「思考の整理学」等の著作で知られた英文学者、外山滋比古先生は、7月30日96歳で亡くなられたが、最近まではお元気で著作もなされていたそうだ。
3年前の2017年7月末、刈谷中学・高校同窓会”亀の子会”副会長中田咲乎さん(刈谷高校5回生)は、100周年記念誌原稿依頼の件で、外山先生にお会いした。
(記念誌6ページ・写真は朝日新聞社提供)
先生ご指定の九段グランドパレスHの喫茶室で、外山先生は中田さんにこんな話をされたそうだ。
「西尾に住む私の父が東京の私を訪ねてきて、帰った後”おまえは毎日白味噌を食べさせられているのか、可愛そうに!”それから、亡くなるまで毎年八丁味噌を送ってくれたよ」
NHK朝ドラ「エール」では、主人公古山裕一(古関裕而)が豊橋出身の妻に味噌汁から始まり、八丁味噌づけの生活を強いられることに、いささか辟易する様子が描かれているが、外山先生の場合は逆だったかと思うと、これまた微笑ましい。
さて、先生は中学時代、陸上競技が得意で、常に学年で一番だったそうだ。
「中学5年を通じて、授業をおもしろいと思ったことは一度もない。ただ4年生のときの国語の教科書で寺田虎彦の”科学者のあたま”という文章にふれることができたのは大きかった。生涯その影響を受けているように感じている」と書いておられる。
付記
中田咲乎さんから電話があった。「私が外山先生から伺った味噌の話は”三河の風”という随筆集125ページに乗っている」そうだ。先生の奥様は九州ご出身で、信州味噌を供していらしたらしい。
NHK朝ドラ「エール」で、小山家に泊まったミュージックティーチャーが「味噌変えたの?」と音に聞くシーンがあった。(昔は、誰もが味噌にこだわったのだ)