雨曇子日記

エイティライフの数々です

ひいきの宿  2

2015-01-30 13:40:51 | エッセー

昭和 58 年( 1983 )ごろの週刊朝日が連載した有名人の「ひいきの宿」です。連載は 103 回つづきました。

11 番目は、山田洋次監督の「油屋」(高梁市)です。

          つつましやかな品のよさ               山田 洋次

「四方を山で囲まれて、ひっそりと息づくように城下町の面影を残している備中高梁。

12 年前に滞在したことのあるこの町に、昨年秋“男はつらいよ”のロケーションで久々に訪れたら、町の面影がほとんど昔のままだったことにホッとした。もちろん、油屋の古風な建物もそのままだった。ただ、高梁川のせせらぎの聞こえる静かな場所だったのに、川べりにバイパス道路が出来てしまって、自動車の騒音が窓越しに聞こえるのが痛ましかったが。

この宿は料理が自慢で、端正な顔立ちの跡とり息子の包丁の腕はなかなかのものである。特に目の前を流れる高梁川で釣り上げた鮎の焼きたてを、おかみさんに、“さあ、熱いうちにどうぞ”とせきたてられながら、フウフウいってかぶりつくのがたまらない。このへんは松茸の名所でもあって、黄葉の色づくころに行けば松茸をふんだんに使った料理を出してくれる。品の良いおかみさんの采配の下で、ベテランの女中さんたちのチームワークも大変心地よい。

京都や金沢のようなところなら、金持ちや有名人だけが泊まるような贅沢な日本旅館がいろいろあるだろうが、誰でも気楽に泊まれて、しかも昔ながらの格調をきちんと守っている宿が、高梁のような小さな町にさりげなくあるということで、私はなんとなく救われるような気持ちになる。」

ここで、12 年前というのは、昭和46 年(1971 )の第8 作“男はつらいよ 寅次郎恋歌”です。妹さくらの旦那、博さんの実家が高梁にある設定です。

ちなみに、12 年後の第32 作は“男はつらいよ 口笛を吹く寅次郎”、このときのマドンナは竹下景子(お寺の娘)です。

「油屋」を、高梁市の HP で調べたら現在も立派に営業されているようで安心しました。(生きているうちに訪ねねばとあせっています)

 

 


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2 コメント

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Unknown (satomi)
2015-01-31 12:14:42
ひいきの宿①も②も、渋いですねぇ~
いつも思うのですが、ネットって本当にこういう事を
知れて便利ですよね。
パソコンが無かったら、このお宿の存在さえ知らないままですものね~

どちらのお宿にも大歩危トラベルさまが、無事に推行されますように!

ウチには・・岡山は遠いです(苦笑)
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宿との出会い (雨曇子)
2015-01-31 17:26:49
私の場合、これからは、一回一回の旅、宿をじっくり選び、
しっかり記憶にとどめたいと思っています。
旅行に何を求めているのか、根本のところがぐらついているような気がします。

とも角、ひいきの宿①・②はともに「行ってみたいなあ」と思っていることは確かです。
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