人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

METライブビューイングでプッチーニ「蝶々夫人」を観る~クリスティーヌ・オポライスにブラボー!

2016年05月11日 07時44分29秒 | 日記

11日(水)。わが家に来てから591日目を迎え、オヤツの途中で声をかけられ、「サインはオヤツが終わったらしてあげるから」と勘違い発言をしているモコタロです

 

          

             あちこちから声かけられて 人気者はつらいよ!

 

  閑話休題  

 

昨日、新宿ピカデリーでMETライブビューイング、プッチーニの歌劇「蝶々夫人」を観ました  これは今年4月2日、ニューヨークのメトロポリタン歌劇場で上演されたオペラのライブ録画映像です 出演は、蝶々夫人にクリスティーヌ・オポライス(ソプラノ)、ピンカートンにロベルト・アラーニャ(テノール)、シャープレスにドゥウェイン・クロフト(バリトン)、スズキにマリア・ジフチャック(メゾソプラノ)ほか。指揮はカレル・マーク・シション、管弦楽はメトロポリタン歌劇場管弦楽団、演出はアンソニー・ミンゲラです

 

          

 

主役のオポライスと相手役のアラーニャは、前回のライブビューイング、プッチーニ「マノン・レスコー」でマノンとデ・グリューを歌ったのに次いで タッグを組むことになります 前回はデ・グリュー役のカウフマンが出演できなくなり急きょアラーニャが代役を務めたのでした

「蝶々夫人」はプッチーニが1901から03年にかけて書いたオペラで、1895年(明治28年)頃の長崎を舞台に、アメリカ人の海軍士官ピンカートンと結婚した日本人女性、蝶々さんの悲劇を描いた作品です

プッチーニは、1900年にロンドンで上演されたこの劇を観て感激し、オペラ化を決意したといいます 当時の日本大使夫人・大山久子に会い、彼女から日本の民謡のレコードや楽譜を借りたり、日本の風俗や生活習慣を聞いたりして日本について熱心に調べたと言われています オペラの中では「宮さん宮さん」などの歌が歌われるなど、その成果が反映されています

アンソニー・ミンゲラ(2008年没)による演出は10年前の2006年にMETに初めてお目見えしましたが、極めて日本の様式を意識した舞台作りになっています 舞台上にはいっさい建物は無く シンプルそのもので、高さ2メートルくらいの幅広の障子が何枚か用意され、左右に動き、空間を演出します 人物に目を移すと、蝶々さんこそ日本髪を結っていませんが、他の女性は日本髪のカツラを被っています。和服は良いとしても、どうも西欧人の日本髪スタイルというのは見慣れないせいもあって落ち着きが良くありません しかし、これは仕方のないことです

他の演出と大きく異なるのは、蝶々さんの子どもを ”文楽”のような人形にして3人の黒子が動かしていることです 子どもの顔は変わらないのに局面によって表情が変わって見えるのは人形遣いの為せるワザでしょう また、蝶々さんにしつこく求婚するヤマドリは、まるで歌舞伎役者のいで立ちです

第1幕の終盤でピンカートンと蝶々さんが歌う「愛の二重唱」は感動的な熱唱でしたが、上空から舞い降りてくる無数の紙片の蝶々が二人の熱唱に彩りを添えていました

第1幕が終わった後の休憩時間のインタビューで、D.ボイトがアラーニャに

「第2幕ではピンカートンの出番がないけれど、第3幕に向けて集中力を維持するのが大変じゃない?」

と訊くと、アラーニャは

「そう、大変なんですよ。別のオペラの練習をしなければならないからね

と答えます。ボイトが驚いて

「第3幕の練習じゃなくて別のオペラの練習をするの?」

と訊くと、

「そう、ドビュッシーの『放蕩息子』を歌うんで、歌を覚えなきゃいけないんだよ

と答えていました。ボイトも心の底から驚いていましたが、METの看板歌手は凄まじいですね。本当にました。

第2幕では、いよいよ蝶々さんのアリア「ある晴れた日に」が聴かれます オポライスは声に力がある美しいソプラノであるばかりでなく、演技力が並大抵ではありません 蝶々さんに成りきって演じ、歌っているのが伝わってきます。蝶々さんは2014年にMETでロール・デビューして絶賛を博した役柄であるだけに、自信を持って歌っているように見えます

アラーニャは輝くテノールです。この人の歌と演技は安定感があります 前回のマノン・レスコー同様、オポライスとの二重唱は息がピッタリでした

シャープレスを歌ったドゥウェイン・クロフトはニューヨーク生まれですが、深みのあるバリトンで”真面目な”シャープレスを”真面目に”歌い、演じていました また、スズキを歌ったマリア・ジフチャックもニューヨーク生まれですが、出演者の中で一番日本髪のカツラが似合っていました 歌ばかりでなく、顔の表情だけで演技が出来るベテランの味を醸し出していました

”泣かせるオペラ”蝶々夫人を管弦楽で盛り立てた英国出身のカレル・マーク・シションの指揮するメトロポリタン歌劇場管弦楽団の演奏にも大きな拍手を送ります

 

          

 

  も一度、閑話休題  

 

来シーズンのMETライブビューイングのラインナップが決定しました 上演日でいうと2016年10月8日から2017年5月13日まで、全10演目です モーツアルト=2作品(ドン・ジョバンニ、イドメネオ)、ヴェルディ=2作品(ナブッコ、椿姫)で、あとはワーグナー「トリスタンとイゾルデ」、カイヤ・サーリアホ「遥かなる愛」(初めて見る作曲家・演目)、グノー「ロメオとジュリエット」、ドヴォルザーク「ルサルカ」、チャイコフスキー「エフゲニー・オネーギン」、リヒャルト・シュトラウス「ばらの騎士」というラインアップです

個人的に注目しているのは、クリスティーヌ・オポライスがタイトルロールを歌う「ルサルカ」、アンナ・ネトレプコがヒロインのタチアーナを歌う「エフゲニー・オネーギン」、ルネ・フレミングが当たり役の元帥夫人マリー・テレーズを歌う「ばらの騎士」の3演目です また、指揮者としてはワーグナー「トリスタンとイゾルデ」を振るサイモン・ラトル、ヴェルディ「椿姫」を振る二コラ・ルイゾッティが面白いと思います

 

          

 

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