3日(日)。わが家に来てから1340日目を迎え、週刊文春などを発行する文芸春秋で、管理職の有志が役員人事案の再考を求める要望書を提出したり、松井清人社長が社員向け説明会で陳謝したりと、異例の事態になっている というニュースを見て感想を述べるモコタロです
文春砲の炸裂はいつだ?! まさか身内の事は"忖度"して書かないなんてないよね
今年もサントリーホール「ブルーローズ」で開かれる「サントリーホール チェンバーミュージック・ガーデン」の季節がやってきました 昨年はホールの全面改修工事の影響で9月にずれ 短期間の開催でしたが、今年はもとの形に戻り2日から17日まで約2週間にわたり開催されます 私は15公演聴きますが「ブルーローズ」は昨年秋以来8~9か月ぶりだと思います
昨日はオープニング・コンサート「堤剛プロデュース2018」を聴きました プログラムは①ベートーヴェン「チェロ・ソナタ第4番ハ長調作品102-1」、②マルティヌー「ヴァイオリンとチェロのための二重奏曲第1番」、③酒井健治「レミニサンス/ポリモノフォニー」(世界初演)、④ドヴォルザーク「ピアノ三重奏曲第4番ホ短調作品90”ドゥムキ―”」です 演奏は、ピアノは2010年第65回ジュネーヴ国際音楽コンクール優勝の萩原麻未、ヴァイオリンは2010年ロン=ティボー国際コンクール第2位の成田達輝、チェロは元桐朋学園大学学長・現サントリーホール館長の堤剛です
自席はC4列7番、センターブロックのど真ん中です。一番良い席に思われるかも知れませんが、通路から一番遠い奥の席なのでどうも落ち着きません 会場は満席近い状況です
1曲目はベートーヴェン(1770‐1827)の「チェロ・ソナタ第4番ハ長調作品102-1」です チェロ・ソナタ第4番と第5番は、1815年の春から夏にかけてチェリストのヨーゼフ・リンケのために作曲されました 第4番は第1楽章「アンダンテ~アレグロ・ヴィヴァーチェ」、第2楽章「アダージョ~アンダンテ~アレグロ・ヴィヴァーチェ」の2楽章から成りますが、5曲のチェロ・ソナタの中で最も短い作品です
白のエレガントな衣装の萩原麻未が堤剛とともに登場し、さっそく演奏に入ります チェロから入り、ピアノが追って入りますが、幻想的とでも言うべき曲想です 堤剛のチェロは朗々と響き、萩原麻未のピアノがピタリと付けます 萩原麻未は大御所を相手に遠慮はありません。主張すべきところは主張しながらチェロを支えます
ところで、プログラム・ノート(寺西基之氏)を見ておやっ?と思いました 「チェロ・ソナタ第4番」が あたかも1つの楽章から構成されているかのように書かれていたからです 二人の演奏も楽章を区切って演奏していたので、なおさらおかしいと思いました。家に帰ってウィキペディアで調べてみたら、「第1楽章と第2楽章の間には、フェルマータの付いた1小節の休止があり、他は全て連続して演奏されることから、2楽章形式とみなされるが、5つの部分に分かれる『単一楽章』とする見方もある」と書かれていました。これで納得しました
2曲目はマルティヌー「ヴァイオリンとチェロのための二重奏曲第1番」です この曲はボフスラフ・マルティヌー(1890‐1959)がパリ留学中の1927年に作曲した初期の作品です 第1楽章「前奏曲:アンダンテ・モデラート」、第2楽章「ロンド:アレグロ・コン・ブリオ」の2楽章から成ります
成田達輝と堤剛が登場し早速演奏に入ります。第1楽章では、2つの弦楽器が最初は不協和音を奏で緊張感を醸し出していますが、やがて調和してきます 第2楽章に入ると、一転して明るく生き生きした曲想になります 二人の演奏は、ある時は手に汗握り、ある時は楽しく、丁々発止のやり取りが見事でした
プログラム後半の最初は、酒井健治「レミニサンス/ポリモノフォニー」の世界初演です この作品は堤氏の委嘱により作曲されたもので同氏に献呈されました。バッハの「無伴奏チェロ組曲第5番」の「サラバンド」の旋律をモチーフとして作曲されています。全体は主題と19の変奏から成ります
堤剛の独奏により演奏が開始されます 聴く限り、全体的にチェロの技巧を尽くした作品で、相当の演奏技術が要求されると思われます
面白いなと思ったのは、ベートーヴェンとマルティヌーでは落ち着きがなかった隣席の少年(小学1、2年生?)が、前のめりになって耳を傾けていたことです チェロという1挺の楽器から出てくる様々な音色や音の変化に興味を引かれたのかも知れません 子どもって意外な反応を示すものですね
演奏後、堤氏の手招きで作曲家の酒井健治氏がステージの呼ばれ、大きな拍手を受けました 少年も小さな手で大きな拍手をしていました
最後の曲はドヴォルザーク(1841‐1904)の「ピアノ三重奏曲第4番ホ短調作品90”ドゥムキ―”」です この曲は1890~91年頃に作曲されました。この曲が「ドゥムキ―」と呼ばれるのは、緩やかな哀歌と活気ある部分が交替するドゥムカ(スラブ民謡の一種、ドゥムキ―は複数形)の形式を主たる構成原理としていることによります。萩原麻未、成田達輝、堤剛が登場します
第1楽章「レント・マエストーソ~アレグロ・クアジ・ドッピオ・モヴィメント」、第2楽章「ポコ・アダージョ~ヴィヴァーチェ・ノン・トロッポ」、第3楽章「アンダンテ~ヴィヴァーチェ・ノン・トロッポ」、第4楽章「アンダンテ・モデラート(クアジ・テンポ・ディ・マルシア)~アレグレット・スケルツァンド」、第5楽章「アレグロ」、第6楽章「レント・マエストーソ~ヴィヴァーチェ・クアジ・ドッピオ・モヴィメント」の6楽章から成ります
3人はそれぞれ自己を主張しながらも 他者との見合いをはかり、見事なアンサンブルを奏でました 緩やかなエレジーっぽい曲想(哀愁)と賑やかな曲想(情熱)とが交互に現れるスラブ民謡の「ドゥムキー」独特の魅力がストレートに伝わってくる演奏でした
鳴り止まない拍手とブラボーに 3人は、「ドゥムキ―」の第5楽章「アレグロ」をアンコールに演奏して幕を閉じました