愛媛の伝承文化

大本敬久。民俗学・日本文化論。災害史・災害伝承。地域と文化、人間と社会。愛媛、四国を出発点に考えています。

宇和先哲記念館「末光績展」

2016年10月13日 | 日々雑記


現在、宇和先哲記念館にて平成28年度特別展「末光績(すえみついさお)展~大自然を離れて私の人生はない~」開催中。

重要伝統的建造物群保存地区「卯之町の町並み」にある西予市指定有形文化財「末光家住宅」にゆかりがあり、宇和農蚕学校(現在の宇和高校)建学の父といわれる「末光績」にスポットを当てた展示。



西予市宇和町で生まれた「末光績」は、後に札幌農学校(現在の北海道大学)に進学。ここで文豪「有島武郎」と出会う。展示では有島の直筆の書簡なども紹介。また、新渡戸稲造との交流もあった績。新渡戸の書簡なども並ぶ。

札幌農学校卒業後、故郷に帰り、一教師として働くが、40歳で再び東京大学に入学。その後は、恵泉女学園で女子教育に関わる。

また、績は、山に魅了され、日常生活で感じる自然のありのままを詩や絵で描く。その作品も展示中。

あと宇和高校に保管されていた植物標本も並んでいる。

績の遺したものが、いかに地元で受け継がれるのか、いろいろ考えさせられます。

重伝建は建物だけが受け継がれるのではなく、そこに生まれ育った人物の生き様もいかに伝えるのかが大事。(その意味で先哲記念館の役割は大きいかなと思います。)卯之町に生まれたからこそ札幌農学校に行って、宇和高校の礎を築いた績。重伝建卯之町の持つ「人を育てる、巣立たせる環境」に注目することは大事だなと展示を見ながら痛感。


期間 【前期】平成29年3月12日(日)まで
【後期】平成29年3月18日(土)から平成29年9月24日(日)

入館料は無料。(この充実した展示が無料とは!こりゃ西予市民は一度はみないとね。)

数年前に愛媛新聞で高橋記者が執筆した末光績の特集記事(これがまた力の入った連載でした)が、展示として地元で実現したか!と思いながら展示を拝見。高橋記者や先哲記念館のスタッフの尽力に頭が下がる思いです。

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