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人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

郷古廉 ✕ 加藤洋之 ✕ 横坂源でショスタコービチ「ピアノ三重奏曲第2番」「ヴァイオリン・ソナタ」他を聴く ~ 東京春祭 室内楽シリーズ Vol.3

2023年04月12日 00時04分25秒 | 日記

12日(水)。5月10日(水)午後7時からは、東京シティ・フィルの第1回定期演奏会(オペラシティ)と、東京フィルの第4回定期演奏会(サントリーホール)が重なっているので、振替制度のある東京フィルを12日(金)オペラシティ公演に振り替えました 東京フィルの振り替えは1月に次いで今回が2度目です

ということで、わが家に来てから今日で3011日目を迎え、トランプ前米大統領の弁護団は、2020年大統領選の結果を前大統領が覆そうとしたとされる問題の捜査を巡って、ペンス前副大統領に大陪審での証言を命じたワシントン連邦地裁の決定差し止めを控訴裁判所に申し立てた  というニュースを見て感想を述べモコタロです

 

     

     トランプは自らペンス氏への圧力を認めたようなものだ 主張が認められる訳がない

 

  昨日は諸般の事情により夕食作りはお休みしました  

 

         

 

昨夜、東京文化会館小ホールで「東京春祭 室内楽シリーズ Vol.3 ~ 郷古廉 & 加藤洋之  鏡の中の春 ー 横坂源を迎えて」を聴きました プログラムは①ブロッホ「バール・シェム」より第2曲「ニーグン」(ヴァイオリンとピアノ版)、②ショスタコーヴィチ「ヴァイオリン・ソナタ 作品134」、③シルヴェストロフ「ヴァイオリン・ソナタ ”追伸”」、④ショスタコーヴィチ「ピアノ三重奏曲第2番 ホ短調 作品67」です 演奏はヴァイオリン=郷古廉、ピアノ=加藤洋之、チェロ=横坂源です

郷古廉(ごうこ すなお)は1993年宮城県生まれ。2013年ティボール・ヴァルガ・シオン国際ヴァイオリンコンクール優勝、今年4月からNHK交響楽団のゲスト・コンサートマスターを務めています 一方、ピアノの加藤洋之(かとう ひろし)は1990年のジュネーブ国際音楽コンクール・ピアノ部門3位入賞の実力者です

 

     

     

自席はE列28番、右ブロック左通路側です

1曲目はブロッホ「バール・シェム」より第2曲「ニーグン」(ヴァイオリンとピアノ版)です 「バール・シェム」はスイス出身のエルネスト・ブロッホ(1880-1959)が1923年に作曲したハンディズム教徒の生活の3つの情景を描いた作品です。18世紀にユダヤ教の核心運動ハシディズムを興した神秘主義者でバール・シェム・トーヴ(善き名の主)と呼ばれたイスラエル・ベン・エリエを指しています 第1曲「ヴィドゥイ(懺悔)」、第2曲「ニーグン(即興)」、第3曲「シムハト・トラー(歓喜)」から成ります

加藤のピアノにより演奏が開始され、郷古のヴァイオリンが入ってきます 冒頭のメロディーを聴いて、リムスキー・コルサコフ「シェエラザード」の音楽に似ているなあ、と思いました 全体的にエキゾチックな曲想ですが、郷古のヴァイオリンは魂を揺さぶる渾身の演奏でした

2曲目はショスタコーヴィチ「ヴァイオリン・ソナタ 作品134」です この曲はドミトリー・ショスタコーヴィチ(1906-1975)がヴァイオリンの巨匠ダヴィッド・オイストラフ60歳の誕生日を祝うために1968年に作曲、1969年にオイストラフのヴァイオリン独奏によりモスクワで初演されました 第1楽章「アンダンテ」、第2楽章「アレグレット」、第3楽章「ラールゴ ~ アンダンテ ~ ラールゴ」の3楽章から成ります

この曲では第2楽章「アレグレット」の問答無用の高速演奏が白眉でした 切れ味鋭い郷古のヴァイオリンに、受けて立つ加藤のピアノが交差し、アグレッシブな演奏が展開します 主役の2人と共に大変だったのは譜めくりの女性です 加藤の譜面をめくったと思ったら郷古のところまで行ってヴァイオリンの譜めくりをして元の位置に戻るということを何度か繰り返しました つまり、それほどヴァイオリンの譜面はソリストがめくる余裕がないほど音符だらけであることを意味しています 第3楽章では、郷古のピッツィカートに魂がこもっています また高音部での音色の変化が鮮やかでした そして、超絶技巧のカデンツァが見事でした

 

     

 

プログラム後半の1曲目はシルヴェストロフ「ヴァイオリン・ソナタ ”追伸”」です この曲はウクライナの作曲家ヴァレンティン・シルヴェストロフ(1937~)がフランクフルト音楽祭の委嘱を受けて1990年から翌91年にかけて作曲した作品です 第1楽章「ラルゴ ~ アレグロ ~ アレグレット」、第2楽章「アンダンティーノ」、第3楽章「アレグロ・ヴィヴァーチェ」の3楽章からなります

第1楽章冒頭は、バッハの「アリオーソ」によく似たメロディーです   第2楽章は優しいメロディーが続き、第3楽章はヴァイオリンのピッツィカートとピアノによって、まるで”こだま”のような、あるいは”波紋”のような音楽が繰り返されます 楽章の指定は「アレグロ・ヴィヴァーチェ」となっていますが、まったくそのような速い音楽ではなく、アンダンテぐらいの速度でした それだけに”こだま”の印象が後まで残りました

最後の曲はショスタコーヴィチ「ピアノ三重奏曲第2番 ホ短調 作品67」です この曲は1944年に作曲、同年レニングラードで初演されました 評論家で、ショスタコーヴィチの芸術の推進者であり親友でもあったソルレチンスキーの追悼のために献呈されました 第1楽章「アンダンテ ~ モデラート」、第2楽章「アレグロ・コン・ブリオ」、第3楽章「ラールゴ」、第4楽章「アレグレット ~ アダージョ」の4楽章から成ります

チェロの横坂源は2010年の第59回ミュンヘン国際音楽コンクールチェロ部門2位入賞の実力者です

第1楽章冒頭は、弱音器をつけたチェロがハーモニクスで静かにレクイエムを奏でます そして郷古のヴァイオリンが静かに加わり、さらに加藤のピアノが入ります この作品でも白眉は第2楽章です 実質的なスケルツォですが、郷古、横坂、加藤の丁々発止の激しいやり取りによるグルーヴ感が堪りません ショスタコーヴィチの室内音楽の素晴らしいところはこういうところにあります 第3楽章は一転、郷古のソロにより死者への哀悼の想いが切々と語られます そして、横坂のソロが加わり、一層哀しみの想いが伝わってきます 第4楽章ではヴァイオリンとチェロのピッツィカートに乗せて加藤のピアノが力強い演奏を繰り広げます 3人によるアグレッシブな演奏が展開され、第1楽章のテーマなどが回想され静かに曲を閉じました

満場の拍手の中、カーテンコールが繰り返されます 聴きごたえのある素晴らしい演奏でした 拍手をするのに忙しく、写メするのを忘れました

ところで、この日のプログラムはロシア(ソ連)の作曲家とウクライナの作曲家を同時に取り上げたコンサートでしたが、このプログラムは昨年2月24日にロシアがウクライナに侵攻する以前に決まっていたものだと推測します 現在上演されているオーケストラやオペラ公演におけるロシアの作曲家の作品は、ほぼ例外なく昨年2月24日以前に決定していたと思われます チャイコフスキーにしても、ラフマニノフにしても、ショスタコーヴィチにしても、作曲家とその作品には何の罪もありません 悪いのは極悪非道のプーチンとその取り巻き連中と、ウクライナで起こっていることに目をつぶって8割以上がプーチン政権を支持しているロシア国民なのですから

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ジャン・ルノワール監督「素晴らしき放浪者」を観る ~ どこかフーテンの寅さんに似ているが決定的に違う:J.シュトラウス「美しき青きドナウ」の調べも流れる

2023年04月11日 07時00分16秒 | 日記

11日(火)。わが家に来てから今日で3010日目を迎え、ウクライナの現地メディア「ウクライナ・プラウダ」は10日、東部ルハンスク州の当局によるSNS投稿をもとに、ロシアがウクライナの東部地区で墓石を持ち出し、ロシア兵の死者の名前を刻んでいると報じた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     ロシア兵の意識も地に落ちた  ”はかない一生”では済まないぞ 極悪非道のロシア兵

 

         

 

昨日の夕食は久しぶりに「すき焼き」にしました 毎朝3時半起きで4時半には出勤していく娘には、体力をつけてもらわなくてはならないので、どうしても肉料理が多くなりがちです

 

     

 

         

 

早稲田松竹でジャン・ルノワール監督による1932年製作フランス映画「素晴らしき放浪者」(モノクロ・87分)を観ました

セーヌ河畔の本屋の主人レスタンゴワ(シャルル・グランヴァル)はある小春日和の午後、ブーデュ(ミシェル・シモン)がセーヌ川に身投げしたのを目撃し、助け出す 妻には愛想をつかされ、若い女中にうつつを抜かすレスタンゴワにはブーデュの姿が美しく見えたのだ しかし、ブーデュにとっては有難迷惑だった 自由に生きる放浪者にとってレスタンゴワ一家は道徳の悪巣であり、逆に一家にとってブーデュは不道徳の化身だった ブーデュは食事を台無しにし、ベッドカバーで靴を磨き、レスタンゴワと女中アンヌマリ(セブリース・レルシンスカ)の密会を妨害し、家宝のバルザックの初版本に唾をはき、本屋の客を追い返し、夫人すら誘惑するありさま 業を煮やしたレスタンゴワは最後の解決策としてアンヌマリとブーデュを結婚させることを思いつき、行動に移す 数日後、水辺の小さなレストランでの披露宴の後、一同は舟に乗るが、ブーデュが水に浮ぶ物を取ろうとして舟がひっくり返る 新婦やレスタンゴワ夫婦は必死に岸へ上がろうとするが、ブーデュは上ろうとせず流れていき、ひとり下流で陸に上って放浪生活を続けるのだった

 

     

 

ミシェル・シモンが演じるブーデュは、とにかくやる事なす事がハチャメチャです 騒動を起こしては どこへともなく旅に出ていくフーテンの寅さんを思い浮かべます しかし、寅さんの「男はつらいよ」には笑いとペーソスがありますが、ブーデュの「素晴らしき放浪者」には笑いはあるもののペーソスがありません そこが決定的に違います

披露宴から楽団が演奏し続けているヨハン・シュトラウス2世「美しく青きドナウ」が流れる中、無人の舟と共にブーデュが流されていくシーンはシュールです

 

     

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マレク・ヤノフスキ ✕ エギルス・シリンス、アドリアン・エレート他 ✕ NHK交響楽団でワーグナー「ニュルンベルクのマイスタージンガー」を聴く ~ 東京春祭ワーグナー・シリーズ Vol.14

2023年04月10日 00時16分32秒 | 日記

10日(月)。わが家に来てから今日で3009日目を迎え、ソ連崩壊後に死刑の執行停止「モラトリアム」を続けてきたロシアで、ウクライナ侵攻を支持していた軍事ブロガー、フォミン氏の暗殺後、死刑復活論が再燃している  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     散々ウクライナで民間人を殺しておいて 何が死刑復活だ!  プーチンは恥を知れ!

 

         

 

昨日、東京文化会館大ホールで「東京春祭ワーグナー・シリーズ Vol.14 ~ ニュルンベルクのマイスタージンガー」(演奏会形式)を聴きました   出演はハンス・ザックス=エギリス・シリンス、ジクストゥス・ベックメッサー=アドリアン・エレート、エファ=ヨハン二・フォン・オオストラム、ファイト・ポークナー=アンドレアス・バウアー・カナバス、ヴァルター・フォン・シュトルツィング=デイヴィッド・バット・フィリップ、ダフィト=ダニエル・べーレ、マグダレーネ=カトリン・ヴンドザム、フリッツ・コートナー=ヨーゼフ・ワーグナー、クンツ・フォーゲルゲザング=木下紀章、コンラート・ナハティガル=小林啓倫、バルタザール・ツォルン=大槻孝志、ウルリヒ・アイスリンガー=下村将太、アウグスティン・モーザー=高梨英次郎、ヘルマン・オルテル=山田大智、ハンス・シュヴァルツ=金子慧一、ハンス・フォルツ=後藤春馬、夜警=アンドレアス・バウアー・カナバス。管弦楽=NHK交響楽団、合唱=東京オペラシンガーズ、指揮=マレク・ヤノフスキです

 

     

 

「ニュルンベルクのマイスタージンガー」はリヒャルト・ワーグナー(1813-1883)が1862年から1867年にかけて作曲、1868年にミュンヘンで初演された全3幕15場から成る楽劇です 「楽劇」とは、大雑把に言えば、「歌劇」におけるレチタティーヴォとアリアの区分を無くし、登場人物や情景などを「〇〇のテーマ」というような「ライトモティーフ」として組み立てていき、無限旋律(音楽が休むことなく流れていく)で演奏していくものです

歌劇には「リエンツィ」「さまよえるオランダ人」「タンホイザー」「ローエングリン」などがあり、楽劇には「トリスタンとイゾルデ」「ニュルンベルクのマイスタージンガー」「ニーベルングの指環:四部作(ラインの黄金、ワルキューレ、ジークフリート、神々の黄昏)」があり、さらに舞台神聖祝典劇「パルジファル」があります

 

     

 

物語の舞台は16世紀頃のドイツのニュルンベルク。聖カタリーナ教会で騎士ヴァルターはエーファに一目惚れする ヴァルターは翌日マイスタージンガーの歌合戦の勝利者がエーファを花嫁にできるとマグダレーネから聞き、自分も歌合戦に参加しようと靴屋のハンス・ザックスの徒弟ダーヴィットから歌の心構えを聞く 書記ベックメッサーとエーファの父ポーグナーが現れるのでヴァルターは試験を受けたいと頼み込む 翌日の合戦について協議する親方たちの前で、ヴァルターは自作の歌を披露する 歌の途中でやはりエーファとの結婚を目論むベックメッサーが非難を口にし始め、ザックスのみが認めるべき箇所が多いと擁護する しかし、結局は失格となり ヴァルターは意気消沈する(以上、第1幕)。

エーファは、騎士が歌合戦に出場できるかどうかを父親に訊ねるが、彼は言葉を濁す ザックスがエーファを愛する歌を歌っていると、当の彼女が現れてヴァルターの出来について聞き出そうとする エーファのヴァルターへの愛が本物だと知ったザックスは、彼女のために動こうと決心する エーファを訪ねてきたヴァルターは、歌合戦に出場できなくなった事の次第を悔しげに語り、駆け落ちを迫る。一方、ベックメッサーがエーファの部屋の下でセレナーデを歌おうとするが、ザックスが金槌の音を立てて邪魔をし、エーファの身代わりで窓辺に立つマグダレーネの姿に、彼女と恋仲のダーヴィッドが気が付いて大騒ぎになる 騒ぎに乗じて駆け落ちのため家を出ようとしたエーファとヴァルターの前にザックスが現れ引き留める(以上、第2幕)

翌朝。ザックスはヴァルターの全く新しいスタイルの歌を認めるべきかどうか悩む ヴァルターが夢に見た話を語るので、ザックスはそれを歌にしなさいと励ます ベックメッサーが訪ねてきて、ザックスが書き留めたヴァルターの歌を自分のものとしてしまう エーファはヴァルターが歌合戦に出場できるようにしてくれたことに対しザックスに感謝の気持ちを表す 歌合戦でベックメッサーが歌い出すが上手くいかず、責任をザックスに被せる ザックスは同じ歌をヴァルターに歌わせ、皆は彼の歌いぶりに感動する 勝利が決まったヴァルターにザックスが「マイスタージンガー」の伝統の重みを説き、一同がザックスを讃える(以上、第3幕)

 

     

 

自席は1階R7列3番、右サイドブロック7列左から3つ目です いつも思うのですが、東京文化会館の椅子は窮屈です とくに1階RサイドとLサイドの席は、膝が前の席の背板にくっつきそうです 数年前にホールの改装工事をやったのに椅子の間隔については考慮外だったようで、非常に残念です

拍手の中、N響の面々が配置に着きます 弦楽器は14型で、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスといういつものN響の並び。コンマスは元ウィーン・フィルのコンマス、ライナー・キュッヒルです

ヤノフスキの指揮で第1幕への前奏曲が華々しく演奏されます 通常のオペラ公演ではオーケストラがピットに入るので規模が小さく音も貧弱になりがちですが、「演奏会形式」なのでオケがステージ上に配置されており、フル・オーケストラの音がダイレクトに伝わってきます

歌手陣は主役級を中心に期待通りの歌唱力を発揮しました

ハンス・ザックスを歌ったエギリス・シリンスはラトヴィア出身のバス・バリトンです ラトヴィア音楽アカデミー卒。10の国際コンクールに入賞した後、世界中の音楽祭や歌劇場で活躍しています 独特の艶のある声で、歌唱力は抜群です とくに第2幕におけるザックスとエーファとのやり取りは、ドイツ語で歌っているのにジーンときました ザックスは結婚歴があるものの妻を亡くし現在は男やもめですが、幼い頃から知っているエーファを密かに愛しています エーファもザックスに求婚してほしいと思っています しかし、新たにヴァルターというライバルが現れたため、ザックスは身を引くことを決意します この辺の複雑な心情をシリンスは見事に歌い上げていました

ベックメッサーを歌ったアドリアン・エレートはオーストリア出身のバリトンです ウィーン国立歌劇場を中心に、世界のオペラハウスに出演し好評を博しています ベックメッサーはこの楽劇では”悪役”ですが、見事な歌唱力と演技力でその役柄を果たしました とくに第2幕における早川りさ子の小型ハープの伴奏で歌う”詩”が、ザックスの金槌の音で邪魔される時のイライラ感が笑いを誘い、この楽劇がワーグナーの希少な「喜劇」であることを思い出させます 彼は新国立オペラでも「ドン・ジョバンニ」タイトルロールをはじめ、日本の聴衆にはお馴染みの歌手ということもあり、カーテンコールでは一番多くの拍手喝さいを集めていました

ヴァルターを歌ったデイヴィッド・バット・フィリップは英国サマセット州ウエルズ出身のテノールで、英国ロイヤル・オペラ・ハウスを中心に国際的に活躍しています 無理のない歌唱で、エーファへの思いを情熱的に歌い上げる姿が印象的でした

エファを歌ったヨハン二・フォン・オオストラムは南アフリカ出身のソプラノです ワーグナー、リヒャルト・シュトラウス、モーツアルトのヒロイン役を中心に国際的に活躍しています 美しい声で、高音も無理なく歌い上げ、存在感を示しました

ポークナーを歌ったアンドレアス・バウアー・カナバスはドイツ・イエーナ生まれのバスです ヴェルディやワーグナーなどの主要なバス役を8つの異なる言語で歌い、世界の歌劇場に出演しています 深みがあり説得力のある歌唱で聴衆を魅了しました

ダフィトを歌ったダニエル・べーレは1974年、ドイツ出身のテノールです よく通る歌声で、ザックスの徒弟をコミカルに歌い演じました

マグダレーネを歌ったカトリン・ヴンドザムはオーストリア・ノイシュティフト出身のメゾ・ソプラノです ザルツブルクのモーツアルテウムで学び、ヨーロッパを中心に活躍していますが、歌唱力と共に演技力もあります

東京オペラシンガーズは迫力ある混声合唱で盛り上げました

特筆すべきは、ヤノフスキ指揮NHK交響楽団の演奏です 「第1幕への前奏曲」は妥協を許さないキビキビしたヤノフスキの指揮による壮麗な演奏でした また、「第3幕への前奏曲」では弦楽器による分厚い響きが素晴らしく、集中力に満ちていました 演奏者では、とくに第1幕を中心として吉村結実のオーボエ、神田寛明のフルート、ホルン・セクションが冴えていました

最後はマイスタージンガーのテーマが華々しく演奏されて幕を閉じ、カーテンコールが繰り返されました 「スタンディングオベーションの法則」(前の人が立つとステージが見えなくなるので自分も立つという法則)にしたがって、聴衆総立ちの拍手喝采となりました

 

     

 

「マイスタージンガー」は中世から近世にかけてのドイツの手工業ギルドが与えた称号の一つで、マイスターは「親方」、ジンガーは「歌い手」のこと、日本語では「親方歌手」「職匠歌人」などとなります 音楽界で言えばマイスターは「マエストロ」に通じます。「マエストロ」と呼ぶに相応しいマレク・ヤノフスキの指揮の素晴らしさを考えると、本公演での指揮ぶりは さながら「ニュルンベルクのマエストロ・コンダクター」のようです

 

     

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「古いヴァイオリン、美しい音の秘密は?」 ~ 日経の記事から / ジャン・ルノワール監督「フレンチ・カンカン」を観る ~ オッフェンバック「地獄のギャロップ」に乗せて踊るカンカンは圧巻

2023年04月09日 06時28分48秒 | 日記

9日(日)。昨日の日経夕刊に「古いヴァイオリン、美しい音の秘密は?」という見出しの記事が載っていました 記事を超略すると次の通りです

「17世紀から18世紀にかけてイタリアのクレモナで活躍したアントニオ・ストラディバリやガルネリ・デル・ジュスらが製作したヴァイオリン、ヴィオラ、チェロなどが王族や貴族によって買い求められ、歴史に名を残す演奏家たちが弾いて現代に継承してきた

「古いヴァイオリンがよい音を出す理由は、①使用木材の組み合わせ。ヴァイオリンの表板にはマツの仲間のトウヒ、裏板にはカエデが用いられる 長い時間をかけて乾燥させてから加工する。トウヒはよく振動して音を伝えやすい。一方、カエデは音を吸収しやすい。この組み合わせが良い音色の秘密に関わっている そっくりの形状に作っても同じ音色にはならない。使われる木材の性質などが大きく左右している 板は340ヘルツあたりで強く共鳴するように加工されている 一般に板は木目が細かくそろっているのがよいと言われている。ただし、ストラディバリウスとガルネリでも木目の太さや間隔は結構違う 木材は長い時間をかけて乾燥すると、中で化学反応が起こり、音が伝わりやすく、よく響くようになる かつては塗装に使うニスに秘密があるのではないかといわれていたが、ニスは普通のものなので、その説は間違っていると分かった その一方で、木材を何らかの薬品を使って処理していたことは確かなようだ。木材を分析すると、アルミニウムや胴などの金属のほか、たんぱく質に近い化合物が見つかる

これまで「よい音にはニスの影響があるという昔の説を信じていただけに参考になりました

ということで、わが家に来てから今日で3008日目を迎え、国連安全保障理事会は、対北朝鮮制裁の履行状況を調べる専門家パネルの年次報告書を公表したが、その中で、2022年に北朝鮮が前年に比べて約2倍の約6億~10億ドル(約790億~1300億円)となる過去最高額の暗号資産(仮装通貨)を盗んだと強調したほか、ロシアなどに軍事通信機器の輸出をしている可能性があると指摘した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     北朝鮮は”盗み”が国家事業の柱だからね それがすべてミサイル発射実験に使われる

 

         

 

昨日、早稲田松竹でジャン・ルノワール監督による1954年製作フランス・イタリア合作映画「フレンチ・カンカン」(104分・カラー)を観ました

物語の舞台は1888年のパリ 興行師ダングラール(ジャン・ギャバン)は下町モンマルトルのキャバレーで踊りの上手な二二(フランソワーズ・アルヌール)を見初め、自分の店を売り払ってそのキャバレーを買い取り「ムーラン・ルージュ(赤い風車)」と改名する 二二を踊り子たちの中心に据え、カンカンを上演するキャバレーとして開店の準備を進めるが、次から次へとトラブルが舞い込む

 

     

 

監督のジャン・ルノワールは言うまでもなく、印象派の画家ピエール=オーギュスト・ルノワールの次男です それもあってか、この映画は極めてカラフルで絵画的です どのシーンを切り取っても”絵”になります それは黒澤明の一連の時代劇映画と共通しています 圧巻なのは最後のカンカン踊りのシーンです 踊り子たちが客席の間から、あるいはロープで天井から、あるいは紙の壁をぶち破って登場し、フロアに集結してカンカンを踊り始めるシーンは感動的です そして、次から次へと軽快な音楽に乗せて踊るカンカン踊りが素晴らしい 締めの曲はオッフェンバック「地獄のオルフェ(天国と地獄)」の「地獄のギャロップ」です カンカンで思い出すのは、フランツ・レハールのオペレッタ「メリー・ウィドウ」第3幕で「キャバレー・マキシム」で踊られるカンカンです 2015年1月17日収録のMETライブビューイング「メリー・ウィドゥ」でヴァランシエンヌ役のミュージカル・スター、ケリー・オハラが歌いながら踊ったカンカンが忘れられません ブロードウェイで活躍するスーザン・ストローマンの演出でしたが、たぶんこの映画を参考にしたのではないかと想像します

この映画では、エディット・ピアフも登場してシャンソンを歌いますが、これがまた素晴らしい この映画はミュージカル映画の金字塔といえます

     

 

     

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東京シティ・フィル ⇒ 新シーズンの全プログラム確定 / 清少納言「枕草子」を読む ~ 「くちをしきもの 岸田政権の財源なき国家予算拡大政策」とか。今から1000年前に書かれた随想 いとをかし

2023年04月08日 07時00分23秒 | 日記

8日(土)。東京シティ・フィルから2023/2024シーズンで調整中となっていたプログラムが確定したという通知が届きました 下記のお知らせの通り、7月7日の第362回定期演奏会は、プロコフィエフ「ヴァイオリン協奏曲第2番」を周防亮介が演奏することが決定 また、2024年1月13日の第366回定期演奏会のプログラムが①シューマン(ラヴェル編)「謝肉祭」より、②同「ピアノ協奏曲 イ短調」、③ラヴェル:バレエ「ダフニスとクロエ」第1・第2組曲と決定(指揮は沖澤のどか)しました   両公演ともとても良いプログラムだと思います

 

     

 

封書には会員特典の「東京シティ・フィルのロゴ入り付箋」と6月8日(木)の第361回定期演奏会リハーサルの招待券が同封されていました 藤岡幸夫の指揮で吉松隆「交響曲第3番」他のリハーサルが公開される予定です この週は6回コンサートを聴く予定ですが、8日は奇跡的に空いているので見学しようと思います

 

     

 

シティ・フィルといえば、 MINAMI(吉田南)がブラームス「ヴァイオリン協奏曲」を演奏する15日の「ティアラこうとう定期演奏会」が楽しみです

 

     

 

ということで、わが家に来てから今日で3007日目を迎え、立花孝志氏が7日、国会内で会見し、政治家女子48党の党首への復帰を表明し、代表兼党首の大津綾香氏は除名したと発表した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     ガーシーの次は 大津綾香を利用して捨て 党首に復帰した立花を 誰が信じるのか?

 

         

 

昨日、夕食に「お肉やわっやわ鶏のガリチー煮」と「エノキダケと人参とウインナのスープ」を作りました 「鶏の~」は娘がショートメッセージで写真とともに送ってきたレシピで作りました ガリチーはガーリック+チーズの略です 自分がリクエストした料理だけあって、娘は食べながら「旨い」「美味しい」を連発していました 牛乳をベースに鶏の肉汁やシメジ、ホウレンソウ、玉ねぎの味がミックスされたタレを残しておいて、昼食にスパゲッティを作ると言っています

 

     

 

         

 

清少納言・角川書店編「ビギナーズ・クラシックス 日本の古典『枕草子』」(角川ソフィア文庫)を読み終わりました

「枕草子」を読むのは大学浪人時代以来なので、ン十年ぶりです 高校時代は「現代国語」や「古文」が好きで、「枕草子」や「方丈記」などの主要な文章は暗記に務めたものです

本書は「枕草子」の主要な随想とともに筆者の清少納言についても解説を加えています

清少納言が活躍したのは今から1千年以上も前の平安時代のことです 清少納言は本名ではありません。彼女が宮仕えした時の女房名です。清少納言は歌人・清原元輔の末娘で、一条天皇の中宮・定子(ていし)の女房です。女房とは定子の身の回りのお世話をする女性のことです 966年頃の生まれで、16歳ころ、橘則光と結婚、翌年則長を産みました

その頃は一条天皇の時代で、天皇元服(990年)と同時に、内大臣・藤原道隆の娘・定子が入内します。この時、天皇11歳、定子15歳で、同年定子は中宮となります。993年に道隆は関白となり、この年の初冬に清少納言は定子の後宮に宮仕えを始めました この時 清少納言28歳、定子18歳でした。その後、1000年2月に定子は皇后となり、第2子を出産しますが、25歳で死去します これに伴って清少納言は宮仕えを辞しました。「枕草子」はこの間の宮廷での出来事を随想の形で書き残したものです

清少納言は和歌も詠みますが、父親の清原元輔は歌人・学者として名高い人で、勅撰集「後撰集」の編纂や「万葉集」の訓読にかかわったといいます 清少納言は娘として恥ずかしくない歌を詠まなければならないという重圧を常に感じていたと思われますが、父親から受け継がれた文才が「枕草子」を書く上で大いに役立ったと思われます

 

     

 

本書は、古文に取っつきやすいように、有名な章段を中心に取り上げ、最初に「現代語訳(総振り仮名付き)」で紹介し、次に「原文(総振り仮名:歴史的仮名遣い)」に触れ、最後に時代背景などのコメントを付しています

「枕草子」と言えば第1段の「春は曙」で始まる有名な随想を思い浮かべます

春は、曙。やうやう白くなりゆく、山際すこし明かりて、紫立ちたる雲の細くたなびきたる。

夏は、夜。月のころはさらなり、闇もなほ、蛍の多く飛び違ひたる。また、ただ一つ二つなど、ほのかにうち光りて行くも、をかし。雨など降るも、をかし。

秋は、夕暮れ。夕日のさして、山の端いと近うなりたるに、烏(からす)の、寝所へ行くとて、三つ四つ二つなど、飛び急ぐさへ、あはれなり。まいて、雁(かり)などの連ねたるが、いと小さく見ゆるは、いとをかし。日入り果てて、風の音、虫の音(ね)など、はた、言ふべきにあらず。

冬は、早朝(つとめて)。雪の降りたるは、言ふべきにもあらず、霜のいと白きも、またさらでも、いと寒きに、火など急ぎおこして、炭持て渡るも、いとづきづきし。昼になりて、ぬるくゆるびもていけば、炭櫃・火桶の火も白き灰がちになりて、わろし。

どうでしょう、この歯切れの良い文章は 色彩感に溢れ 文章にリズムがあります 名文中の名文だと思います

この段で思い出すのは、浪人の時の「古文」の模擬試験の問題です それは上記の文章で下線を引いた「山際」と「山の端」の違いを説明せよ、というものです 正解は「山際(やまぎわ)」が「山の稜線に接した空」を意味し、「山の端(やまのは)」は「山の稜線」を意味します

模擬試験では当時の言葉の読解力が試されました 「をかし」は「良い」「風情がある」「興味深い」などの意味がありますが、現代と意味が異なる言葉に次のようなものがあります

「すさまじきもの」・・・・「期待が裏切られ、熱意が冷めて、しらけた気持ち」⇒「すさまじきもの トランプの自己主張」とか。

「にくきもの」・・・・・・「癪に障るもの」⇒「にくきもの プーチンの独りよがり」とか。

「あてなるもの」・・・・・「上品なもの」⇒「あてなるもの モコタロの毛づくろい」とか。

「にげなきもの」:・・・・「似合わないもの」⇒「にげなきもの 北朝鮮の強気の態度」とか。

「ありがたきもの」・・・・「めったにないもの」⇒「ありがたきもの トランプの反省の言葉」とか。

「ねたきもの」・・・・・・「むしゃくしゃするもの」⇒「ねたきもの ロシア国民のプーチン支持率80%越え」とか。

「かたはらいたきもの」・・「はらはらして困るもの」⇒「かたはらいたきもの 北朝鮮のミサイル発射実験」とか。

「あさましきもの」・・・・「呆然としてしまうもの」⇒「あさましきもの モコタロの餌皿ちゃぶ台返し」とか。

「くちをしきもの」・・・・「残念でがっかりするもの」⇒「くちをしきもの 岸田政権の財源なき国家予算拡大政策」とか。

「はしたなきもの」・・・・「体裁が悪いもの」⇒「はしたなきもの トランプの検察批判」とか。

こうして挙げていくとキリがないのでこの辺で止めておきます

巻末の「解説」が面白い 清少納言と同時代を生きた才女、紫式部が「紫式部日記」の中で清少納言を次のように評していると紹介しています

「清少納言こそ、得意顔に偉そうにしている人です。あれほど利口ぶって、女のくせに漢字を書き散らしていますが、よく見ると生半可な所がたくさんあるのです こう、人より抜きん出ようとする人は、必ず見劣りし、先々いやな感じになるもの・・・。いつも風流ぶっている人は、ひどくつまらない時もしみじみあわれに浸り、おもしろがっていますけれど、そんな風だと、自然と良くない軽薄な感じになるに決まっています そういう軽薄な人の行く末なんて、どうして良いことがありましょう」(以上、現代語訳)

解説の執筆者は「紫式部は、定子を苦しめた道長の娘・彰子に仕え、長編『源氏物語』を書いた 慎重で控えめな紫式部の目には、才気煥発を絵に描いたような清少納言が、鼻持ちならない軽薄な人間に映ったらしい」と解説しています 逆に清少納言は紫式部をどう評価していたのでしょうか? 気になります

さて、「枕草子」第245段には次のように書かれています

「ただ過ぎに過ぐるもの 帆かけたる舟。人の歳(よはひ)。春、夏、秋、冬」

「芸術は長く、人生は短し」・・・これは3月28日に亡くなられた坂本龍一さんが好きだった言葉だそうです 人間の死亡率は100%    一度きりの人生です。お互い後悔のないように生きたいものです

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トヨタ・マスター・プレイヤーズ、ウィーンで「ウィーン・プレミアム・コンサート Aプログラム」を聴く ~ ソプラノ独唱のヘドウィグ・リッターにブラボー!

2023年04月07日 01時15分39秒 | 日記

7日(金)。昨日の新日本フィルの告知ツイートには驚きました

「当楽団の首席チェロ奏者、桑田歩氏が昨日、ご逝去されました。客演首席奏者として長年にわたりご出演、2020年11月より当楽団首席チェロ奏者に就任、今年1月のすみだクラシックへの扉第12回が新日本フィルでの最後の出演となりました。心よりご冥福をお祈りいたします」

なぜ驚いたかと言えば、桑田氏は今年1月には特別編成による「歩夢ドリーム・オーケストラ」を振ってベートーヴェン「交響曲第3番」を演奏し 大きな話題を提供、4月27日には新日本フィルを振ってブルックナー「交響曲第8番」を演奏する予定だったからです   私が最後に桑田氏の演奏を聴いたのは、今年1月13日の新日本フィル「クラシックへの扉」における高関健指揮ネルソン・ゲルナーのピアノによるブラームス「ピアノ協奏曲第2番」でした 第3楽章冒頭の桑田氏のチェロ独奏による抒情的な演奏が耳に残っています。27日のブルックナーの指揮にすべてをかけていたのでしょうね。悔しかったと思います ゆっくりお休みください

 

     

 

ということで、わが家に来てから今日で3006日目を迎え、2021年1月の米連邦議会議事堂襲撃事件を巡り、ペンス前副大統領が5日、司法省の捜査のため証言に応じる意向を示した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     トランプが扇動した議事堂襲撃事件では危ない目に遭っている 証言者の真打登場!

 

         

 

昨日、夕食に「肉じゃが」「生野菜とツナのサラダ」「エノキダケの味噌汁」を作りました 肉じゃがは、先日カレーを作った時の牛肉が残っていたのでそれを有効活用しました

 

     

 

         

 

昨夜、東京オペラシティコンサートホールで「ウィーン・プレミアム・コンサート Aプログラム」を聴きました 演奏はウィーン・フィルとウィーン国立歌劇場のメンバーを中心に本公演のために特別に編成された「トヨタ・マスター・プレイヤーズ、ウィーン」です 芸術監督兼コンサートマスターはウィーン・フィルのコンマス、フォルクハルト・シュトイデです

 

     

 

プログラム前半は①ヨハン・シュトラウス2世:喜歌劇「こうもり」序曲、②同:「こうもり」より”侯爵様、貴方のようなお方は”、③同:「こうもり」より”田舎娘を演じる時は”、④同:ワルツ「芸術家の生涯」、⑤同:ポルカ・シュネル「チク・タク・ポルカ」、⑥ヨーゼフ・シュトラウス:ポルカ・マズルカ「女心」、⑦ヨハン・シュトラウス2世:ワルツ「春の声」です

プログラム後半は①ヨハン・シュトラウス2世「ヴェルディの主題によるメロディー・カドリーユ」、②同:喜歌劇「踊り子、ファニー・エルスラー」より「ジーヴェリングのリラの花」、③同:ワルツ「加速」、④同:喜歌劇「ウィーン気質」より「なつかしい愛の巣」、⑤同:ポルカ・シュネル「あれかこれか」、⑥同:「アンネン・ポルカ」、⑦ロベルト・シュトルツ:「プラーターに再び花は咲き」、⑧ヨハン・シュトラウス2世:ポルカ・シュネル「ハンガリー万歳」、⑨同:ワルツ「美しき青きドナウ」です

演奏は前半②③⑦と後半②④⑦のソプラノ独唱=ヘドウィグ・リッター。管弦楽=トヨタ・マスター・プレイヤーズ,ウィーン。ヴァイオリン弾き振り=フォルクハルト・シュトイデです

 

     

 

本公演は2000年からスタートしましたが、コロナ禍の影響で3度の中止を経て、今回やっと4年ぶりの開催となりました したがって、今回が20回記念演奏会となります 毎年のように聴いてきた私にとっては待ちに待ったコンサートです

自席は1階21列8番、左ブロック右から3つ目です。会場は3階席まで結構入っています メンバーは30人の小編成ですが少数精鋭です 左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという並びで、後方に管楽器・ティンパニが控えます 指揮者なしのオケなので、コンマスのシュトイデが弾き振りします。女性はヴァイオリン奏者一人、ファゴット奏者一人です

シュトイデのリードで演奏に入りますが、ウィーン・フィル特有の歌いまわしが堪りません 私が毎回聴いていて思うのは、第2ヴァイオリンの演奏の素晴らしさです ごく大雑把に言えば、ワルツの「ズン・チャッチャ、ズン・チャッチャ」の「ズン」を第1ヴァイオリンが弾くとすれば、「チャッチャ」を第2ヴァイオリンが弾くのですが、第2ヴァイオリンが第1ヴァイオリンに合わせる掛け合いが絶妙で、これがウィンナ・ワルツのエッセンスだろうな、と思います これは全ての曲目について言えることです

さて、この日のハイライトはソプラノ独唱のヘドウィグ・リッターの歌です リッターは1995年オーストリアのブルゲンランド生まれといいますから今年28歳です 9歳の時に何とトランペットで Prima La Musica コンクールで第1位となっています    ウィーン市立音楽芸術大学及びケルン音楽舞踏大学で研鑽を積み、ヨーロッパの歌劇場で歌うほか、ウィーン・フォルクスオーパーの専属歌手として契約して活躍中です

 

     

 

ヘドウィグ・リッターは、プログラム前半は黒のドレスで登場しましたが、オペレッタ「こうもり」のお手伝いアデーレが歌う「侯爵様、貴方のようなお方は」と「田舎娘を演じる時は」を聴いて、まさにオペレッタにピッタリの歌手だ、と思いました 声質が明るく、コロラトゥーラが美しく、会場の隅々まで声が届きます 「春の声」では終盤のフルートとの掛け合いが楽しく聴けました

後半に入ると、リッターは赤のドレスに”お色直し”して登場、「踊り子、ファニー・エルスラー」より「ジーヴェリングのリラの花」を抒情的に歌い、「ウィーン気質」より「なつかしい愛の巣」では伯爵夫人の愛の巣への思いを切々と歌い上げました そして、「プラーターに再び花は咲き」では最後に良く伸びる超高音のソプラノで、聴衆を熱狂の渦に巻き込みました

オケだけによる演奏では、個人的には前半の「チク・タク・ポルカ」、後半のワルツ「加速」、ポルカ・シュネル「あれかこれか」、ポルカ「ハンガリー万歳」などのテンポの速い曲が好きなので、思わず前のめりで聴き入ってしまいました

プログラム最後の曲は、”お約束”の「美しく青きドナウ」です 冒頭のホルンが素晴らしい この曲でも第2ヴァイオリンに注目してしまいました いつしか、ウィーン・フィルのニューイヤーコンサートのアンコールを思い出しました ニューイヤーコンサートでは正規プログラムにこの曲が入ることはないのでしょうね

 

     

 

満場の拍手の中、カーテンコールが繰り返され、楽員が再び配置に着きました すると進行係の女性がマイクを持って登場し、「皆さま、今日はご来場くださりありがとうございました 今回は20回記念ということで、これから2曲を少しずつ演奏して、拍手の多かった方をアンコール曲として演奏したいと思います(ここで会場、マジか? という笑い声)。これから2曲を少しずつ演奏しますので、皆さま良いと思った方に拍手をお願いします    最初の曲はポルカ・シュネル『喜んで』です」。オケが数小節演奏し、大きな拍手が起こります 「それでは2曲目です。ジーツィンスキー「ウィーン、わが夢の街」です なお、この曲にはソプラノのヘドウィグ・リッターさんが出演します」(「もう決まりだな」という笑いと大きな拍手)。オケが数小節演奏し、予想通り1曲目より熱狂的な拍手が起こります 「それでは『ウィーン、わが夢の街』をお贈りします」。ということで、再びソプラノのヘドウィグ・リッターが大きな拍手に迎えられて登場、思い入れたっぷりに歌い上げ、満場の拍手を浴びました

アンコール曲を聴衆に選ばせるなんて、粋な企画ですね この日の演奏は、ソプラノのヘドウィグ・リッターの素晴らしい歌唱も相まって、ウィーン情緒あふれる音楽で満たされ、印象深いコンサートになりました もしリッターがウィーン・フォルクスオーパーの一員として来日して「こうもり」のアデーレを歌うことがあれば、絶対 聴きに行きます

 

     

 

ところで、休憩時間に「お配りしたプログラム冊子の26ページにシールが貼られているお客様にはCDのプレゼントがあります ロビーの受付にお越しください」というアナウンスが入りました 念のために見たらカラーのシールが貼ってありました

 

     

 

さっそくプログラム冊子を提示してCDをいただいてきました

 

     

 

裏面を見ると、トヨタ・マスター・プレイヤーズ,ウィーンの演奏によるモーツアルト「クラリネット協奏曲」(Cl:ペーター・シュミードル)、「交響曲第41番」他が収録されており、録音は2000年4月27日となっています   よく考えてみると、私はこのCDを持っています 何年前かの本公演の時、やはりプログラム冊子にシールが貼ってあり、同じCDをいただいたのです もっともどこに行ってしまったのかは不明なので、今回いただいたCDをあらためて聴いてみようと思います

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アントネッロ・マナコルダ ✕ 読売日響でハイドン「交響曲第49番」、マーラー「交響曲第5番」を聴く ~ 読響第627回定期演奏会

2023年04月06日 00時53分55秒 | 日記

6日(木)。昨日の朝日新聞朝刊第1面に「購読料改定のお願い」という告知が載っていました 告知によると、5月1日から本紙の朝夕刊月ぎめ購読料を、4400円から4900円(消費税込み)に改定するとなっています。値上げの理由として、「新聞用紙など原材料が高騰し、みなさまにお届けする経費も増加しています。コスト削減を続けていますが、報道の質を維持し、新聞を安定発行するため、ご負担をお願いせざるをえなくなりました」とし、「紙面刷新で社会的な課題をより分かりやすく深くお伝えします」としています

私は40年くらい前から朝日新聞と日本経済新聞を定期購読していますが、現在、日経は4900円なので、2紙合計で月額9800円の支出となります 現在、Sバンクのスマホ通信料がほぼ同じです 値上げ後の料金が高いか安いかというのは個々人の「価値観」の問題です 私にとって新聞もスマホもブログを書く上で重要な情報源となっていることからすれば、今回の朝日の値上げは許容範囲だと考えます

ということで、わが家に来てから今日で3005日目を迎え、米国の大統領経験者として初めて34件の重罪で起訴されたトランプ前大統領は4日、米ニューヨークの裁判所に出頭し 起訴内容を全面的に否認したが、同日夜 フロリダ州の自宅「マール・ア・ラーゴ」で支持者らを集めて演説し、大統領経験者である自らに対する「不当な」起訴は、「国に対する侮辱だ」などと訴え、起訴した現地検察官を名指しで批判した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     トランプが2016年の大統領選でやったことが「国に対する侮辱」なんじゃね?

     

         

 

昨日、夕食に「豚肉紫蘇巻き焼き」「生野菜とヒジキのサラダ」「モヤシの味噌汁」を作りました 「豚肉~」はニンニクが効いたスタミナ料理です

 

     

 

         

 

昨夜、サントリーホールで読売日響「第627回定期演奏会」を聴きました プログラムは①ハイドン「交響曲第49番 ヘ短調 ”受難”」、マーラー「交響曲第5番 嬰ハ短調」です 指揮はアントネッロ・マナコルダです

本来、この日は新国立オペラ「アイーダ」初日公演を聴く予定でしたが、本公演とダブったため「アイーダ」を19日(水)に振り替えました この日の読響定期公演を他公演に振り替えることも出来たのですが、マーラーの「第5番」は名曲シリーズでも土・日マチネーシリーズでも上演されないので、本公演を聴くしかないと判断し、「アイーダ」の方を振り返ることにしたのです なお、「アイーダ」は振り替え可能公演が6回もありますが、19日以外は全て別のコンサートの予定が入っているので、この日しか選択の余地がありませんでした

指揮のアントネッロ・マナコルダはイタリア・トリノでフランス・イタリア系の家庭に生まれ、アムステルダムで教育を受けました クラウディオ・アバドが設立したマーラー室内管弦楽団の創設メンバーして長年コンサートマスターを務め、その後、ヨルマ・パヌラのもとで指揮を学びました 2010年からカンマーアカデミー・ポツダムの芸術監督を務め、ヨーロッパの主要なオーケストラ・歌劇場に客演しています

 

     

 

新年度第1回目の定期公演です 席替えをしました。前年度のセンターブロック右通路側から、ピアノの鍵盤が見える左ブロック右通路側に移りました

オケは10型で左から第1ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、第2ヴァイオリン、その後ろにコントラバスという対抗配置を採ります チェロの後ろにはチェンバロが控えます。コンマスは林悠介です

1曲目はハイドン「交響曲第49番 ヘ短調 ”受難”」です この曲はフランツ・ヨゼフ・ハイドン(1732-1809)が1768年に作曲した作品です 飯尾洋一氏のプログラムノートによると、「ハイドンが残した104曲の交響曲の中で、短調作品は11曲しかないが、そのうち5曲が1766年から72年までの6年間に集中的に書かれていて、この時期は『疾風怒濤』と呼ばれる。すべての楽章が当時の交響曲としては珍しいヘ短調で書かれている。なお、”受難”という愛称はハイドンの命名ではない」とのことです 第1楽章「アダージョ」、第2楽章「アレグロ・ディ・モルト」、第3楽章「メヌエット・エ・トリオ」、第4楽章「フィナーレ:プレスト」の4楽章から成ります

拍手の中、長身であご髭が印象的なマナコルダが登場します 指揮台はなく、タクトも使用しません

マナコルダの指揮で第1楽章に入りますが、かなりゆったりしたテンポで足どりが重い印象を受けます 「噛んで含めるような演奏」と言えば良いのでしょうか。第2楽章は一転、まさに”疾風怒濤”のドラマティックな演奏が展開します しかし、指揮者は極めてクールです。第3楽章は中盤のトリオにおけるホルンが素晴らしかった 第4楽章は再び”疾風怒濤”のアグレッシブな演奏が繰り広げられますが、あっという間に終結しました

全般的にクールで理知的な演奏だと感じましたが、1つだけ疑問が残りました それはチェンバロの扱いです。自席は1階の中央通路より舞台寄りの席ですが、チェンバロが全く聴こえませんでした チェンバロは「通奏低音」として演奏するものと解釈されますが、そうであれば、コントラバスが入っているからそれで充分ではないか、と思います ハイドンの時代ならオケの編成もホールも小規模だったので、チェンバロの存在意義もあったと思いますが、今は時代が違います もしチェンバロの音を生かしたいなら、オケの編成をより小規模に縮小し、オケとチェンバロの音のバランスを考慮すべきだと思います

 

     

 

プログラム後半はマーラー「交響曲第5番 嬰ハ短調」です この曲はグスタフ・マーラー(1860-1911)が1901年から翌02年にかけて作曲、1904年10月18日にケルンで初演されました 第1楽章「規則正しい歩みで、厳格に、葬列のように」、第2楽章「嵐のように激動して、非常に激烈に」、第3楽章「スケルツォ:力強く、速すぎずに」、第4楽章「アダージェット:非常にゆっくりと」、第5楽章「ロンド・フィナーレ:アレグロ」の5楽章から成ります

オケの編成が14型に拡大します 舞台中央に指揮台が置かれ、登場したマナコルダはタクトを持っています さすがにマーラーの交響曲ともなればタクトで正確に指揮をしないと演奏が混乱を極める恐れがあるのでしょう

第1楽章冒頭はトランペットのソロで荘重に開始されますが、このメロディーを聴くたびに、メンデルスゾーンの「結婚行進曲」の冒頭と、ベートーヴェンの「第5交響曲”運命”」の冒頭の音楽を思い起こします マーラーの第5番の冒頭はこの2曲のパロディではないか、と思います この楽章では第1ヴァイオリンと第2ヴァイオリンを左右に分ける対抗配置の効果が発揮され、美しいアンサンブルが展開しました 間断なく続けられた第2楽章ではマーラーの指定通り、嵐のような激しい演奏が繰り広げられました 第3楽章はこの日の演奏のハイライトでした この楽章はまるでホルン協奏曲です。ホルン首席の日橋辰朗が立奏でソロ・パートを演奏しましたが、時にベルアップ奏法で客席にダイレクトに届ける豊かな響きがとても印象的でした 日橋以外のホルン・セクションの演奏も重厚感溢れるもので立派でした また、クラリネット、オーボエといった木管楽器は時にベルアップ奏法で演奏し視覚的にも楽しめました 第4楽章では、弦楽セクションとハープとの美しいコラボレーションが展開しましたが、高野麗音のハープが素晴らしかった 読響プログラム冊子「月刊オーケストラ」2023年4月号に掲載された楽団員名簿によると、契約団員として影山梨乃(元東響)が4月18日からハープ奏者として就任することになっているので、高野麗音の客演が減る可能性があります これは寂しいので、何とかこれまでのように出演できるようにしてほしいと切に願います 間断なく続けて演奏される第5楽章では、ホルンをはじめとする金管楽器、金子平のクラリネット、倉田優のフルートを中心とする木管楽器の情熱溢れる演奏に、林コンマスを中心とする弦楽セクションの渾身の演奏、岡田全弘のティンパニを中心とする打楽器群の迫力ある演奏が加わり、圧倒的なフィナーレを飾りました

この間、指揮者のマナコルダは終始冷静沈着で、各セクションに的確な指示を出していました 冷静な指揮による熱い演奏と言えるかもしれません 本公演のチラシに「鬼才アントネッロ・マナコルダ」と謳っていましたが、どうもイメージが違います 極めてクールで理知的な指揮者だと思います 彼は第1楽章と第2楽章を続けて演奏、第3楽章を独立させ、第4楽章と第5楽章を続けて演奏しました これはマーラーの指示通りです もし彼が「鬼才」だったらそのような作曲者の指示は無視していたかもしれません

満場の拍手にカーテンコールが繰り返されましたが、この時初めてマナコルダは笑顔を見せました 新シーズン第1回目を飾るのに相応しい集中力に満ちた演奏でした

帰りがけに、会員特典CDをいただきました 私は定期演奏会と名曲シリーズの会員なので2枚ゲットしました

 

     

 

左がリヒャルト・シュトラウス「英雄の生涯」(2022年9月14日・名曲シリーズ)、右がリムスキー=コルサコフ:交響組曲「シェエラザード」&グリンカ:歌劇「ルスランとリュドミラ」序曲(2022年9月24日・25日、土曜・日曜マチネーシリーズ)のライブ録音CDです 指揮はいずれも常任指揮者セバスティアン・ヴァイグレです

後でゆっくり聴こうと思います

 

     

 

本日、toraブログのトータル訪問者数が240万IPを超えました( 2,400,077 IP. トータル閲覧数は 7,737,977 PV)。これもひとえに普段からご訪問くださっている読者の皆さまのお陰と感謝しております これからも毎日休むことなく根性で書き続けて参りますので、モコタロともどもよろしくお願いいたします

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「レコード芸術」7月号で休刊へ ~ 音楽視聴がレコードからCDへ移っても名称を変えなかったクラシック専門誌 / クロード・ミレール監督「ある秘密」を観る ~ ナチス占領下のパリで起こった不幸

2023年04月05日 06時25分36秒 | 日記

5日(水)。昨日の朝日新聞朝刊によると、クラシックCDの専門誌「レコード芸術」(音楽之友社発行の月刊誌)が、6月20日発行の7月号を最後に休刊となります 記事の内容は以下の通りです 

「創刊は1952年3月で、公称部数は現在10万部。63年から毎年末、日本のクラシック分野の優れた新譜を顕彰する『レコード・アカデミー賞』も主催している 近年の音楽媒体や雑誌を取り巻く環境の変化や、用紙などの原材料費の高騰といった複合的な理由という

「レコード芸術」は20代から30代にかけて毎月定期購読していました ちょうど音楽媒体がLPレコードからCDに移る時代で、LPよりもCDが全盛期を迎えるようになっても「CD芸術」とはならず「レコード芸術」のままでした レコードはジャケットを含めて「レコード芸術」だと考えていたので当然だと思いました 1996年3月号から、付録として直径8センチくらいのサンプラーCDが付いてきて、何枚かの新譜CDの”さわり”が収録されていました 本誌に掲載されている音楽評論家によるレコード(CD)評は国内で発売される新譜が対象ですが、私が買うのは輸入盤がほとんどだったので、むしろ「名曲名盤〇〇選」とか、特定の作曲家の特集とかの「特集記事」を楽しみにしていました 一度だけ私の名前が本誌に掲載されたことがあります。具体的な内容は忘れましたが、本誌の文中に誤表記があり、それを指摘したハガキを投書したところ、「訂正記事」として掲載されたのです また、抽選でLPレコードをプレゼントするという企画があり、誰も応募しそうもないLPを選んで応募したら当選して、送られてきたことがあります トランペット奏者のLPでした いったいどこに行ってしまったのか

現在の音楽視聴はCDからストリーミング(配信サービス)に移りつつあります そうした流れからすれば、紙媒体の「レコード芸術」の休刊は時代の趨勢といえるでしょう 活字媒体大好き人間としては寂しい限りですが、時代の流れには逆らえません

ということで、わが家に来てから今日で3004日目を迎え、ウクライナのゼレンスキー大統領は3日、北部チェル二ヒウ州でユネスコのアズレ事務局長と会談し、ロシアの攻撃で破壊されたウクライナの文化財が1190件に上ると訴え、修復に向けた国際的支援のとりまとめをユネスコに要望した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     ライフラインとともに 文化財を破壊するのは 野蛮人のやることだ 絶対許せない!

 

         

 

昨日、夕食に「赤魚の粕漬け焼き」「マグロの山掛け」「生野菜とアボカドのサラダ」「白舞茸の味噌汁」を作りました 白舞茸はごま油で焼いてから入れると美味しいと聞いたのでやってみましたが、甘みが増して美味しかったです

 

     

 

         

 

早稲田松竹でクロード・ミレール監督による2007年製作フランス映画「ある秘密」(107分・HDリマスター版)を観ました

父親の愛情を感じない内気で病弱な少年フランソワ(マチュー・アマルリック)はある日、屋根裏部屋で古いぬいぐるみを見つけたことをきっかけに、両親の知られざる過去を知る 父マキシム(パトリック・ブリュエル)は母タニア(セシル・ドゥ・フランス)と一緒になる前にアンナ(リュディヴィーヌ・サニエ)というユダヤ人女性と結婚し、シモンという息子と3人で暮らしていた しかし、マキシムは結婚式で出会った美しいタニアに惹かれていたのだった そのことに気づいたアンナは情緒不安定になり、国外逃亡の際、検閲のドイツ兵にユダヤ人の身分証明書を提示したことからシモンとともに捕らえられ収容所に送られ、殺されてしまう かくして、マキシムとタニアは結婚式を挙げ、フランソワが生まれたのだった

 

     

     

この映画は、事実に基づいて書かれ、フランスでベストセラーとなった同名小説をクロード・ミレール監督が映画化したものです

クロード・ミレール監督は両親がユダヤ人で、ドイツ占領下のフランスで生まれています そうした背景から、監督自身のこととして小説に共感を持ち、撮影に踏み切ったのだと思います 第二次世界大戦の元では、こうしたことが ごく普通の出来事として起こっていたのではないかと想像してしまいます

映像上の特徴としては、現在がモノクロで、過去がカラーで描かれているところがユニークだと思いました

 

     

コメント (2)
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NHK「映像の世紀 バタフライエフェクト 戦争の中の芸術家」を観る ~ フルトヴェングラー、ショスタコーヴィチら音楽家はどう生き延びたか / クロード・ミレール監督「勾留」を観る

2023年04月04日 00時11分45秒 | 日記

4日(火)。昨日午後10時からNHKテレビで「映像の世紀 バタフライエフェクト  戦争の中の芸術家」を観ました

番組では、ドイツの指揮者フルトヴェングラー、ソ連の作曲家ショスタコーヴィチ、日本の作家・火野葦平に焦点を当て、戦時下における芸術家としての苦悩を描いています

フルトヴェングラー(1886-1954)はベルリン・フィルの指揮者でしたが、同楽団にはコンマスのゴールドベルクはじめ7人のユダヤ人がいました フルトヴェングラーは彼らの命と生活を守るとともにドイツ国民に音楽を楽しんでもらうために、ドイツ国内に残り演奏活動を続けました 映像ではワーグナー「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲、ベートーヴェン「交響曲第9番」第4楽章、「交響曲第5番」第1楽章、シューベルト「未完成交響曲」第1楽章のリハーサルを指揮するフルトヴェングラーが映し出されます

ドイツの作曲家ワーグナーは反ユダヤ主義者でしたが、同じ反ユダヤ主義者のヒトラーはワーグナーに共鳴し、ドイツ民族の優位性を示すため、ワーグナーの音楽を利用しました そのための手段として目を付けられたのがフルトヴェングラーでありベルリン・フィルでした ヒトラーは徹底的なユダヤ人排斥運動を進めましたが、ベルリン・フィルだけは例外で、徴兵されることもなく何の危害も加えられませんでした ひと言で言えば、フルトヴェングラーはユダヤ人楽団員を守りながらドイツに留まり、演奏活動を続けたと言えます しかし、1942年、ヒトラーからの要請が断れ切れずに演奏した「第九」のコンサートが終わった後、会場にいたゲッペルスがフルトヴェングラーに握手を求め、彼が応じたことから、その映像が全世界に流れ、「フルトヴェングラーはナチ政権に協力している」と批判の嵐に晒されることになります そして、戦後「ナチへの協力者」として裁判にかけられますが、ユダヤ人を守ったこと等が考慮され無罪となります 何人かの芸術家は国外に亡命しましたが、彼は最後までドイツに残りました イタリアの指揮者トスカニーニ(1867-1957)は「ファシズム政権下では演奏しない」と宣言し、フルトヴェングラーを批判しました しかし、フルトヴェングラーの態度は間違っていたと言えるだろうか。誰もそんなことは言えないと思います

一方、ショスタコーヴィチ(1906-1975)は歌劇「ムツェンスク郡のマクベス夫人」が当初、圧倒的な支持を得ていたにも関わらず、このオペラを観たスターリンが激怒し、その後、共産党機関紙「プラウダ」で「荒唐無稽」と批判されます 退廃的でブルジョア的であり、人民に分かりやすい曲を書くべしとする社会主義リアリズムに反する、という批判でした その後、ショスタコーヴィチは「交響曲第5番」で名誉挽回を図ります しかし、最後の楽章にはビゼーのカルメンのアリアのメロディーに乗せて”気を付けろ”というメッセージが隠されている、つまり、「革命の勝利に酔う前に気を付けろ」というメッセージが音符として表されていると言われています つまり彼は意に沿わない作品を書いたと言っているのです また、彼は独ソ戦にあたり「交響曲第7番”レニングラード”」を作曲しソ連国民を鼓舞しますが、彼の回想によると、この曲はナチを含めたファシズムの恐怖を描いたものだとしています つまり、ナチだけでなくスターリンのファシズムも批判していると解釈できます

日本に目を転じると、芥川賞作家・火野葦平(1907-1960)は従軍して書いた「麦と兵隊」がベストセラーとなりますが、戦後は”戦争に協力した”という罪の意識に苦しみました

こうして、芸術家たちは国家と表現の自由との間で揺れ続けてきましたが、番組ではそれは現在でも続いている、としてロシアの指揮者ワレリー・ゲルギエフ(1953~)を取り上げています 彼はプーチン大統領と長年の友人関係にあり、昨年2月のロシアのウクライナ侵攻以降、世界の楽団やオペラ劇場から”追放”されています

とても見応えのある番組でした 今度はナチの党員にもなったカラヤンを取り上げてほしいと思います

ということで、わが家に来てから今日で3003日目を迎え、ウクライナ侵攻を続けるロシアが、今月1日から1か月、国連安全保障理事会の議長国を務めることに対し、ウクライナのゼレンスキー大統領は「明らかに不条理で破壊的なニュースだ。テロリスト国家とテロリストになりたい他の国が世界を破壊できないよう(国連などの)全般的な改革が明らかに必要だ」と不満を表明した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     国際刑事裁判所から逮捕状が出てるプーチンのロシアが議長なんて最高のギャグだ

 

         

 

昨日、夕食に「ビーフカレー」と「生野菜とアボカドのサラダ」を作りました ビーフはいつもの通りバラ肉を使っています

 

     

 

         

 

昨日、早稲田松竹でクロード・ミレール監督による1981年製作フランス映画「勾留」(83分・HDリマスター版)を観ました

大晦日の夜、公証人の男(ミシェル・セロー)が幼女連続レイプ殺人事件の容疑者として捕らえられる 決定的な証拠は見つからないものの、刑事(リノ・ヴァンチュラ)は彼が犯人だと確信し尋問を続ける 容疑者の妻(ロミー・シュナイダー)から、夫は幼児偏愛者であることを聞き、ますます彼が犯人だと確信する しかし、事態は思わぬ方向に展開していく

 

     

 

【以下、ネタバレ注意】

この映画は、刑事と容疑者のやり取りを中心に描いていますが、容疑者の妻が、夫が血の付いた彼のコートをクリーニング屋に出し、その半券を自分が保管していることや、夫は幼児偏愛者であると刑事に話したことから、公証人は遂に自分が2人の少女を殺したと自白します しかし、その後、事故を起こした盗難車のトランクから第3の犠牲者が発見されたことから、彼の容疑は晴れ、冤罪だったことが判明し、彼の妻は拳銃自殺を図る・・・というストーリーです

正直言って、かなり強引なストーリー展開だと思います さんざん容疑者を追い詰めた挙句、自白させたはいいけれど、自白は刑事に強要されたもので「実は真犯人は別にいました」とくる 後で取って付けたような結末、「後出しじゃんけん」みたいで納得できません

 

     

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クロード・ミレール監督「伴奏者」を観る~ベートーヴェン「弦楽四重奏曲第1番」、モーツアルト「戴冠式ミサ曲」、「ヴェスペレ」、「フィガロの結婚」 からバルバリーナの「カヴァティーナ」も流れる

2023年04月03日 06時27分54秒 | 日記

3日(月)。わが家に来てから今日で3002日目を迎え、ロシアのプーチン大統領は3月31日、新しいロシアの外交政策の概念を承認する大統領令に署名したが、ロシアを独特な「国家文明」と宣言し、単なる国家ではなく、ユーラシアと太平洋地域の強国として特別な地位を確立すると主張、国外のロシア人やロシア語を保護する立場にあるとした  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     そういう考えを覇権主義と言う 主権国家を侵略し 強盗・殺人を犯して何が強国だ!

 

         

 

昨日、早稲田松竹でクロード・ミレール監督による1992年製作フランス映画「伴奏者」(110分・HDリマスター版)を観ました

物語の舞台はドイツ占領下のパリ。20歳のピアニスト、ソフィ(ロマーヌ・ボーランジェ)は世界的オペラ歌手イレーヌ(エレナ・サフォノヴァ)の伴奏者を務めることになる ソフィはイレーヌへの羨望と嫉妬を胸に秘めながら伴奏やイレーヌの身の回りの世話に励む イレーヌの夫(リシャール・ボーランジェ=ロマーヌの実父)は商人で、ドイツ軍相手にも商売をして儲けているので、フランス人からは非難の目で見られている 一方、イレーヌはレジスタンスの青年と密かに逢瀬を重ねている それを知った夫は拳銃自殺を図る

 

     

 

この映画は、作家ニーナ・ベルベローワの同名小説をクロード・ミレール監督が映画化した愛憎劇です

タイトルに惹かれて注意深く観ましたが、期待通りクラシック音楽がふんだんに流れました

ベートーヴェン「弦楽四重奏曲第1番」第2楽章、イレーヌがコンサートで歌うモーツアルト「戴冠式ミサ曲 K.317」から「アニュス・デイ」、同じくモーツアルトの「ヴェスペレ K.339」から「ラウダーテ・ドミヌム」、自宅で歌うモーツアルトの歌劇「フィガロの結婚」バルバリーナの「カヴァティーナ」(この曲は最後にも流れる)などです このほかイレーヌが歌うリヒャルト・シュトラウス、ベルリオーズ、ドビュッシー、デュパルク等の歌曲(題名は不明)が次々と出てきてフォローしきれませんでした

その中で印象に残っている音楽・場面がいくつかあります

その一つは、前半で何度か流れるベートーヴェン「弦楽四重奏曲第1番 ヘ長調 作品18-1」の第2楽章「アダージョ・アフェットゥオーソ・エド・アパッショナート」です この楽章は、ベートーヴェンが「ロメオとジュリエットの墓場の場面を念頭に置いて書いた」と語ったと伝えられている通り、悲痛な音楽です まるでイレーヌの現在の不安と近い将来の不幸を暗示しているかのように鳴り響きます

二つ目は、イレーヌがステージでモーツアルトを歌っている時に、画面が突然モノクロのドキュメンタリー映像に切り替わり、ヒトラーの顔、爆撃機による爆弾の投下、多くのユダヤ人の死体などが映し出される場面です 否が応でもフランス人のナチスドイツに対する嫌悪感や憎しみを感じさせられます この時のモーツアルトの音楽の使い方は、悲劇的な場面に比較的明るい曲想の音楽を重ねることによって、一層 悲劇的な印象が強まる”アンビバレント”効果が生きています

三つ目は、モーツアルト「フィガロの結婚」第4幕冒頭で歌われるバルバリーナのカヴァティーナ「失くしてしまった」の扱い方です 最初に歌われるのはイレーヌが夫から「あれを歌ってくれ」と頼まれて、ソフィの伴奏で歌うシーンです このカヴァティーナは、バルバリーナが手紙に挿してあったピンをランタンの光を頼りに探すシーンで歌われます 「失くしてしまった。困ったわ いったいどこにあるのかしら。見つからないわ。伯爵様は何とおっしゃるだろう」といった内容です。バルバリーナは伯爵から頼まれてピンを探したが見つからない イレーヌは夫から頼まれて歌ったけれど見つからない 何が? 夫はイレーヌの自分への愛情が無くなってしまった(つまり夫への愛情を失くしてしまった)ことを薄々感づいているのではないか それで敢えてイレーヌに「失くしてしまった」を歌わせて自覚を促したのではないか このカヴァティーナは、映画の最後に再度流れます この時、イレーヌの夫は自殺してこの世にいません イレーヌは関係を修復する前に夫を「失くしてしまった」のです

 

     

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