人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

「フェスタサマ―ミューザ」フィナーレコンサートを聴く~現田茂夫+東京交響楽団

2014年08月11日 07時00分44秒 | 日記

11日(月)。昨日、台風11号が通過する中、またしても川崎まで出かけ、ミューザ川崎で「フェスタサマ―ミューザ」フィナーレコンサートを聴きました いつものように入り口で「ほぼ日刊サマーミューザ朝刊」が配布され、9日(土)に開かれた昭和音楽大学のコンサートの模様が写真入りで紹介されていました。細川千尋の素晴らしいピアノ演奏を思い出しました

 

          

                    

昨日は午前11時半から現田茂夫指揮東京交響楽団による公開リハーサルがあったので見学することにしました 自由席だったので2階席からステージを見下ろすことにし、2CA3列15番を確保しました オケのメンバーは普段着姿でリラックスしているように見受けられます

指揮者の現田茂夫が「みなさん、おはようございま~す」と明るい声で挨拶しながら、濃いオレンジ色のポロシャツ姿で登場し、さっそくスメタナの「モルダウ」、J.シュトラウス2世の「美しく青きドナウ」、オッフェンバックの「パリの喜び」、メンデルスゾーンの「フィンガルの洞窟」の順に最終的な仕上げ演奏を続けていきます すべての曲がほとんど出来上がっていて、2、3の注意をしただけでした 37分程度で一旦休憩に入り、15分後に再開しました

再開にあたり現田茂夫は同じポロシャツを着ているのに、なぜか背中に「France 1」というサッカーのゼッケンのような”背番号”を付けています 多分、後半がフランスを代表する作曲家ドビュッシーの「海」なので、作曲家に敬意を表しつつ、受けを狙ったのでしょう フレンチならぬハレンチとは言いません

ひと通り「海」をおさらいして、最後にアンコール曲までおさらいしました さすがに現田は会場の聴衆に向かって「アンコールは内緒にしておいてください」と「特定秘密保護法」の適用をほのめかしました。そして13時ちょうどに公開リハーサルが終了しました

という訳で、プログラムは①スメタナ「我が祖国」より「モルダウ」、②J.シュトラウスⅡ「ワルツ”美しく青きドナウ」、③オッフェンバック「バレエ音楽”パリの喜び”」より「カンカン」「舟歌」、④メンデルスゾーン「演奏会用序曲”フィンガルの洞窟”」、⑤ドビュッシー「交響詩”海”」です コンサートのテーマは「川から海へ」です。曲目を見れば一目瞭然ですね

 

          

 

自席は1C8列31番、センターブロック右から一つ入った席です。会場はほぼ満席 リハーサルの時は色とりどりの服装だったオケのメンバーは、上が白、下が黒の衣装で統一しています 拍手の中、コンマスの水谷晃が登場しチューニングに入ります。なぜこの日のコンマスが大谷康子でもグレヴ・ニキティンでもなく、水谷晃なのか・・・・・それは、テーマが「川から海へ」なので、水に関係する名前のコンマスを選んだからです・・・・・・ウソですけど

現田茂夫が登場し、1曲目のスメタナ「モルダウ」の演奏に入ります。冒頭、弦のピッチカートに乗って甲藤さちのフルートが湧き出る清水を表現します 清水が小川になって、次第に川幅を広げ、街を抜けて海に注ぐさまをオーケストラが色彩感豊かに表現します 小曲ながら感動的な曲です

次いでJ.シュトラウスのワルツ「美しき青きドナウ」の演奏に入ります ウィンナ・ワルツ特有の三拍子が心地よく響きます。第1ヴァイオリンと第2ヴァイオリンのズレが非常に面白く感じました

前半最後はオッフェンバック作曲ローゼンタール編曲によるバレエ音楽「パリの喜び」から「カンカン」と「舟歌」です カンカンは、「ムーラン・ルージュ」でお馴染みのフレンチ・カンカンです と言っても分からない人は、「カステラ1番、電話は2番、3時のおやつは文明堂」と言えば分かるでしょうか(古い!!)。相当賑やかな曲ですが、次の「舟歌」につなげて演奏されます。「舟歌」と言っても、「お酒はぬるめの燗がいい~、肴は焙った烏賊でいい~」の矢代亜紀ではありませんよ、そこのオトーさん 「ホフマンの舟歌」の「舟歌」です。チェロによるゆったりしたメロディーを聴いていると、ゴンドラに揺られて遊覧しているような良い気分になります   

休憩後の最初はメンデルスゾーンの演奏会用序曲「フィンガルの洞窟」です この曲は作曲者がスコットランドを訪れた時の印象を書いた曲です。ブラスバンドでよく演奏される曲ですが、やはり管弦楽で聴くのが一番です

かなり前の方の席で聴いていて今日初めて気が付いたことがあります それは、弦楽器奏者は二人一組で同じ楽譜を見るわけですが、譜面台の位置が、二人の真ん中ではないということです。それぞれのペアのうち舞台奥側の奏者の近くに置かれているのです これは譜めくりをするのが奥側の奏者であることから、その合理性が理解できます それにしても、ン十年もコンサートを聴いてきて、昨日初めて気が付いたのですから、お恥ずかしい限りです ぼくって何も知らないのね

さて今年の「フェスタサマーミューザ」の最後を飾るのはドビュッシーの交響詩「海」です。この曲は、ドビュッシーが葛飾北斎の浮世絵「神奈川沖浪裏」の版画を見てインスピレーションを得て作曲したものです まさにミューザの地元、神奈川県川崎市に最も相応しい曲の選択と言えるでしょう

 

          

 

指揮者の指示によって、チェロが増員され12人態勢になります。コントラバスは8人ですから、低音部は20人で受け持つことになります

この曲は第1楽章「海上の夜明けから正午まで」、第2楽章「波の戯れ」、第3楽章「風と海との対話」から成りますが、コンマスの水谷晃がプログラムの曲目解説にこの曲の魅力を次のように書いています

「ドビュッシーの”海”は、よく言われるように、印象派の絵画のようです。印象派の絵は、近くで見てもよくわかわず、離れて見ることで、何が描かれているのかがわかります ドビュッシーの音楽も同じです。各楽器がそれぞれ違う音型を演奏するように緻密に書かれていますが、一つの楽器だけクローズアップしても”海”には聴こえません でも、オーケストラ全体の響きとなって、ホールという空間でブレンドされてと”海”という情景が音から見えてくるのです

さすがは東京交響楽団を引っ張るコンサートマスターです コンサートだけでなく、絵画の印象派もマスターしてますね さて、演奏は弦楽器も、管楽器も、打楽器も、色彩感豊かに海の表情を描いていきますが、チェロを増員した効果は最後の「風と海との対話」に現われました 冒頭、ヴィオラを含めた低弦による唸りのような音楽が奏でられますが、この迫力こそ、指揮者が求めていた効果だったのでしょう

フィナーレは圧倒的な迫力でした。最後の音が鳴り終ると、ブラボーと拍手 がステージに押し寄せました。東響の底力を見せつけられた思いです

アンコールに、弦楽セクションだけでアイルランド民謡「ロンドンデリーの歌」が思い入れたっぷりに、そして感動的に演奏されました 

これで今年の「フェスタサマーミューザ」も終了です。私は10日間ミューザ川崎に通い、日本を代表する異なるオーケストラを聴いてきたことになりますが、猛暑と言われる今夏の良き”思い出”になることでしょう。それにしても川崎は遠い 10日間の交通費だけで9千円以上もかかってしまいました これは経済的に負担が”重いで”・・・なんちゃって

 

          

 

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