歩3分。

四条烏丸・四条大宮より

  市バス46系統にて「上賀茂神社前」下車すぐ。

京阪出町柳駅前より

  市バス4系統にて「上賀茂神社前」下車すぐ。

  京都バス32・34・37系統にて「上賀茂神社前」下車徒歩2分。

北大路ターミナルより

  市バス37系統にて「上賀茂御薗橋」下車徒歩3分。

  京都バス32・34・35・37系統にて「上賀茂神社前」下車徒歩2分。

 

ウンジャミ(沖縄県国頭郡大宜味村)

 

ウンジャミは、旧盆明けの初亥の日に大宜味村の田港・

屋古・塩屋・白浜の4集落が共同で行う、

500年以上の歴史を持つ五穀豊穣、無病息災を祈願する祭りです。

 

女性中心の祭りで、午前中に4集落の司祭者であるノロが、

田港のアシャゲ(祭場)に集まり、神迎えをします。

 

 

ノロとは、祝女という字をあて、

沖縄県と鹿児島県奄美諸島の琉球の信仰における女司祭のことです。

地域の祭祀を取り仕切り、御嶽を管理します。

ノロに決まった服装はなく、琉装もしくは和装の着流しの白装束が多く、

草の冠(神カムリ)などの草装も見られ、

そうした異形の装束は神が憑依していることを意味しています。

これは世界の各地のアニミズムで共通してみられる特徴です。

 

 

ノロは、そこから屋古までの1㎞を行列を作って歩き、

屋古のアシャゲで、環になって踊ります。

最後は、屋古から塩屋までサバニ(小舟)漕ぎ競争があります。

塩屋では、女性たちが胸まで海の浸かりながら手招きをしたり、

鉦を叩きながらサバニを迎えます。

その後に海岸で神送りの神事を行います。

 

【交通アクセス】

車 :沖縄自動車道「許田IC」から国道58号経由塩屋方面へ約30分。

 

太地浦勇魚祭(和歌山県牟婁郡太地町太地港)

 

「鯨に町」として知られる太地町では、

毎年8月14日に古式捕鯨を再現した太地浦勇魚祭が開催されます。

「勇魚(いさな)」とは鯨のことをさします。

古式捕鯨発祥の地としての歴史と文化の伝承や

地域の振興に寄与することを目的として昭和62年(1987)から行われ、

太地町の代表的な祭りのひとつとなっています。

この太地浦勇魚祭を主催しているのが、

町の青壮年20数名が会員となって活動している「太地勇魚会」です。

 

 

勇魚会では、鯨の模型と勢子船を使い、江戸時代初期に

太地町で発祥した古式捕鯨法「網掛け突き捕り捕鯨法」を再現しています。

勇魚祭は17時30分から開始され、

約40分をかけておよそ9mの鯨模型にとどめを刺すまでを再現します。

再現中は、ナレーションによる解説も入ります。

 

 

また、勇魚祭は太地町盆供養花火大会と同日に行われており、

勇魚祭終了後、花火大会、鯨踊り、鯨太鼓も同時開催されます。

 

【交通アクセス】

電車:JR紀勢本線太地駅から町営じゅんかんバス「漁協前」下車、徒歩1分。

 

いかがでしたか。

祭りには底知れない魅力と気分を高揚させる何かがあります。

長年にわたって受け継がれてきた祭りには、

理屈では割り切れない人々の思いが詰まっているように思います。

たかが祭り、されど祭りといったところでしょうか?


日本の奇祭36「龍勢祭り・美ヶ原温泉道祖神祭り・面掛行列」

2014年12月01日 | 日本の奇祭

一年を通して日本全国の各市町村で何らかのお祭りが必ずあります。

故郷を思うとき、まず思い出されるのが祭りではないでしょうか?

 

ただ世の中には、地元の人には普通で真剣なんだけれど、

外部の人から見ると摩訶不思議な世界に見えてしまう祭りがあります。

これを世の人は「奇祭」と呼びます。

 

奇祭とは、独特の習俗を持った、風変わりな祭りのことと解説されています。

 

これを、人によっては「とんまつり(トンマな祭)」

「トンデモ祭」とも呼んでいるようで、

奇祭に関する関連書物も数多く出版されています。

よく取り上げられるのは、視覚的にインパクトがある祭り

(性器をかたどった神輿を担ぐ祭りなど)がよく話題になりますが、

ほかにも火を使った祭りや裸祭り、地元の人でさえ起源を知らない祭りや、

開催日が不明な祭りなど、謎に包まれた祭りはたくさんあるようです。

 

これから数回に渡って奇祭を特集していきます。

その多彩さに驚くとともに、祭りは日本人の心と言われるゆえんが、

祭りの中に詰まっていることが理解できるでしょう。

 

特に言う必要はないと思いますが、

以下にふざけて見えようと馬鹿にしているように見えようと、

れっきとした郷土芸能であり、

日本の無形民俗文化財だということは間違いありません。

 

今回は、埼玉県の龍勢祭りと長野県の美ヶ原温泉道祖神祭り、神奈川県の面掛行列です。

 

 

龍勢祭り(椋神社:埼玉県秩父市下吉田)

 

龍勢祭りは、埼玉県秩父市下吉田にある椋神社の例大祭で行われる祭りです。

毎年10月の第2日曜日に実施されます。

27の流派があり、毎年30数本の龍勢を轟音とともに天高く打ち上げるのです。

上がった龍勢は、発煙等の仕掛けを展開することもあるほか、

パタシュート状の物体を内包することもあります。

この祭りで奉納する龍勢は各流派の手作りで作成されます。

通称農民ロケットとも呼ばれています。

なお、打ち上げられたロケットがまるで龍のごとき勢いであったことから、

龍勢と呼ばれるようになったという説もあります。

 

 

龍勢ロケットの歴史

 

鎌倉時代の元寇で蒙古側が武器の一つとして使用し、

その後、戦国時代に狼煙や火器として使用され、

各地に伝わったのが起源だという説が有力です。

構造は三河、遠州地方に伝承される手筒花火と類似点があります。

タイなど東南アジアにも、似た形式のロケット花火が伝統的に存在します。

 

1600年の関ヶ原の戦いでは、

戦況を石田三成の居城である佐和山城にいち早く知らせるために、

狼煙が空高く打ち上げられたとされています。

その後この種の狼煙が改良され龍勢となり、

農村の神事・祭礼用から娯楽用等に使用されるようになったようです。

 

椋神社のパンフレットによると、

龍勢は、矢柄となる長い竹を用意し、火薬筒に松材を使い、

これを縦に真二つに切って中をくり抜き、それを合わせて竹のタガをかけます。

火薬は硝石、炭、硫黄を混ぜ黒色火薬を作ります。

調合の比率はそれぞれの流派によって異なりますが、

十(硝石):二(炭):一(硫黄)を標準とします。

これを筒に入れキメ棒、カキヤを使い固く詰めていきます。

最後に筒の底に錐で穴を開け噴射口を作ります。

この他龍勢に取り付ける背負いものを作ります。

背負いものは、火薬筒に取り付けるもので、昔から唐傘、のろせ、

吊るし傘などがあり、これらの龍勢は上空に昇りつめた時に

ひらひらと落ちるように仕掛けられています。

近年は技術の向上から、「矢柄止」という落下傘で矢柄全体を吊った龍勢が、

安全上からも標準となりました。」と記されています。

 

 

江戸時代初期頃から秋の例大祭の祭礼に近隣の農民たちが

この手作りロケット式花火を奉納していたそうです。

この手作りロケット式花火、埼玉県の無形民俗文化財に指定されていて、

椋神社近くの芦田山中腹に設定された発射矢倉から打ち上げられます。

打ち上げられたロケットが上空でまるで龍の如く舞いながら落下します。

 

 

最近は、朝の9時頃から夕方5時頃まで、

約15分間隔で30数発の龍勢ロケットが「東西、東西」で始まり、

「椋の神社に奉納」で終わる口上とともに打ち上げられます。

見事天高く舞い上がり、打ち上げ成功の龍勢もあれば、

発射台で自爆してしまう龍勢もあります。

どれも龍勢制作に携わった人々の熱い想いが込められた作品であり、

祭り総てが後世に残すべき地方芸能の文化遺産なのです。

 

【交通アクセス】

電車:西武鉄道「西武秩父」駅及び秩父鉄道「皆野」駅から

   龍勢会館行き臨時バス利用、降車後と歩5分。

車 :関越自動車道「花園IC」から国道140号線を秩父方面へ約90分。

   圏央道「狭山日高IC」から県道15号線経由国道299号線で

   秩父方面へ120分。

 

 

美ヶ原温泉道祖神祭り(湯の原瑠璃光薬師:長野県松本市里山辺)

 

美ヶ原温泉街には、「湯の原瑠璃光薬師」(松本十二薬師・九番札所)という

薬師堂があり、毎年9月第4土曜日に「道祖神祭り」が開催されます。

 

 

女性だけが乗ることができる珍しい「みこし」が各旅館を巡り、

宿泊客のご夫人を乗せてあおり「縁結び」「子孫繁栄」などの

諸祈願のお手伝いをします。

他にも、御殿太鼓や無料福引き、お祝い酒やきのこ汁の振る舞いなどがあります。

 

【交通アクセス】

航空:松本空港から車で約40分。

電車:JR篠ノ井線「松本」駅からバスで約25分。

車 :長野自動車道「松本IC」から約20分。

 

 

面掛行列(御霊神社:神奈川県鎌倉市坂ノ下)

 

面掛行列は、神奈川県鎌倉市坂ノ下の御霊神社で

面をかぶった男たちが練り歩く行列行事です。

現在は鎌倉権五郎景政の命日にあたる9月18日の例祭で行われていますが、

明治の神仏分離までは鶴岡八幡宮の8月15日の放生会で行われていた

「舞楽面の面掛行列」に倣ったものといわれ、

いつの間にか土俗化して現在のような面をつけるようになったとされています。「はらみっと祭」などともいいます。

 

 

面影行列には源頼朝にまつわる伝説があります。

源頼朝は頭の娘を可愛がり、身籠らせてしまい、

娘のもとにお忍びで通う頼朝の警護をたちが引き受けたといいます。

その経緯から、年に一度だけの無礼講が許されましたが、

身分の低いであるため、

大衆に顔を見せることができず面をつけたとそうです。

そして、面掛行列の9人目の孕み女(阿亀)がいるのは

そのためだという伝説が残されています。

 

 

行列は、金棒をついた陣笠姿の露払い、注連榊、天狗面、太刀持ち、

弓矢などが続いて、一番面の爺から面の順に従って面掛十人衆が練り歩きます。

 

 

面掛行列の中心人物は、妊婦姿で特別に着飾った九番目の阿亀(おかめ)です。

後ろは、阿亀に付き従う女です。

行列の中心である「阿亀」の大きな腹は、

豊年・豊漁の祈願を子を産む形に象徴させたものということです。

 

 

御霊神社の面掛行列は、鶴岡八幡宮の舞楽面の面掛行列に倣って、

江戸時代から行われるようになったといわれ、200年以上の歴史があります。

明治以降は、鶴岡八幡宮の面掛行列もなくなり、

現在では、御霊神社のみで行われている奇祭です。

氏子たちがつける面は、明治5年銘の10種類の面で、

面掛行列は、昭和51年に神奈川県の無形民俗文化財に指定されています。

 

【交通アクセス】

電車:江ノ島電鉄「長谷」駅より徒歩5分、または「極楽寺」駅より徒歩10分。

 

いかがでしたか。

祭りには底知れない魅力と気分を高揚させる何かがあります。

長年にわたって受け継がれてきた祭りには、

理屈では割り切れない人々の思いが詰まっているように思います。

たかが祭り、されど祭りといったところでしょうか?