人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

新国立オペラ、オッフェンバック「ホフマン物語」初日公演を観る ~ レオナルド・カパルボ、安井陽子、エギリス・シリンス、木下美恵子、大隅智佳子にブラボー!

2023年03月16日 06時50分11秒 | 日記

16日(木)その2.よい子はその1も見てね モコタロはそちらに出演しています

昨夜、新国立劇場「オペラパレス」でオッフェンバック「ホフマン物語」初日公演を観ました 出演はホフマン=レオナルド・カパルボ、ニクラウス/ミューズ=小林由佳、オランピア=安井陽子、アントニア=木下美穂子、ジュリエッタ=大隅智佳子、リンドルフ他=エギルス・シリンス、アンドレ他=青地英幸、ルーテル他=伊藤貴之、ヘルマン=安東玄人、ナタナエル=村上敏明、スパランツァーニ=晴雅彦、シュレーミル=須藤慎吾、ステッラ他=谷口睦美。合唱=新国立劇場合唱団、管弦楽=東京交響楽団、指揮=マルコ・レトーニャ、演出・美術・照明=フィリップ・アルローです

 

     

 

この日、東京劇術劇場ではサーモグラフィー・カメラを撤廃していましたが、新国立劇場では継続して設置しています また、サントリーホール他のホールではクロークを再開していますが、新国立劇場はまだ再開していません コートを預ける人がいなくなる春を待っていたのかもしれません。さすがは私立でなく国立です。したたかです

会場は、超人気プロとは言えない演目のせいか、初日公演にしてはちらほらと空きが目立ちました

私が新国立オペラでフィリップ・アルロー演出の「ホフマン物語」を観るのは、2003年、2005年、2013年、2018年に続いて今回が5度目です 私は2002年のシーズンから新国立オペラの会員になっていますが、過去の上演記録を見たら、2003年の出演者にニクラウス/ミューズ=エリナ・ガランチャとあり、観て聴いたはずと思うものの、まったく思い出せません 当時はオペラを聴くようになって日が浅かったので、ガランチャと言われてもピンとこなかったと思われます できるならあの日に戻りたい、と思います

 

     

 

歌劇「ホフマン物語」はジャック・オッフェンバック(1819-1880)が1877年から80年にかけて作曲、1881年パリのオペラ・コミック座で初演された未完のオペラです

物語の舞台は歌劇場に隣接する酒場。公演終演後に歌姫ステッラとの逢瀬の約束を交わした詩人で音楽家のホフマンは、酒を飲みながら3人の女性との失恋物語を学生たちに語り始める 機械仕掛けのオランピアに、そうとも知らず恋をする物語 胸を病む恋人アントニアが激しく歌い息絶えてしまう物語 ヴェネツィアの高級娼婦ジュリエッタに影を奪われる物語 回想を終え、恋の空しさに絶望して酔いつぶれたホフマンの前に、詩の女神ミューズが姿を現す

 

     

 

ホフマンを歌ったレオナルド・カパルボはアメリカ出身のテノールですが、ジュリアード音楽院に学び、マリリン・ホーンに師事、ヨーロッパやアメリカを中心に活躍しています 力強い歌唱力と役に成り切った演技力が印象的でした

ニクラウスとミューズの2役を歌った小林由佳は国立音楽大学・大学院修了、文化庁派遣芸術家在外研修員としてイタリアに留学、二期会を中心に活躍しているメゾ・ソプラノです 美しい歌唱で聴衆を魅了しました

オランピアを歌った安井陽子は桐朋学園大学・大学院修了、文化庁派遣芸術家在外研修員としてウィーン国立音楽大学に留学、二期会会員として活躍しているソプラノです 機械仕掛けの人形の動きを見事に再現、歌も超絶技巧の最高音を張り上げ、聴衆から圧倒的な喝さいを浴びました ネジが切れて回転するシーンなどは前回(2018年)の時よりも進化していると思いました シン安井陽子の誕生です

リンドルフ、コッペリウス、ミラクル博士、ダベルトゥットの4役を歌ったエギルス・シリンスはラトヴィア出身のバス・バリトンですが、深みのある歌唱で存在感が抜群でした

アントニアを歌った木下美穂子は武蔵野音楽大学・大学院修了、新国立オペラでも活躍しているソプラノですが、「きじ鳩は逃げた」をはじめ透明感のある美しい歌唱が印象に残りました

ジュリエッタを歌った大隅智佳子は東京藝術大学・大学院修了、新国立オペラでも活躍しているソプラノですが、声に力があり良く通ります 出演者の中では一番声が出ていたのではないかと思います

新国立劇場合唱団のコーラスはいつもながら素晴らしく、今回は高度な演技力が求められますが、見事に演じ切りました

スロヴェニア出身のマルコ・レトーニャ指揮東京交響楽団は歌手に寄り添いつつ、自らも登場人物の心情を歌い上げました とくに、第3幕(アントニアの幕)では、ヴァイオリン・ソロや、オーボエ、フルートといった木管楽器がアントニアの悲しい心情を歌い上げていました

フィリップ・アルローの演出は色彩感に溢れ、美しくファンタジックな世界を描いていました

 

     

 

カーテンコールが繰り返され、幕が下りたのは22時25分を回っていました 家に帰ったのが23時を過ぎていたので、「リバーサルオーケストラ」の最終回が見られませんでした それだけが心残りです

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芸劇ブランチ「第23回 名曲リサイタル・サロン 小林沙羅」でドビュッシー「美しい夕暮れ」、グノー「ファウスト」より宝石の歌ほかを聴く:ピアノ=三浦友理枝

2023年03月16日 00時14分04秒 | 日記

16日(木)その1.わが家に来てから今日で2984日目を迎え、ロシア下院は14日、民間軍事会社ワグネルを含む軍事力行使に関する虚偽情報の流布や中傷行為への取り締まりを強化する修正法案を採択した というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     法律を修正するほど虚偽情報や中傷行為が多いのは 軍が酷いことをやってるからだ

 

         

 

昨日、夕食に「真鯛の塩焼き」「マグロの山掛け」「生野菜サラダ」「豚汁」を作りました ヘルシーな魚を定期的に食べたいと思います

 

     

 

         

 

昨日午前11時から東京芸術劇場コンサートホールで、芸劇ブランチコンサート「第23回 名曲リサイタル・サロン 小林沙羅」を聴きました プログラムは①滝廉太郎「花」、②中田喜直「さくら横ちょう」、③別宮貞雄「さくら横ちょう」、④ティリンディッリ「おお、春よ!」、⑤シューマン「春が来た!」、⑥ラフマニノフ「リラの花」「春の流れ」、⑦グリーグ:叙情小曲集より「春に寄す」(=ピアノ独奏)、⑧R.アーン「春」、⑨ドビュッシー「グリーン」「美しい夕暮れ」「星の夜」、⑩グノー「ファウスト」より「宝石の歌」です 出演はソプラノ=小林沙羅、ピアノ=三浦友理枝です

いつもは会場入口に体温検知用のサーモグラフィー・カメラが設置され、入場者の体温を自動的に検知しているのですが、この日はありませんでした 久しぶりにコンサート会場でこういう光景に遭遇しました。考えてみればこれが普通なのです 他の会場でも少しずつ撤廃に向けて動くのではないかと想像します

 

     

 

拍手の中、小林沙羅がピンクの花模様の春らしい衣装で、三浦友理枝が薄緑の明るい衣装で登場、さっそく演奏に入ります

1曲目は滝廉太郎「花」です この曲は1900年に出版した歌曲集「四季」に収録された1曲です 作詞は武島羽衣で、滝とは東京音楽学校の教員同士とのことです 前日、東京で桜の開花宣言が出ましたが、まさにそれにピッタリの華やかな歌唱で、やっぱり小林沙羅の歌う日本の歌はいいなあ、と思いました

2曲目と3曲目は加藤周一(文芸評論家として有名)の作詞による「さくら横ちょう」です 同じ歌詞に中田喜直と別宮貞雄が曲を付けました 中田の方はドラマティックで、別宮の方は抒情的で、同じ詩なのにこんなにも違うものかと驚きました

4曲目はミラノ生まれのティリンディッリ作曲「おお、春よ!」です 名テノール歌手カルーソーのために書いただけあって、明るい春の太陽を感じさせる作品で、沙羅さんはダイナミックに歌い上げました

5曲目はシューマン「春が来た!」です この曲は1849年に発表された「子どものための歌のアルバム」の第23曲です シューマン特有のリズム感が印象的でした

6曲目はラフマニノフ「リラの花」です。この曲は1902年にベケートワの詩に曲を付けたもので、優しさを感じました 次の「春の流れ」は1896年に出版された「12のロマンス」の中の1曲ですが、ロシアの広大な大地を感じさせるドラマティックな歌でした

次は三浦友理枝のピアノ独奏によりグリーグ:叙情小曲集より「春に寄す」が演奏されました メロディーの美しい作品で、抒情的な演奏が印象的でした

曲間にはナビゲーターの八塩圭子さんによるインタビューがあり、沙羅さんは日常生活も含めて次のように語っていました

「日本には四季があって移ろいゆきますが、例えばロシアでは暗い冬が長く、5月になって一気に春を感じるようになるので、春の表現の仕方も爆発的になります 同じ春の歌でも国によって印象が異なるのが興味深いと思います

「フランス語は苦手で避けてきましたが、ピアニストの三浦さんと一緒に演奏するようになって、フランス語の美しさを感じるようになり、フランスの歌曲やオペラの勉強をするようになりました

「コンサート当日は、力を出すため、朝食はお米と納豆を食べます 卵もよく食べます。海外に行くときに炊飯器を持参することもあります

「子どもは男の子2人で、下の子は1歳ですが、やんちゃでクレヨンを放り投げたり、牛乳をぶちまけたりと大変です 寝る時には子守唄を歌ってあげますが、子供たちも一緒に歌ってしまうのでなかなか寝付かないで困ります

沙羅さんはプロのソプラノ歌手の傍ら、ちゃんとお子さんの面倒もみておられるようですね

 

     

 

ここからフランスの作曲家による作品に移ります 沙羅さんは水色の衣装に”お色直し”して登場、会場を「オーッ」と言わせました

8曲目はR.アーン「春」です この曲は1898年に作曲された「ロンデル(歌曲集)」に収録された1曲です 沙羅さんは美しいフランス語で歌い上げました

次に、ドビュッシー「グリーン」「美しい夕暮れ」「星の夜」を続けて歌いました いずれも美しい曲ですが、個人的には「美しい夕暮れ」に馴染みがあるので、沙羅さんの歌うフランス語の美しさを堪能しました

最後の曲はグノーの歌劇「ファウスト」より「宝石の歌」です このオペラは1859年に初演されましたが、この歌は第3幕でマルグリートが歌うアリアです 沙羅さんは身ぶり手ぶりを交えながら、時に聴衆に語りかけるように歌いました

満場の拍手にアンコールに応え、アーンの小曲と、フォーレ「夢のあとに」を美しいフランス語で歌い上げました

この日のリサイタルは、日本語、ドイツ語、イタリア語、ロシア語、フランス語による歌曲を美しい歌唱で歌いましたが、沙羅さんの声は独特の”艶”があって、歌声を聴くと小林沙羅だ、と分かります 声にしっかりとしたアイデンティティーがあると言えば良いでしょうか

長年の共演歴のある三浦友理枝さんとの相性も抜群で、素晴らしい春のひと時を過ごすことが出来ました

 

     

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