あび卯月☆ぶろぐ

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町田康と津村記久子の芥川賞対談

2009-02-11 21:31:18 | 書評・雑誌
今年も芥川賞受賞者が発表された。
受賞者は『ポストスライムの舟』を書いた津村記久子さん(三十一歳)。
といっても私は文学に興味が無いので芥川賞にも興味が無い。
それが今回はちょっと読んでみようと思った。

今日の読売新聞に「芥川賞対談」と題して町田康と津村記久子さんの対談が載っていた。
ああ、お互い芥川賞作家だからね、と思ったらそれだけじゃなかった。
なんとこの二人、高校の同窓生だという。
対談を読んで驚いた。いや、大笑いした。

町田康の文章を読んだことのある人は解ると思うが、あの人の文章は抜き差しならぬ面白さがある。
この二人の対談もまさにそのような面白さがあった。

津村:高校時代はコギャルブームの出始めでした。でもテレビに映る「女子高生」と自分が同じに思えなかった。軽音部の活動で演奏していたら外でホームレスのおっちゃんが踊ってたり、美術部にも入っていて絵をリヤカーに積んで通天閣の近くを歩くと「しんどいな」と声を掛けられたり。
町田:渋いな。リヤカー。


ホームレスのおっちゃんが踊っていたり、「しんどいな」と声を掛けられたという光景がまざまざと目に浮かんだ。
なにより、町田康の「渋いな。リヤカー」という受け答えが妙に面白く炬燵で一人肩をゆすって笑ってしまった。

他にも、町田康がうどん好きなのは有名な話だが、津村さんも同じようで、うどんの値段がやたら気になり、家の近くのスーパーでは一玉25円なのに京都で一玉60円のうどんを見かけると物価が高いと感じて凄く落ち込むとか。
もう、可笑しくて可笑しくて。
このあとの「世界の基軸通貨がうどん」という町田の言葉もやはり秀逸だ。

笑える話ばかりじゃない。
町田康の
「駄目人間ばかり書いているって言われます。でも自分としては、普通の人間しか書いているつもりはない。駄目じゃない人間が果たしているのか」
には目からウロコが落ちた。
町田康の書く小説にはなるほど一般に「駄目人間」と呼ばれる人物ばかり出てくる。
そもそも主人公がその中で一番の駄目人間だったりする。
しかし、人間って誰しも本質的には駄目人間なのかも。
私なんかがいい例ですね。

津村さんも負けていない。
「コンビニエンスストアで世間に流布する音楽を聴くと、たまに死にたくなる気分になるときがあります。言葉に無頓着だったり、何か整った価値観を押しつけられたりするようで」

まったく同意。
最近の音楽が聴くに堪えないのは、陳腐な言葉でみな同じこと(同じ価値観)を歌っているだけにしか聴こえないからだ。
町田康はこの対談の中で「パンクとは疑うことです」と言っているが、いま日本の音楽にパンクはあるのか。
私が昨今の音楽に耳をそむけ80年代J-PUNKばかり好んで聴くことがその答えになっているように思えてならない。

しかし、こういう感覚をもった人が芥川賞作家なのか。
なら、芥川賞は大した賞だ。
それにこの津村さんからは多分に町田康に似た匂いを感じる。
津村作品を読まない手は無い。

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