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秩父地方の古き正月風習を切り取る  

2019年01月02日 | 文学  コラム・エッセイ

 

『若水を汲む』 其の2

   

 

秩父の冬は厳しい。氷点下に在るのは日常茶飯事です。
山裾の井戸は、厚く氷が張る。若水汲みのために穴あけ作業をする。
これが実に勇ましい。チョットやソットで氷に穴が開かない。
20cm以上はあるだろう・・・か、氷の厚さ。


薪割り用の斧で打ち砕く。
最初の斧を頭上高く振り上げ氷に打ち込むと、張り詰めていた氷全体に
稲妻状に模様が入る。いわゆる氷りのヒビ・・・・稲妻です。


斧を振り落とす毎に、氷片が飛び散る。
3~5回と繰り返すうちにヤット氷に穴があく。
そしてドット水が、開けた穴から吹き上がる。
この作業は、暮れの大晦日に行われた。
翌日の若水汲みの為に、耕地の誰彼となく事前準備をしたのだった。


このようにして開けられていた氷穴から柄杓で若水を汲む。
いやいや前日に穴が開けられていたとて、外気は氷点下の温度、
風も吹けば雨も降る、その穴はすぐに氷が張り始める。

一晩の結氷厚さは、推して知るべし1cm程の厚さになります。
最初に到着した人は、
若水が汲めるように氷を砕いて穴を開けなくてはなりません。

 

元日の朝は、次から次へと若水汲む人が訪れ賑やかさを増した。
何回かすると手桶に一杯になる。次の人と交代する。
水が柄杓で水面が波で動いているときはよいが、僅かな交代時間でも
水面に氷が走る。
皆さんは、身震いしながら順番を待ち、汲み終えて足早に家にと急ぐのでした。



我が家では、母が帰りを待ち構えていた。
鉄瓶に移しお湯を沸かしたり、雑煮などの調理に利用した。


幼い頃でしたから山峡の各家には囲炉裏があり、
薪をくべて〔補給〕調理用のなべや鉄瓶を掛け手お湯を沸かした。

囲炉裏の周りでは四角の餅が鉄器の上に並べられ黄金色に焼かれる。
焼きすぎて黒くなることもしばしばでした。


お勝手では自家製の正月料理〔煮しめ、黒豆、キントン、コンニャクなど〕
が準備され、
食卓に並べられるのを待つ。

雑煮も出来上がる。
雑煮とお茶(神酒)を神仏に供え、お正月が迎えられたことを報告する。
『頂きます』で、家族揃って食事をする。




若水を汲み神仏に供え五穀豊穣、家内安全、健康長寿を願い、
こうして新しい年を迎えた。

= 正月3日間の朝は、家例で雑煮を頂きました。=

 

 
故郷の生家、
画像奥地の山は、美の山です。
この山裾に荒川が流れ、景勝地の長瀞があります。

 

新年にふさわしい「若水を汲む】の題材を取り上げまして、
其の1、其の2と長くなりました。
秩父地方山間の正月風景をお伝えしました。 

 

本年もよろしくお願いいたします。 

 

 

 

 

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16 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
若水 (とんちゃん)
2019-01-02 07:50:49
明けましておめでとうございます。
平成最後のお正月、若水を汲んで神棚にお供えをする習慣が残っている所も少ないでしょうね!
石鎚山の山奥に住む家の当主が、紋付き袴で若水を汲んで新しい年を迎える様子をTVで見ました。
縄文人さんの故郷の正月もいいですね~
そちらのお雑煮は角餅ですね!
こちらは丸餅です。
私も昨年初めてお節のお取り寄せをしてみましたが、味に馴染みがなくて・・・大晦日にはがんばりました。
穏やかな良い年でありますように願っています。
今年もどうぞ宜しくお願いします。
返信する
明けましておめでとうございます。 (momomama)
2019-01-02 10:24:51
若水をくむ・・・厳かに新年を迎える・・いつまでも残ってほしいですね。
縄文人さんの 折に触れての故郷への想い 読むたびに伝わりますよ。

お雑煮は北九州も とんちゃんさんと同じく丸餅です。

箱根駅伝を観てますが 東京もいいお天気ですね。
北九州も今日は 晴天です。。
今年もどうぞよろしくお願いします。

返信する
新年あけましておめでとうございます。 (heikou)
2019-01-02 20:14:29
縄文人さん 今年もどうぞよろしくお願いいたします。
秩父のお正月を迎える様子が分かりました。
秩父は盆地であるために、冬の寒さは大変なのででしょうね。
それに比べ、私の住む東京下町はめったに雪は降らず、川なども凍ることもなくなりました。
子供のころはよく川が凍っていました。
地球温暖化の影響が感じられます。

今日は、大学駅伝のテレビ中継を見ていました。
私の出身校が出ていましたので、毎年応援しています。
今年は頑張って良い位置についています。
後輩にエールを送っています。

縄文人さん今年も体に気を付けて、良い一年を過ごしましょう。
返信する
とんちゃんへ (縄文人)
2019-01-03 08:41:10



明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いします。
若水を汲むは、私が小さい頃を思い出しながら綴ったものです。
今は水道の普及し、捻るとジャーで便利となりました。

郷里は角餅でした。
搗いた餅を丸く延ばして翌日細長い板を当てて切りました。
30ヶ日、お雑煮を食べ正月気分を味わいました。
3日間静かな空晴れて清々しい日が過ごせました。穏やかな日でした。

 〇 初夢を叶えられるか遠大の  (縄)


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若水 (どんこ)
2019-01-03 08:49:32
いい言葉ですね。
こちらでは以前は新米のことを「若飯」と言っていました。
幼少の頃は家で牛を飼っていて
大晦日の夜には新米を炊き
いの一番に牛に「若飯だぞう!」と食べさせていましたよ。
それだけ農耕用の家畜を大切にしていたのでしょうね。

正月の三が日目、やっと快晴になりました。
返信する
momomamaさん (縄文人)
2019-01-03 08:54:00


正月の空青く澄み渡り気持ちよし。
本年もよろしくお願いします。

昨日は、子どもたちそれに孫がいっぱい来て酒もごっそり飲みました。
今朝はお雑煮で正月気分を味わいました。

箱根駅伝、そして今朝も復路の出発を見ました。これからまたTV応援です。

  〇 選手らの吐く息白し霜景色  (縄)

返信する
heikouさん (縄文人)
2019-01-03 09:15:57


本年もよろしくお願いいたします。
昨年は、街歩き大変お世話に成りました。
今年もどこまで歩けますやら頑張り、参加させていただきます。
   賀状早々有難うございました。

≫私の住む東京下町はめったに雪は降らず、川なども凍ることもなくなりました。
そう言えば、街歩きの時、水元から流れ来た用水で、高砂付近で水遊びをしたとの話を聞きました。
その用水も埋め立てられすっかり、景観も異なりました。

  〇 雑煮喰う木の枝割った新箸で  (縄)

        若水当時は、新箸を作って
            雑煮を食べました。

返信する
どんこさん (縄文人)
2019-01-03 09:26:03

 

本年もよろしくお願いします。

≫いの一番に牛に「若飯だぞう!」と食べさせていましたよ。
確かに牛は農耕として力を発揮したので大事にしましたですね。
我が家でも飼っていて、畑の耕し、水田の代掻きなどで大きな力を発揮しました。
  大事に育てました。

  〇 丹念の手書きの年賀二度見つめ (縄)

    手書きの賀状が、貴重になりました。

返信する
Unknown ()
2019-01-03 15:44:45
ご挨拶が遅れまして申し訳ございません。
先ほど帰ってコメント欄開けました。
昨年は色々とお世話になりました。
今年も宜しくお願い致します。

若水、いい言葉ですね。
今では聞くことも無くなりました。
秩父の田舎ならではでしょうか。厚い氷におおわれているのですね.
今は水道で便利になりました。

私も3ヶ日はお雑煮を頂いて来ました。
今年1年の元気を付けて来ました。
返信する
紅さん (縄文人)
2019-01-03 18:12:51
富士山

良き正月でした。
晴れわたり青く澄み、そして穏やかでした。
今年もよろしくお願いします。

所沢の方にお出かけとか、早いお帰りでした。
私法も朝3日間お雑煮を食べました。

  ・ 雑煮食べまた一つ年重ねけり  (縄)

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