人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

誉田哲也著「黒い羽」を読む~黒い羽は体質異常か、進化の証しか

2014年09月20日 07時02分57秒 | 日記

20日(土)。誉田哲也著「黒い羽」(光文社文庫)を読み終わりました 誉田哲也の作品は当ブログでも何冊かご紹介してきました

君島典子は幼いころから右肩にあるキズに苦しんできた。激しい痛みとかゆみが伴うもので、皮膚科でのあらゆる治療もうまくいかず、悪化する一方だった ついに主治医の野本から「遺伝子治療」という方法があるのでそれを受けてみないか、と誘われる 典子は主治医と他の患者とともに軽井沢の山奥にある研究施設に車で向かう。しかし、途中で雪のためにスリップして車が大破し、徒歩で研究施設に出向く。ところが、内部に入ると何体もの惨殺死体が転がっていた 誰かがいる、何かがいる、しかしなかなか正体を現さない やっと目の前に現れたのはもはや人間とは言えないような生物だった

 

          

 

潜んでいる何かが現れない。すると一人殺され、二人殺され・・・・と殺人が繰り返される その怖さが迫ってきます。黒い羽というのは背中にできた黒く変色した、まるで鳥の羽がもげた跡のようなキズを指していますが、この作品では、それは”異常体質”ではなく”人類の進化の証し”だということになっています 何人もの研究者らを殺したのはその進化した生物だったという設定です。”進化”と離れて考えてみて、カフカの「変身」を思い出しました。主人公の典子は”進化”しているわけですが、果たしてそれが良いことなのかといえば、決してそうではない。そこが怖いところです。イッキ読みしました

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朝日新聞「声」欄を読んで思うこと~まず『結論ありき』の取材からの脱却を!

2014年09月19日 07時01分24秒 | 日記

19日(金)。朝日新聞の「東電・吉田調書」「従軍慰安婦・吉田発言」「池上彰氏コラム掲載拒否」の一連の誤報・失態に対する批判が止みません 宿敵「週刊文春」「週刊新潮」に至っては、過去の朝日の誤報・失態を掘り返して批判を展開しています。何しろ新聞批判をすれば週刊誌は売れますから 義父は何十年も読んできた朝日の購読を中止しました。私は40年以上購読していますが、止めません。止めずに朝日の記事を監視していこうと思っています

ところで、昨日の朝日朝刊「声」欄は、さながら朝日の相次いだ誤報に対する批判特集でした その中の、21歳の大学生の「先入観を排して取材にあたれ」という「声」を読んで、その通りだと思いました。超約すれば

「一連の報道に関しては『結論ありき』の取材ではなかったか。自分たちに都合がいいように取材したとしたら、本末転倒だろう。いま朝日新聞に本当に必要なのは、先入観を排して相手のことをしっかり知ろうとする姿勢だ」

というものです。この意見を読んで「その通りだ」と思ったのは、自分にも新聞記者に取材された経験があるからです 息子が0歳児保育園に通っていたころの話ですが、当時は『イクメン』が珍しく、職場の女性職員を通じて全国紙・N新聞社の社会部記者が「父親の育児ストレス」について取材をしたいので保育園まで行きたいということでした

約束通り、N新聞の女性記者の質問に答えたわけですが、あとで写真入りで紹介された記事を見て「あれっ?」と思ったのです 自分では強調した訳ではないのに強く主張したように書かれていたり、こちらが強く主張したかったことは、言った通りに書かれていなかったりしました あとで、取材の仕方を振り返ってみると、誘導尋問に乗せられて答えていたことが分かりました。取材側が、自分が書こうとしている結論になるように質問を仕向けていたのです まさに『結論ありき』の取材でした。おまけに、取材を受けた保育園は文京区にあるのに、写真の絵解きには「千代田区の保育園にて」となっていました

この問題は朝日に限ったことではありません。「声」欄の投稿者の言う通り、全国の新聞記者の皆さんには「先入観を排して取材にあたれ」ということを肝に銘じてほしいと思います

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「火車」「夜よ鼠たちのために」「ナンバー」「血の轍(わだち)」を買う

2014年09月18日 07時01分08秒 | 日記

18日(木)。本を4冊買いました 1冊目は今さらですが、宮部みゆき著「火車」(新潮文庫)です 宮部みゆきの作品の中で一番売れている本だそうです

 

          

 

2冊目は連城三紀彦著「夜よ鼠たちのために」(宝島社文庫)です この人の作品を買うのは初めてです。帯の「このミステリーがすごい!2014年版・第1位」というキャッチに魅かれました

 

          

 

3冊目は相場英雄著「ナンバー」(双葉文庫)です 相場英雄の作品は狂牛病をテーマにした「震える牛」を読んで凄いと思ったことから次の作品を楽しみにしていたものです 「著者本人のサイン本」と書かれていたので表紙をめくると、本当に相場英雄のサインと印が押されていました

 

          

          

 

4冊目は同じ相場英雄著「血の轍(わだち)」(幻冬舎文庫)です

 

          

 

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湊かなえ著「Nのために」を読む~見返りを期待しない恋愛小説

2014年09月17日 07時00分48秒 | 日記

17日(水)。昨日昼0時半頃の地震には驚きました 昼当番のため8階の事務所で食事をしている最中でしたが、大きな揺れが約1分ほど続きました。さっそくテレビを点けて見ましたが、震源は茨城県南部で、栃木、群馬、埼玉各県では震度5弱のところが複数個所あり、東京は震度4でした 当ビルの地震計でも震度4を記録しました。エレベーターは地震管制により最寄り階に自動的に停止しましたが、数分後に自動復旧しました 最近比較的小規模の地震が増えてきたように思っていましたが、震度4の地震は本当に久しぶりです 「これくらいの地震は大したことないや」と過小評価するのを地震過剰と言います お互いに自身をもって予審(余震)に注意しましょう

 

  閑話休題  

 

一昨日、湊かなえ原作の「白ゆき姫殺人事件」を観たばかりですが、彼女の作品「Nのために」(双葉文庫)を読み終わりました 湊かなえは1973年広島県生まれ。2008年に「告白」で第6回本屋大賞を受賞しました このブログでも、いくつか作品を紹介してきました

 

          

 

超高級マンション「スカイローズガーデン」の一室で野口貴弘・奈央子夫妻の変死体が発見された 現場に居合わたせたのは20代の男女4人。このうち次の3人は「野バラ荘」の住人。K大学4年生の杉下希美(のぞみ)。M大学4年生で作家志望の西崎真人。M商事営業部勤務の安藤望(のぞみ)。そして杉下の高校時代の同窓生でフレンチレストランでアルバイトをしている成瀬慎司。共通しているのは苗字か名前の頭文字がNであること

4人の話を総合すると、野口貴弘は妻・奈央子を浮気の疑いで監禁し暴力をふるっていた 浮気の相手は西崎真人だった。西崎は奈央子が監禁されていることを間接的に知り、杉下を巻き込んで奪回作戦を立てて実行に移した。しかし、予想外のハプニングが起こり、夫は頭部を殴られ、妻は脇腹を刺され、西崎の手には燭台が握られていた 西崎は「俺は奈央子を殺したヤツに手をかけた。ある意味、復讐だ。そういった行動に出た自分を悔やむ気にはならなかった。失うものは何もない」と告白しています

しかし、成瀬は10年後に述懐します。「西崎は火を見ることを極端に恐れていたのに燭台を手にするだろうか?西崎に襲いかかる野口貴弘の頭に燭台を振り下ろしたのは奈央子ではなかったのか?それでは奈央子を刺したのはいったい誰だ?」と

この事件では、それぞれ誰かが誰かをかばってウソの証言をしている、あるいは黙秘している それは、それぞれが大切に想うNのためだ。さて、それぞれが想うNとは誰か・・・・見返りを期待しない愛の形を書いた恋愛小説と言えるでしょう

 

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映画「白ゆき姫殺人事件」を観る~ネットの匿名性・無責任性を告発か

2014年09月16日 07時01分38秒 | 日記

16日(火)。昨日、早稲田松竹で湊かなえ原作の映画「白ゆき姫殺人事件」を観ました 原作は読んでいないので、いきなりの出会いです

美人OL典子が何者かに惨殺される。後輩社員・里沙子は旧知のワイドショー・ディレクター赤星に、犯人に思い当たる節があるとして、典子と同期入社の城野美姫のことをほのめかす 赤星は里紗子の言葉をそのままツィッターで囁き、それが徐々に大きな反響を呼ぶ。赤星はワイドショーでその話題を追いかける。美姫はひょんなことから篠山課長の弁当を作るようになり親しくなるが、美人の典子に篠山を奪われる そこに美姫が典子を殺す動機があった。美姫が典子を車に乗るよう誘っていたという目撃証言も現われる こうして、美姫はどんどん追い詰められていくが、自殺を図ろうとしたホテルで点けていたテレビを見て唖然とする

 

          

 

何と言っても、この映画は美姫を演じた井上真央が断然光っています 同僚、家族、故郷の人たちの証言によって局面が変わるごとに、表情を変化させる演技力は並大抵ではありません それと、故郷の幼なじみ・夕子を演じた貫地谷しほりの存在感は凄いものがあります

この作品で著者の湊かなえさんが主張したかったのは、ツィッターを代表とするネットの匿名情報の恐ろしさではないか、と思います 映画の中では、ツイッターで赤星が犯人らしき人物について呟くと、最初のうちは「犯人はそいつに間違いない」とか「殺せ!」とか書きこんで「噂」を拡大していた張本人が、真犯人が判ったとたんに、「犯人扱いされて可哀そう 」とか「今回のテレビ報道を告発する」と書き込んでくるのです。いかにこの手のツイッターが匿名性をいいことに、気まぐれで、無責任で、いい加減かが分かります

 

          

 

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アーノンクールのモーツアルト「交響曲第39番、40番、41番」のCDを聴く

2014年09月15日 07時35分19秒 | 日記

15日(月・祝)。昨日は母の1周忌法要のため埼玉県狭山市の菩提寺に行ってきました 昨年8月21日の早朝、胸に膿がたまる病気が悪化し、入院中の病院で息を引き取りました。早いものでもう1年以上経ってしまいました 8月24日が告別式だったのですが、凄い雷雨に見舞われたことを思い出します

本堂でお経をあげていただき、お墓参りを済ませてから会食し、帰りがけに実家に寄りました 例によって猫のミラが出迎えました

 

          

             いよー、久しぶりだな。ミラだよ。ミラクルのミラ

 

          

               この家の孫たちに遊ばれて、このザマだよ

 

          

            この家の住人はミラはミラクル・デブのミラと言っているぜ!

 

          

                         何しろ7キロ異常もあるからな。 ン? 以上か

          

          

               いつまでもこの姿勢かんべんしてくんね

 

          

            こうやって構えればオレだって可愛いネコちゃんだろ?

 

          

               という訳で、”虎年”のオレをよろしくな 

          

  閑話休題  

 

先日、久しぶりに新宿タワーレコードに行き、CDを買いました。CDを買ったのは1年ぶりくらいでしょうか CD中心主義から生演奏中心主義に転換してから、ほとんどCDを買わなくなってしまいました。買わなくなった大きな理由は「置き場所がないから」です

手に入れたCDは、クラシック音楽界で最近話題になったニコラウス・アーノンクール指揮コンツェルタス・ムジクス・ウィーンによるモーツアルトの後期交響曲集(第39番、第40番、第41番)です このオーケストラは少数精鋭のメンバーからなりますが、弦楽器も管楽器も18世紀から19世紀にかけて作られた楽器またはコピーの「ピリオド楽器」で演奏しています。1枚目に第39番と第40番が、2枚目に第41番が収録されています。2013年10月12~14日にウィーンのムジークフェラインで収録されました

 

          

 

まず第39番から聴いてみます。私はモーツアルトの交響曲の中ではこの第39番が一番好きで、特に第3楽章「メヌエット」が大好きです アーノンクールは冒頭から、古楽器奏法により息の短い歯切れの良い演奏を展開します。そして、テンポを極端に動かします

その第3楽章を聴いてみて、あまりの極端なテンポの動きに、ついていけない感じを受けました 一言で言えば「やりたい放題」です。第4楽章が終わって、まったく休むことなく高速テンポで次の第40番ト短調の第1楽章に入りますが、まるで2つの曲が一つの曲であるがごとくの解釈です。この解釈も理解不能です なぜそんなに先を急ぐ必要があるのか、さっぱり分かりません。最後の第4楽章「アレグロ・アッサイ」だけが、これまでの標準的な解釈に近い演奏だと思われます

1枚目を聴いた範囲で言えば、「繰り返し聴くCDとしては果たしてどうだろうか?」というのが率直な感想ですが、「この演奏を生で聴いたら、たまらなく面白いだろうな」というのが偽らざる気持ちです 冷静に考えれば、アーノンクールがゴク当たり前の演奏をするわけがないのです。われわれ聴衆もそれを分かったうえでコンサートに足を運び、CDを聴くのです

 

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デリック・イノウエ+オーエン+新日本フィルでシューマン「ピアノ協奏曲イ短調」を聴く

2014年09月14日 07時00分44秒 | 日記

14日(日)。昨日、すみだトリフォニーホールで新日本フィル”クラシックへの扉”コンサートを聴きました プログラムは①シューマン「ピアノ協奏曲イ短調」、②ベートーヴェン「交響曲第5番ハ短調”運命”」で、指揮はカナダ生まれのデリック・イノウエ、①のピアノ独奏は1979年アメリカ生まれのアンドリュー・フォン・オーエンです

 

          

 

席は公演間近にチケットを買ったため良い席が取れず、1階10列33番、右ブロックのど真ん中です。私はどうも通路から奥に入った真ん中の席が苦手です。何となく落ち着かないのです

ステージ中央にはグランドピアノが鎮座しています 楽員が配置について、コンマスの西江辰郎が拍手で迎えられます ソリストのオーエンがデリック・イノウエと共に登場しますが、長身のオーエンに並ぶとイノウエが小さく見えます

冒頭の衝撃的な開始、それに続く泉のように湧いてくる曲想に、思わず引き込まれます さすがはロマン派を代表するピアノ協奏曲です。私はロマン派のピアノ協奏曲の中では、シューマンのコンチェルトが最も好きです。特に第3楽章

第2楽章はピアノと弦楽のひそひそ話のような曲想で始まります。そして、待望の第3楽章に勢いよく突入します 特に終盤のピアノがグングン前に進むパッセージはたまりません そして、急に速度を落としたかと思うと、再びスピードを上げフィナーレになだれこみます。シューマンはいいな、と思う瞬間です

終演後、イノウエはチェロ・セクションを立たせました。管楽器でなく弦楽器というのは珍しいと思いました 会場一杯の拍手にオーエンは、バッハのパルティータ第1番の「サラバンド」をしみじみと弾きました

 

          

 

休憩後はベートーヴェンの”運命”交響曲です。この曲は第1楽章冒頭の4つの音(運命のモティーフ)が、すべての楽章に現われるという恐るべき交響曲です オーボエが良い音を出しています。いつもの古部賢一ではないようなので、出演者一覧を見ると岡北斗という客演奏者でした ついでにチェロの首席を見ると、川上徹と並んで元新日フィルの木越洋が演奏していました またまたついでに、第1ヴァイオリンを見渡すと、山田容子の奥に見慣れない女性奏者が居るので、出演者一覧を見ると古日山倫世とありました。あとでプログラムを見ると「正団員のお知らせ」欄にこの人が8月1日付で正団員になったと紹介されていました。桐朋学園の出身だそうです。頑張ってほしいと思います

ということで、「運命」に戻ります。イノウエの演奏は、「現代のベートーヴェン」と言うべきスピード感に溢れる引き締まった演奏です ベートーヴェンをチンタラ演奏されてはガッカリですが、いつも同じような高速テンポの演奏で聴いていると、たまには大指揮者フルトヴェングラーがベルリン・フィルを振った第5番のように、悠然としたテンポによる堂々たる演奏を聴いてみたくなります。無いものねだりですが

終演後、イノウエは今度もチェロとヴィオラを、次にチェロとコントラバスを、そしてオーボエ、フルート、クラリネットを立たせました 弦楽奏者優先は、この人の特徴でしょうか

アンコールが演奏されましたが、ロビーの掲示板に曲名が掲示される前に会場を出たので、曲名が判りませんでした。当日会場にいらっしゃった方でお判りになる方は、お教えいただけれると嬉しいです

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荻原浩著「幸せになる百通りの方法」を読む~笑いとペーソスの7つの物語

2014年09月13日 07時33分45秒 | 日記

13日(土)。周知のとおり、11日夜、朝日新聞社の社長が、東電福島第1原発の「吉田調書」の報道に関して記事を取り消し謝罪しました 下に掲げたのは朝日新聞12日付朝刊の第1面です

 

          

 

さて、同じ紙面の第8面に、有楽町朝日ホールの全面広告が載りました。これを見て私は真っ先に「なぜ浜離宮朝日ホールでなく、古い有楽町朝日ホールなのか?」と疑問に思いました。私の推論はこうです

「当初、この第8面には別の広告主による全面広告が載る予定だった。しかし、朝日の社長の記者会見を見た広告主が、誤報続きの朝日に対し抗議の意味で広告出稿を急きょ取り止めた。スペースに穴が空いたため、急きょ自社関連のホールの全面広告で穴埋めした」

以上はあくまでも私の勝手な推論(推理小説の読み過ぎか!)ですが、普段見慣れない全面広告を見ると「何かあったのではないか?」と穿った見方をする癖がついてしまいました。悲しき習性です

 

          

 

   閑話休題  

 

荻原浩著「幸せになる百通りの方法」(文春文庫)を読み終わりました 荻原浩は1956年埼玉県生まれ。広告制作会社勤務を経てコピーライターとして独立。1997年「オロロ畑でつかまえて」で小説すばる新人賞を受賞しています この本には「原発がともす灯の下で」「俺だよ、俺。」「今日もみんなつながっている。」「出逢いのジャングル」「ベンチマン」「歴史がいっぱい」「幸せになる百通りの方法」の7つの物語から成る短編集です

 

 

          

 

どれもが荻原浩らしい笑いとペーソスに溢れた作品ですが、特に面白いのは、34歳の独身女性が動物園での「お見合いパーティー」に参加する話を書いた「出逢いのジャングル」です 人間観察の面白さとともに、「ペンギンは身体の外に出ている3倍の長さの足を隠し持っている」とか「キリンの最高血圧は260もある」とか、ちょっとした豆知識もあり、面白さ百倍です

もう一つ取り上げるとすれば、会社を解雇されたことを妻に言い出せず、背広を着て毎日公園に”出勤”する47歳のサラリーマンの悲哀を書いた「ベンチマン」です こういうのって「他人事ではない」という人も少なからずいるのではないか、と思います なかなか決心がつかない妻子持ちの会社員の心情が切々と迫ってきます

 

 

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赤坂真理VS原武史「戦後70年 語る・問う」を聞く~「昭和天皇実録」を巡って

2014年09月12日 07時00分21秒 | 日記

12日(金)。毎週木曜日、朝日夕刊に連載中の黒木瞳さんのエッセイ「ひみつのHちゃん」を毎回楽しみにしています。第24回目の昨夕は「魅力尽きないこの月の月」と題して中秋の名月について書いています 瞳さんが中学2年生の時、国語の授業で「月々に月見る月は多けれど月見る月はこの月の月」という”読み人知らず”の歌を教わったそうです その歌を教えてくれた先生の名前は忘れてしまったそうですが、この歌は「口ずさめば口ずさむほど、いい歌だ」と思い続け、かれこれ40年も経ってしまったとのこと 最後に、朝日に連載していた漫画「フジ三太郎」にこの歌のパロディーが載ったけれど、可笑しかったので記載する、として次の歌を紹介しています

「月ヅキに ツケくるツキは多けれど ツケ払うツキはこのツギのツギ」

瞳さん「ちょっと笑える」。瞳さんの文章は飾らず素直で好きです 個人的なことで私が今だに覚えているのは、高校生の時、国語の授業で俳句を作って各自が発表することになった時にブラスバンド部の男子が詠んだ歌です

「初雪や うちの畑も もうダメだ」

冬でした

 

  閑話休題  

 

昨夕、当ビル10階ホールで日本記者クラブ主催のシリーズ企画「戦後70年 語る・問う」がありました 第1回目の昨日は、作家・赤坂真理さんと明治学院大学教授(日本政治思想史)・原武史さんによる対談です。赤坂真理さんは、先日のブログで著書「東京プリズン」を取り上げましたが、同書で毎日出版文化賞、司馬遼太郎賞を受賞しています 一方、原武史さんは「昭和天皇」「知の訓練 日本にとって政治とは何か」など多数の著書があります

対談は正面に向かって左から原さん、赤坂さん、コーディネーター役の共同通信Aさんという席順です 最初に赤坂さんから「この企画は、当初、私1人に講演依頼があったのですが、以前対談したことのある原さんと是非、対談の形にしたいと申し出て実現したものです」という説明があり、「どちらから話をしましょうか」「どうしましょうか」というやり取りがあって、結局、原さんが口火を切ることになりました

原さんは、宮内庁が9月9日付で公表した「昭和天皇実録」を巡る新聞各社の報道について取り上げ、次のように話しました

「9月9日の『昭和天皇実録』を取り上げた朝刊各紙の新聞報道を見ると、全国紙は人海戦術で、多くの記者を投入して報道していた 特に読売新聞などは、過去に明らかになっていた事実から、今回初めて明らかになった事柄まで、一緒くたに報道して、今日に至るまで連載し続けている。これでは、どれが過去の事実で、どれが新たに明らかになった事項か、分からなくなってしまう その点、日経は記者の総数が少ないので、人海戦術が取れないため、極論すれば1人の優秀な記者が書いていた。しかし、その記事は秀逸だった 自分もかつて日経に身を置いていたからという訳ではないが

その後は、なぜか、特定の地域の団地(原さんの著書『滝山コミューン一九七四』に出てくる団地)の話や中央線と西武線の開発の歴史等、戦後の重要な日本史の一面ではあるけれど、多くの聴衆が期待している天皇制の下での社会史については語られませんでした そのせいか「期待外れ」と思い、途中で退席する参加者も数人見受けられました

対談とはいえ、実質的には赤坂さんが、何かについて原さんの見解を求め、原さんが持論を展開するという形を採っており、「対談」というより「インタビュー」と言った方が相応しいのではないか、と思いました 逆に、コーディネーターや原さんが赤坂さんにあるテーマについて見解を求めると、ぼそぼそっと話をするのですが、何を言いたいのか意味不明な感じを受けました その原因の半分は、私が事前に赤坂真里さんの新刊「愛と暴力の戦後とその後」を読んでいないことにありますが、そういう予備知識なしでも、分かるように話すのが出演者側の責任のようにも思います

「東京裁判」をテーマに520ページを超える大作「東京プリズン」を書いた赤坂真里さんは、書く能力はあるけれど、話すのは相当苦手なのではないか、と思いました。天は二物を与えず 戦後日本の歴史を語る知識と論理的に話を展開する能力において、原さんと赤坂さんとは大人と子ども、あるいはそれ以上の開きがありました

 

          

 

興味深かったのは、原さんの次のような指摘です

「昭和天皇はアメリカの言いなりになったからこそ、東京裁判に出頭することもなかった。内心ではアメリカに対して悔しい想いを抱いていたのではないか 天皇はカトリックに傾倒していたフシがある。ローマ法王にも会っている。カトリックはローマ・カトリックであって、アメリカではない。反アメリカと言える

最後に、コーディネーターが赤坂さんに「言い残していることがあれば是非発言してほしい」と問うと、赤坂さんは、

「現在、憲法論争があるが、護憲か改憲か、イエスかノーか、というような二者択一的な選択を迫る風潮がある。日本国憲法の草案を見ると、心ふるえるような表現があったりする 自分としては歴史を研究し、護憲と改憲の端から端までの間に優れた選択肢を提示できたらと思う

と述べました

この会場には記者クラブ会員だけでなく一般の参加者も多かったのですが、どう感じたでしょうか

 

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「オルガ・シェプス」「カール・ハインツ・シュルツ」「NYアーバン・タンゴ・トリオ」のチケットを買う

2014年09月11日 07時02分07秒 | 日記

11日(木)。チケットを3枚買いました。いずれも日経ミューズサロンのコンサートで、入場料は全席指定3,500円です 1枚目は来年1月26日(月)午後6時半から日経ホールで開かれる「オルガ・シェプス ピアノ・リサイタル」です。彼女はドイツのエコー・クラシック賞若手ピアニスト部門をアリス・沙良・オットと二分したピアニストです ショパン、ラフマニノフ、プロコフィエフを演奏します

 

          

 

2枚目は2月4日(水)午後6時半から日経ホールで開かれる「カール・ハインツ・シュルツ フルート・リサイタル」です シュルツは現在ウィーン国立歌劇場管弦楽団の首席フルート奏者です。ハイドン、ブラームス、プロコフィエフなどを演奏します

3枚目は3月3日(火)午後6時半から日経ホールで開かれる「小澤真智子とNYアーバン・タンゴ・トリオ」コンサートです ピアソラほかを演奏します。たまにはタンゴもいいでしょう

 

          

 

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