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日本の奇祭38「筑波山がま祭・オロチョンの火祭り・化けものまつり」

2015年01月05日 | 日本の奇祭

一年を通して日本全国の各市町村で何らかのお祭りが必ずあります。

故郷を思うとき、まず思い出されるのが祭りではないでしょうか?

 

ただ世の中には、地元の人には普通で真剣なんだけれど、

外部の人から見ると摩訶不思議な世界に見えてしまう祭りがあります。

これを世の人は「奇祭」と呼びます。

 

奇祭とは、独特の習俗を持った、風変わりな祭りのことと解説されています。

 

これを、人によっては「とんまつり(トンマな祭)」

「トンデモ祭」とも呼んでいるようで、

奇祭に関する関連書物も数多く出版されています。

よく取り上げられるのは、視覚的にインパクトがある祭り

(性器をかたどった神輿を担ぐ祭りなど)がよく話題になりますが、

ほかにも火を使った祭りや裸祭り、地元の人でさえ起源を知らない祭りや、

開催日が不明な祭りなど、謎に包まれた祭りはたくさんあるようです。

 

これから数回に渡って奇祭を特集していきます。

その多彩さに驚くとともに、祭りは日本人の心と言われるゆえんが、

祭りの中に詰まっていることが理解できるでしょう。

 

特に言う必要はないと思いますが、

以下にふざけて見えようと馬鹿にしているように見えようと、

れっきとした郷土芸能であり、

日本の無形民俗文化財だということは間違いありません。

 

今回は、茨城県の筑波山がま祭と北海道のオロチョンの火祭り、

山形県の化けものまつりです。

 

筑波山がま祭(筑波山神社:茨城県つくば市筑波)

 

茨城県の中央部に位置する筑波山。

関東の西に聳える男性的な富士山に比べて、

どことなく女性的で親しみやすい姿をしています。

 

がま祭は、毎年8月第1日曜日に筑波山神社で開催されます。

がま祭りの発祥は、筑波山名物の「ガマの油」で商売が繁昌した関係者が

ガマの油を生み出したといわれる光誉上人の供養と

ガマの油で商売している関係者が

商売繁昌を祈願するお祭りとして開催されています。

 

 

この開催地である筑波山神社は、

男体山頂に伊弉諾尊、女体山頂に伊弉冉尊を祀り、

古来から山岳信仰の霊山として栄え、

弘仁14年(823)には官社に列するほど由緒深い名社です。

江戸時代には、筑波山が江戸の丑寅の方角(鬼門)にあたるところから、

将軍家の祈願所として歴代将軍の厚い保護を受け、神領は広大なものでした。

三代将軍家光から寄進された銘吉宗の太刀は、

国の重要文化財に指定され、社宝になっています。

 

 

この由緒ある筑波山神社で行われるがま祭りと言えばガマの油売りです。

その口上は、

サアーサアーお立ち会い、ご用とお急ぎでない方はゆっくり聞いておいで。

遠出山越え笠のうち、聞かざる時は物の白黒出方善悪がとんと分からない、

山寺の鐘がゴーンゴーンと鳴ると言いども、

童子来って鐘にしゅもくを当てざればとんとカネの音色が分からない。

サテお立ち会い、手前ここに取りいだしたるは筑波山名物ガマの油、

ガマと申してもただのガマとガマが違う、

これより北、北は筑波山のふもとは、

おんばこという露草をくろうて育った四六のガマ、四六五六はどこで見分ける。

前足の指が四本、後足の指が六本合わせて四六のガマ、

山中深く分け入って捕いましたるこのガマを四面鏡ばりの箱に入れたるときは、

ガマはおのが姿の鏡に映るを見て驚き、タラーリタラーリと油汗を流す、

これをすきとり柳の枝にて三七二十一日間、

トローリトローリと煮詰めましたるこのガマの油。

この油の効能は、ひびにあかぎれ、しもやけの妙薬、

まだある、大の男の七転八倒する虫歯の痛みもぴたりと止まる、

まだある出痔いぼ痔、はしり痔、はれもの一切、

そればかりか刃物の切れ味を止める。

取り入出したるは夏なお寒き氷のやいば、

1枚の紙が2枚、2枚の紙が4枚、4枚の紙が8枚、8枚の紙が16枚、

16枚が30と2枚、32枚が64枚、64枚が一束と28枚、

ほれこの通り、ふっとちらせば比良の暮雪は雪降りのすがた。

これなる名刀も一たびこのがまの油をつける時はたちまち切れ味止まる、

おしてもひいても切れはせぬ。

というてもなまくらになったのではない、

この様にきれいにふきとるときは元の切れ味ろなる。

サーテお立ち会い、この様にがまの油の効能が分かったら遠慮は無用だ、

どしどし買って行きやがれ!

 

【交通アクセス】

電車:つくばエクスプレスで「秋葉原」より「つくば」駅まで45分、

   筑波山シャトルバスで40分。

   JR常磐線「土浦」駅より、関東鉄道筑波山口行きバスで50分、

   筑波山口で筑波山神社口行きバスに乗り換えて10分。

車 :常磐自動車道「土浦北IC」より国道125号線経由で約40分。

   

オロチョンの火祭り(モヨロ貝塚~道の駅:北海道網走市)

 

「オロチョンの火祭り」は、

戦後まもない昭和25年に生まれた網走市の伝統ある行事です。

7月の最終土曜日に開催され、

大陸に住む北方民族の踊りなどを模し、霊を慰めるとともに、

郷土の豊かな実りを願うなど神秘的でエキゾチックなお祭りです。

 

 

神と通じ合うことのできる特能者(シャーマン)が登場し、

伝統に沿って厳粛に繰り広げられます。

シャーマンはかがり火を焚きながら先住の北方民族の魂を慰め豊穣を願い、

アイヌの民族衣装に身を包み、太鼓やコロホルに合わせて炎を囲んで踊ります。

 

 

オホーツク海に面した網走では古来より北方民族との交流が盛んであり、

モヨロ貝塚などではアイヌ民族とは異なる

オホーツク人の人骨が発見されています。

それらの経緯からモヨロ貝塚において1940年頃から

「モヨロ祭」として北方民族を慰霊する祭りが開催されていました。

終戦後の1950年には樺太から引き揚げてきたウィルタ民族や

ニブフ民族の協力を得て「オロチョンの火祭り」が

正式な市の夏祭りとして組み込まれるようになりました。

その後10月1日から実施される「カムバックサーモンin網走湖」に組み込まれ、

観光イベントとして人気を博しています。

 

 

ちなみに名前の「オロチョン」とは、

元来ロシア領内に居住するツングース系の民族を指す言葉ですが、

日本において「北方民族」指す言葉として用いられた時期があり、

その名残からオロチョンの火祭りと命名されています。

ただし、現時点でオロチョン族と呼ばれる民族の文化に

火祭りと呼ばれる儀式はありません。

 

【交通アクセス】

電車:JR釧網本線「網走」駅からバスで7分、もしくは徒歩約20分。

車 :道央道「旭川北IC」から国道39号経由で218㎞、約210分。

 

化けものまつり(鶴岡天満宮:山形県鶴岡市)

 

毎年5月25日に行われる鶴岡の天神祭は、

老若男女の別なく、派手な花模様の長襦袢に角帯を締め、

尻をからげ、手ぬぐいと編み笠で顔を隠し、

手に徳利と杯を持ち、無言で酒を振る舞う習わしで、

通称「化けものまつり」として広く知られています。

 

 

この祭りは、学問の神様といわれる菅原道真公(845~903)を祀る

鶴岡天満宮のお祭りで、その昔、道真公が九州太宰府に配流された時、

公を慕う人々が時の権力をはばかり、姿を変え顔を隠して密かに酒を酌み交わし、

別れを惜しんだという言い伝えによるものです。

 

 

化けもの姿で、3年間誰にも知られずお参りできると、

念願がかなうといわれており、往時には、会社や個人の家々に、

化けものが上がり込み、酒などをふるまう姿が町のあちこちで見受けられます。

 

天神はんねりが鶴岡市中央児童館から出発して鶴岡公園疎林広場まで行われます。

 ・子供みこし

 ・大絵馬

 ・鶴岡天満宮神輿

 ・公募によって選ばれた菅原道真公(数え57歳の男性)が、

  従者を引き連れて歩く菅原道真公行列。

 ・手踊り行列(八沢会、柏樹流、藤間流、民踊協会鶴岡、深山流)

 ・親子化けもの、等

 

 

にぎわい天神パレードは、鶴岡駅前全農山形倉庫を出発し、

鶴岡公園疎林広場まで行われます。

 ・大絵馬パレード

 ・子供みこし

 ・踊りフェスティバル

 ・エンジョイパレード、等

 

 

鶴岡天満宮では天狗舞が奉納され、道真公や手踊りのパレードが市内を練り歩き、

お祭り広場では様々な催しが繰り広げられ街中が祭り一色に賑わいます。

 

 

【交通アクセス】

バス:JR羽越本線「鶴岡」駅から湯野浜温泉方面行きで「市役所前」下車。

車 :山形自動車道「鶴岡IC」から約10分。

 

いかがでしたか。

祭りには底知れない魅力と気分を高揚させる何かがあります。

長年にわたって受け継がれてきた祭りには、

理屈では割り切れない人々の思いが詰まっているように思います。

たかが祭り、されど祭りといったところでしょうか?



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