人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

「ニューイヤーコンサートは楽しい!その2」の巻 ~ ヨハネス・フライシュマン✕村田千佳によるウィーンに因んだ名曲の数々を聴く:第480回日経ミューズサロン

2019年01月09日 07時19分09秒 | 日記

9日(水)その2.よい子は「その1」から見てね   モコタロはそちらに出演しています

昨夕、大手町の日経ホールで第480回日経ミューズサロン「ヨハネス・フライシュマン&村田千佳  ニューイヤーコンサート  ~  オーストリア音楽大使によるウィーンからの贈り物」を聴きました プログラムは①シューベルト「ヴァイオリンとピアノのための華麗なるロンドD.895」、②リヒャルト・シュトラウス「ヴァイオリン・ソナタ変ホ長調作品18」、③ブラームス「ハンガリー舞曲第5番」、④クライスラー「愛の喜び」、⑤同「愛の悲しみ」、⑥ヨハン・シュトラウス2世「南国のバラ」、⑦ヘルムート・スティビッチ「素晴らしい古くて新しい時間」(世界初演)、⑧クライスラー「ウィーン奇想曲作品2」、⑨同「オールド・リフレイン」、⑩同「ウィーン狂詩曲風幻想曲」です

演奏はヴァイオリン=ヨハネス・フライシュマン(オーストリア音楽大使)、ピアノ=村田千佳、バレエ=佐々木美緒、鎌田真帆、米津萌、葛西仁黎花、阿比留友里香です

 

     

 

自席はG列6番、左ブロック右から3つ目です

スマートなフライシュマンと村田千佳さんが登場し、1曲目のシューベルト「ヴァイオリンとピアノのための華麗なるロンドD.895」の演奏に入ります この曲はフランツ・シューベルト(1797-1828)が1826年10月に作曲した単一楽章の作品です シューベルト特有の、終わるかと思うとまだまだ続く長大なロンドです 29歳当時の作品ですが、シューベルトは31歳で亡くなっているので、結果的に晩年の作品になってしまいました 天才は早死にします。フライシュマンの演奏はどちらかと言うと、理知的なアプローチだと思います

2曲目はR・シュトラウスの「ヴァイオリン・ソナタ変ホ長調作品18」です この曲はリヒャルト・シュトラウス(1864‐1949)が1888年に作曲した作品です 作曲者が24歳の時に作曲された作品なので、瑞々しい感性を感じます 第1楽章「アレグロ・マ・ノン・トロッポ」、第2楽章「アンダンテ・カンタービレ」、第3楽章「フィナーレ:アンダンテ~アレグロ」の3楽章から成ります

フライシュマンはリヒャルト・シュトラウスの曲に求められる”艶やか”な音色で奏でます でも、作品に対するアプローチはあくまでも理知的です 第2楽章がとても美しい演奏でした ピアノの村田千佳さんがよく付けています

ここで終わったら「どこが『ニューイヤーコンサート』じゃい 責任者出てこい」と言いたいところですが、真打は後半のプログラムです


     


プログラム後半に入るにあたり照明が落ち、会場が暗転します 不安におののいていると照明がパッと点き、ステージを見ると 中央にフライシュマンと村田さんが、左右のスペースにバレエダンサーが2人ずつスタンバイしています さっそく後半最初の曲、ブラームスの「ハンガリー舞曲第5番」の演奏に入ります フライシュマンは前半の理知的な演奏がウソだったように情熱的な演奏を展開します どっちが本当のフライシュマンなんだい とツッコミを入れたくなります。それにつけても、クラシックバレエが入ると「ニューイヤーコンサート」らしくていいですね

次にフリッツ・クライスラー(1875‐1962)の「愛の喜び」と「愛の悲しみ」が続けて演奏されます この2曲は性格的に対を為す小品で、アンコール・ピースの定番です この曲を聴いている間、どこかでトントンという小さな音が聴こえてきました 日経ホールで やや規則的な”騒音”を聴くのは初めてなので、いったい何の音だろうと不思議に思っていましたが、次の曲でその原因が分かりました

次の曲はヨハン・シュトラウス2世(1825-1899)のワルツ「南国のバラ」です   この曲は6日の北とぴあの「ニューイヤーコンサート」で聴いたばかりですが、ヴァイオリンとピアノで聴くのは別の趣があります フライシュマンのウィーン情緒豊かな演奏に合わせて、バレエダンサーが華を添えます 彼女たちのバレエを観ていて、ハタと気が付きました 前の曲の時に聴こえたトントンという音は、彼女たちが舞台裏で踊っていたリハーサルだったのではないか、ということです 「トゥシューズ」ってジャンプして着地すると結構 大きな音が出るものだと気が付きました 次にこういう機会がある時は気を付けてほしいと思います

次の曲はフライシュマンの友人であるヘルムート・スティビッチがこの日のために作曲した「素晴らしく古くて新しい時間~世界で最も活気ある夢の都ウィーン」の世界初演です 演奏の前にフライシュマンがマイクを持って英語で曲目を解説し、村田さんが通訳をしましたが、この曲は「芸術都市ウィーンの伝統と歴史を受け継ぐ生活に根差した文化と自由な精神を反映した作品」ということのようで、「4日前に最終稿の楽譜が届いた」とのことです 二人の演奏で聴くこの曲は、ひと言でいえばピアソラのリベル・タンゴのような曲想でした 4日前に届いた楽譜を短期間でマスターしなければならなかったフライシュマンと村田さんは、何だかんだ言っても凄いなあ、と思いました

次にクライスラーの「ウィーン奇想曲作品2」を、続けてオーストリアの作曲家ブランドル(1835-1913)のオペレッタ「愛しのアウグスティン」の歌曲を編曲した「オールド・リフレイン」を演奏し、最後に「ウィーン狂詩曲風幻想曲」をウィーン情緒たっぷりに演奏してプログラムを終了しました この間もトントンという音が聴こえていたので、「おかしいな、プログラムはこれで最後だし・・・???」と思いましたが、またハタと思い付きました 「そうか、アンコール曲で踊るんだな」と。その予想は見事に当たり、アンコールにヨハン・シュトラウス2世のワルツ「美しく青きドナウ」がバレエ付きで演奏されました

今回の公演は前半よりも後半の方が圧倒的に楽しく、特にバレエが入ったのが「ニューイヤーコンサート」としては正解だったと思います 主役はフライシュマンでしたが、彼を支えた村田千佳さんのピアノは決して出しゃばることなく、それでいて抜群の存在感がありました 素晴らしいピアニストだと思います

ニューイヤーコンサートは楽しい

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ジャン・ルノワール監督「フレンチ・カンカン」を観る ~ オッフェンバックの喜歌劇「天国と地獄」の「地獄のギャロップ」に合わせて踊られるフレンチ・カンカンに圧倒される!

2019年01月09日 00時09分03秒 | 日記

9日(水)その1。わが家に来てから今日で1559日目を迎え、トヨタ自動車が7日、自動運転技術の開発に使う新型の実験車を米ラスベガスの家電・技術見本市「CES」で公開した というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     自動運転技術は素晴らしいけど 実用化したら運転免許証は誰が持つんだろうか?

 

         

 

昨日、夕食に「豚バラ肉のエリンギ炒め」と「鶏肉と白菜とシメジのプチ鍋」を作りました 「豚バラ~」は娘の大好物です

 

     

 

         

 

昨日、池袋の新文芸坐でジャン・ルノワール監督・脚本による1954年フランス映画「フレンチ・カンカン」(カラー・105分)を観ました

1888年のパリで上流階級向けのクラブを営んでいたダングラール(ジャン・ギャバン)は、下町のキャバレーで見初めた踊り子二二(フランソワーズ・アルヌール)に触発され、自分の店を処分し、その店”白い女王”を買い取り、カンカンの踊りの復活を軸とした新しいショーを見せる娯楽の殿堂にしようと画策する    しかし、女性にもてる彼を巡って、以前の店からのスター、ローラ(マリア・フェリックス)と二二が衝突を繰り返し、ローラに気のある出資者から援助を止められたりして、なかなか計画通りにいかない 二二はポウロというパン職人の恋人がいたが、嫉妬深い彼よりダングラールの渋さに惹かれてしまう。そんな彼女に密かに恋い焦がれて自殺まで図ったアラブの王子は、彼女との一度の逢瀬に満足して支援をし、そのお陰で何とか店も開店に漕ぎつける ショーの本番の直前、他の歌手にちょっかいを出すダングラールに腹を立て、二二は楽屋にこもってしまう。しかし、観客が彼女を呼ぶ声に押し出されるようにフロアに出て、仲間とフレンチ・カンカンを快活に踊るのだった


     


監督のジャン・ルノワール(1894-1979)は、画家ピエール・オーギュスト・ルノワールの次男として生まれました この映画は、パリの名物だった「ムーラン・ルージュ」(赤い風車)の由来を虚実を混ぜて描いています。ダングラールは「白い女王」を買い取り、建て替えて「赤い風車」にしたわけですが、この店は画家のロートレックが通いつめ、踊り子たちをモデルに数々のポスターを描いたことでも有名です 現在でもパリの観光スポットとして人気があり、何と約840人が収容できるそうです

この映画は歌あり踊りありのオペレッタ映画なので、楽しいことこの上ありません エディット・ピアフら歌手陣が出演してシャンソンを披露しています。ラストのムーラン・ルージュの新規開店のシーンでは、ジョルジュ・ヴァン・パリスの楽しい音楽に続いてオッフェンバックの喜歌劇「地獄のオルフェ(天国と地獄)」の「地獄のギャロップ」(「カステラ一番、電話は二番、三時のおやつは~」ですよ)の賑やかな音楽に合わせて、踊り子たちがカンカン踊りを披露します。圧巻です

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする