人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

中山七里著「ヒートアップ」を読む~厚労省麻取と暴力団がタイアップ!

2014年08月29日 07時01分19秒 | 日記

29日(金)。新潮社が28日発売の「週刊新潮」9月4日号について、朝日新聞社に新聞広告の掲載を拒否されたことを明らかにしました 9月4日号には、朝日新聞社が一部記事の誤りを認めた従軍慰安婦報道についての記事が掲載され、広告には「1億国民が報道被害者になった『従軍慰安婦大誤報!』などの見出しがあるとのこと 朝日は一部見出しの修正を求めたが新潮社が拒否したため、広告を掲載しないことに決めたということです

「言論の自由を標榜する天下の朝日新聞は、掲載を拒否すべきではない。もっとおおらかに対応したらどうか」という論理もあるでしょう しかし、朝日新聞社は報道機関ではありますが、株式会社、つまり営利企業に違いはありません。したがって広告を掲載する・しないは経営判断で下せばよいことになります。もちろん、その判断は朝日の「広告掲載基準」に則って下されることになります

今回のケースは、朝日としてはよほど腹にすえかねたのでしょう しかし、当該広告を掲載しようがしまいが、新潮社側の思うつぼにハマったと言えるでしょう。当の朝日をはじめ新聞各紙で、あるいはネット上で”事件”として報道されることによって、高い広告費を払って週刊新潮を宣伝するよりもはるかに大きなピーアール効果があったとみるべきでしょう 新潮社側はそういうしたたかな計算の上で喧嘩を売っているに違いありません

すでに、9月4日付の「週刊文春」も同様の内容で朝日に広告掲載を拒否されていますが、こちらも新潮社と同じく、タダで大々的に宣伝出来たに違いありません 

私は「売れれば何を書いても良い」と言わんばかりの週刊誌報道は問題があると思いますが、新聞には書けない微妙な問題をリスクを取って取り上げる姿勢には一定の敬意を抱いています

 

  閑話休題  

 

広島の土砂災害からすでに1週間以上が経ちました。27日現在、死者71人、行方不明11人、避難者1282人となっています。被災地では6万世帯、15万人を対象に避難勧告・指示が出されているといいます。広島県の地元紙・中国新聞社では土砂災害義援金を受け付けています。当ビル2階に入居している同社東京支社でも受け付けています。要領は下の写真の通りです。同社に代わって、ご協力をよろしくお願いいたします

 

          

            (当ビル1階玄関ホールに設置したお知らせと紙面)

 

          

 

  も一度、閑話休題  

 

中山七里著「ヒートアップ」(幻冬舎文庫)を読み終わりました 中山七里は1961年、岐阜県生まれ。2009年「さよならドビュッシー」で第8回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、2010年にデビューしました このクラシック音楽路線では「おやすみラフマニノフ」「さよならドビュッシー前奏曲」がありますが、もう一つの路線(本格ミステリー路線とでも言うか)として、「魔女は甦る」「贖罪の奏鳴曲」があります。本作は、実は「魔女は甦る」の続編と言ってもよい作品です

 

          

 

主人公は厚生労働省所属の麻薬取締官・七尾究一郎。ただの取締官ではなく、特殊体質から麻薬のおとり捜査も許され、高い検挙率を挙げている優秀な男 前作「魔女は甦る」で登場したドイツの製薬会社スタンバーク社が兵士用に開発した特殊薬物「ヒート」が、闇市場に流出し、それが原因で流血事件が起こっていた 七尾は「ヒート」の売人を追究すべく捜査に乗り出すが、ある男と組むことになる。驚くべきことに、その男とは広域指定暴力団宏龍会の渉外委員長という肩書を持つ山崎岳海で、脱サラして暴力団のナンバー・スリーの地位に着いた優秀な男だ ある日、殺人事件の現場に残された鉄パイプから七尾の指紋が検出される いったい誰の仕業か・・・・・手を組んだはずの山崎が七尾を罠に嵌めたのか・・・・「ヒート」は撲滅できるのか・・・・・

第一に、厚労省の麻薬取締官と暴力団の幹部が組んで、強力な麻薬の製造元・売人を突き止めるというプロットがあり得ないでしょう しかし、暴力団の山崎があまりにも一般人として描かれているので、それもありかな、と思わせられます

いつも中山七里のミステリーで驚かされるのは驚愕のラストです 鉄パイプに七尾の指紋を付けた犯人は意外な人物でした。なぜその人物は殺人を犯し、七尾に罪を被せようとしたのか、最後にそれが明らかにされます

中山七里は期待を裏切りません。ページを繰る手が止まりません。お薦めします

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