井沢元彦さんの『井沢式「日本史入門」講座』第一巻(和とケガレの巻)を読んだ。
最近読んだ日本史を扱った本の中で最も面白かった。
本を読むのが遅い私が昨日買って今日読み終えたのだから余程のことだ。
と書いても「お前の読むスピードなんて知らないよ」と云われますね。失礼。
本書では日本人固有の思想である「和」と「ケガレ」について解り易く書かれている。
日本で「談合」が何故無くならないか、差別が何故起こったのか。
この「和」と「ケガレ」の問題を理解しなければそれは説明できない。
少し前に『教科書が教えない歴史』という本が流行ったが、
あれは「日本にはこんなに素晴らしい人物が居ました」とか
「日本は台湾や朝鮮に対してこんな良いことをしました」、「あの戦争は正しかった」など
要は日本民族と日本史を讃美する本だった。
私はそれまで散々、日本人を貶めて、日本史を歪曲して否定するという時代があったから、
『教科書が~』のように日本人と日本史を肯定的に捉える本があって良いと思うし、
日本を讃美すること自体は(事実に反していない限り)なにも悪いことはないと思う。
ただ、それだけで終わってしまえば日本史と日本人の本質は見えてこない。
そこでお薦めしたいのがこの『井沢式「日本史入門」講座』である。
井沢元彦さんと云えばよく右翼呼ばわりされるけれども、
決して、只管自国を讃美し他国を罵る類の右派ではない。
むしろ、日本史を通して我々日本人の特質、場合によっては宿痾となりうる問題点を痛烈に指摘している。
例えば、日本に於いてもっとも重要視されるのが、
この本の副題にもあるように「和」である。
これは十七条憲法の昔から日本人にとってもっとも大切にしなければならないものと考えられている。
日本でもっとも嫌われる人間とは集団の和を乱す者だ。
また、なにごとも話し合いで決めることが良しとされている。
独裁者はいつの時代でも嫌われるのだ。
そしてみんなで決めたことには従わなければならない。
ちょっと話がそれるかもしれないが、
日本人に「なぜ人を殺してはいけないのですか?」と訊いて、
明確な答えを即答できる人はあまり居ない。
藤原正彦さんが言うように「駄目なものは駄目だから」というような答えくらいしか出てこない。
(勿論、これはこれでよい答えだと思う)
同じ質問を、ユダヤ教やキリスト教、イスラム教の信者にしてみると明解な答えが返ってくる。
「神が人を殺すなと言ったからだ」
この一言で済む。
ところが、日本には八百万の神がおわす多神教で唯一絶対神を戴いたことはないし、
口やかましく人間に命令する神も居ない。
結局、日本に於いて、何故人を殺してはいけないのかという答えは
「和を乱すから」と言う事になる。
一見、和を大切にすることは良いことだと思える。
じじつ、私も和を重んじるのは「日本人の良いところだ」と思っていた。
しかし、逆に云えば「和を乱さなければ何をしても良い」と言う事になるのだ。
「赤信号みんなで渡れば怖くない」という言葉があるように
悪いことでもみんなでやれば怖くないのだ。
この「赤信号~」という言葉はビートたけしさんが作った言葉だが、
これほど日本人の特徴を表している言葉は無い。
しかも、クスリと笑える形で表しているのだからビートたけしは凄いと思う。
教科書で学ぶ日本史は個々の事象を羅列しているだけで、有機的な繋がりが見えにくい。
解り易くしようという姿勢は見えるのだけど、日本人にとって重要な「和」や「ケガレ」の問題を無視している点で致命的だ。
この『井沢式「日本史入門」講座』こそ「教科書が教えない歴史」を書いていると云える。
最近読んだ日本史を扱った本の中で最も面白かった。
本を読むのが遅い私が昨日買って今日読み終えたのだから余程のことだ。
と書いても「お前の読むスピードなんて知らないよ」と云われますね。失礼。
本書では日本人固有の思想である「和」と「ケガレ」について解り易く書かれている。
日本で「談合」が何故無くならないか、差別が何故起こったのか。
この「和」と「ケガレ」の問題を理解しなければそれは説明できない。
少し前に『教科書が教えない歴史』という本が流行ったが、
あれは「日本にはこんなに素晴らしい人物が居ました」とか
「日本は台湾や朝鮮に対してこんな良いことをしました」、「あの戦争は正しかった」など
要は日本民族と日本史を讃美する本だった。
私はそれまで散々、日本人を貶めて、日本史を歪曲して否定するという時代があったから、
『教科書が~』のように日本人と日本史を肯定的に捉える本があって良いと思うし、
日本を讃美すること自体は(事実に反していない限り)なにも悪いことはないと思う。
ただ、それだけで終わってしまえば日本史と日本人の本質は見えてこない。
そこでお薦めしたいのがこの『井沢式「日本史入門」講座』である。
井沢元彦さんと云えばよく右翼呼ばわりされるけれども、
決して、只管自国を讃美し他国を罵る類の右派ではない。
むしろ、日本史を通して我々日本人の特質、場合によっては宿痾となりうる問題点を痛烈に指摘している。
例えば、日本に於いてもっとも重要視されるのが、
この本の副題にもあるように「和」である。
これは十七条憲法の昔から日本人にとってもっとも大切にしなければならないものと考えられている。
日本でもっとも嫌われる人間とは集団の和を乱す者だ。
また、なにごとも話し合いで決めることが良しとされている。
独裁者はいつの時代でも嫌われるのだ。
そしてみんなで決めたことには従わなければならない。
ちょっと話がそれるかもしれないが、
日本人に「なぜ人を殺してはいけないのですか?」と訊いて、
明確な答えを即答できる人はあまり居ない。
藤原正彦さんが言うように「駄目なものは駄目だから」というような答えくらいしか出てこない。
(勿論、これはこれでよい答えだと思う)
同じ質問を、ユダヤ教やキリスト教、イスラム教の信者にしてみると明解な答えが返ってくる。
「神が人を殺すなと言ったからだ」
この一言で済む。
ところが、日本には八百万の神がおわす多神教で唯一絶対神を戴いたことはないし、
口やかましく人間に命令する神も居ない。
結局、日本に於いて、何故人を殺してはいけないのかという答えは
「和を乱すから」と言う事になる。
一見、和を大切にすることは良いことだと思える。
じじつ、私も和を重んじるのは「日本人の良いところだ」と思っていた。
しかし、逆に云えば「和を乱さなければ何をしても良い」と言う事になるのだ。
「赤信号みんなで渡れば怖くない」という言葉があるように
悪いことでもみんなでやれば怖くないのだ。
この「赤信号~」という言葉はビートたけしさんが作った言葉だが、
これほど日本人の特徴を表している言葉は無い。
しかも、クスリと笑える形で表しているのだからビートたけしは凄いと思う。
教科書で学ぶ日本史は個々の事象を羅列しているだけで、有機的な繋がりが見えにくい。
解り易くしようという姿勢は見えるのだけど、日本人にとって重要な「和」や「ケガレ」の問題を無視している点で致命的だ。
この『井沢式「日本史入門」講座』こそ「教科書が教えない歴史」を書いていると云える。
それにしても、私も読みたい本が多すぎて読むスピードがちっとも追いつきません(笑)
ゆっくり拝見いたします。