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今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

あぁ、クセナーがぁの巻

2024年10月17日 20時00分00秒 | ブログ

ローライ35のリピーターの方です。希少なクセナー40mm付きのローライ35ブラック#3381XXXを入手されて来ましたが、外観はそこそこなのに不具合個所が多すぎる。電池液漏れメーター不良、シャッター低速不良、沈胴不良、ファインダー汚れなどは良いとして、問題はレンズです。ピントリングが固着して動きません。事前の∞確認でも合致しません。

一応、他も見ておきます。電池室は液漏れの形跡があります。

 

 

トップカバーにえくぼが2つ。

 

 

一番懸念をしていた状態。恐らく、あまり経験のない方がレンズを清掃しようと前玉を抜いて(汚く拭いてあります)前玉をねじ込もうと強引に押し付けたのでしょうね。ネジの先端部が変形してガタガタの状態となっています。簡易的に計測してみると、ネジはM20 X P0.5 だと思いますが、ヘリコイドの細密ネジは入り口を合わせてねじ込むのは簡単ではありません。慣れた私たちでも慎重に入り口を探します。

拡大してみるとネジの入り口がどこだか分からないくらい削られています。SSでは修正用のダイス工具などがあったのでしょうかね。と言うことで、テッサーレンズでしたら交換部品はありますが、しばらくペンディングにします。よりによってクセナーレンズを壊さなくても・・

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最廉価盤のローライC35の巻

2024年10月14日 20時00分00秒 | ブログ

10月も中旬と言うのに日中は野外にいると暑かったですね。しかし、真夏の時期は野外にいると熱中症の危険があるの控えていましたが、昨日からカメラの作業の合間に自転車やバイクの整備をしています。一日中机に向かっているより体が軽く調子が良いです。で、ローライ35系の最廉価盤C35 #53990XXです。B35からさらに露出計を取り去ったモデルで、レンズもトリオター40mm f3.5になっています。

故障ではなく販売のためのメンテナンスをしておきます。シャッターダイヤルが重いとのご指摘がありました。このモデルに多い不具合で、極端に重い個体もありますが、この個体はそこまでではありません。のカムに潤滑が無くなると重くなります。清掃と注油をしておきます。

レンズのクリーニングをするのでシャッターユニットを本体から分離します。基本的にはローライ35と同系の設計ですが、絞りダイヤルが組み込まれています。

 

過去に分解を受けています。シャッター羽根の孔が変形しています。孔位置を調整せず強引に組み立てたようです。レンズは前玉の先端に擦り傷とコーティングの腐食があります。フィルターは装着していなかったようです。

完成したシャッターを本体に取り付けます。ファインダーの清掃をしましたが、画像がありません。

 

ヘリコイドグリスを塗布して前玉を取り付けます。

 

 

次はB35ブラックですが、こちらもシャッターダイヤルが重いとのことです。確かにC35よりは重いですが不具合と言うほどではありません。もっと固いのもあります。

 

カムには注油をして単体ではそれほ作動不良ということもありませんが、クリックのためのリン青銅のリーフスプリングのようなバネが強いようです。しかし、調整機構はなく、無理に曲げると折れる危険があるので・・

同じような原理のバネがあります。樹脂のレリーズスプリングで、ここまで設計の簡略化(コスト)をするかというところ。ファインダーは光枠を分離して清掃しておきます。

 

こちらのシャッターユニットも分解されていますよね。

 

 

こちらの方が内部の部品は良好です。レンズを清掃しておきます。

 

 

完成したシャッターユニットを本体に取り付けます。

 

 

前玉の清掃とヘリコイドグリスは硬化変質していますので入れ替えます。

 

 

C35にはない露出計ユニットです。トップカバーから外して単体にしないと半固定抵抗の調整も出来ません。で、調整しましたが、すでにセレンの起電が一杯で感度が上がりません。B35のセレンは劣化しているものが多いと思います。

巻き上げ系の部品は殆ど樹脂製です。ギヤの噛合わせタイミング白〇があります。

 

マニュアルの組図があります。

 

 

B35の露出計が不良となるとシンプルなC35の方が正解なのかもしれません。

 

 

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難儀な二眼レフの巻

2024年10月10日 17時00分00秒 | ブログ

すみません。得意ではない二眼レフをやっておりまして、余裕が無くついつい更新が出来なくなります。生存確認のため簡単にUPしておきます。ローライコードⅢぐらいになると、いくらローライと言っても部品の劣化が進んで作動は厳しくなります。レンズやシャッターのメンテナンスを終えて巻上げ部分で問題です。

状態の良くない個体に多い、巻き止が解除されないという不具合です。毎回症状が出るわけではなく、「良いかなぁ」と思っているとカツッとロックする厄介な故障です。関連部分を一つづつ手を入れていくしかありません。まずは巻き上げダイヤルの逆転防止機構から。

いろいろ見て行くと、やはりカウンターギヤに内蔵されている真鍮ギヤの動きですね。内部に入っているコイルばねは何度も分解を受けていて二か所で伸びています。その他、真鍮ギヤの表面腐食のため回転抵抗が大きくなっているとか、塗布されている油が古くなって粘っているとか、考えられる部分を改善していきます。結果、ミスは無くなりましたが、再発の可能性が皆無なわけではないのが難しいところ。

問題は、樹脂のロック解除ボタンです。何度も分解を受けてるのと樹脂が古いのでネジ孔の外周が欠損しています。ここは強いバネでテンションが掛かっていますのでこのままネジ締めても持ちません。

仕方が無いので欠損部分を成形しネジ孔を開けました。非常に手間が掛かる作業です。

 

オリジナル修理で耐たないことを考慮して、簡易型で複製を作ってみました。ネジ孔はまだ加工していません。今回はオリジナルを使用します。

 

これはローライコードⅤ型ですが、チャージがロックしないのとそれに伴って巻き止ロックが外れません。

 

シンクロコンパーですが、ピンセット先の係止めレバーの動きが悪く作動を止められません。左の頭の大きなネジは偏芯ネジなので不用意にいじれません。右端のバネが弱いのと作動に負荷があるのでメンテナンスをします。

巻き止ロックはレバーを作動させると正常に作用します。これはシャッターの問題です。

 

組立は完成しましたが、前面のシボ革の繊維質が風化していてピンセットで摘まむとグズグズに崩れてしまいます。

 

皮は有機物ですから、保管が悪いとこのように劣化してしまうのでしょう。その点ではビニール製の方が始末が良いです。あいにくアキアサヒ製が切れていて手配中ですから、到着しましたら貼ることにします。

ご厚意により速い便で送って頂き届きました。革の種類としては「ブラックシュリンプ」を選択することになりますがオリジナルより少しシボが大きい感じ。寸法的には適正で、どなたでも簡単に貼ることが出来ますね。Ⅴ型は小さな穴が沢山あるので自作は面倒。いつも利用させていただいています。

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片足棺桶のPEN-FVの巻

2024年10月07日 13時00分00秒 | ブログ

露出を落とさないと写らないので・・カメラ店様から来る個体は現役機以外に、片足が棺桶に入っているような長期放置機もあります。個体数の限られたカメラですから、不動機の掘り起しによって個体数を増やし市場に出回るので、それも意味のあることだと思います。PEN-FVの発売は1967年2月のようですが、この個体#1188XX (1968年1月製)は改良前のユニットが使われている前期型ということでしょうか。長期放置でトップカバーも腐食が始まっています。もちろん全く動きません。

カバーを開けると分解歴は無いようですね。それほど使われずに古くなって放置されたという感じです。

 

リターンミラーユニットのMバネカケの停止位置が変です。

 

 

一度、ユニットを分離して不具合を確認しました。不動の原因はほぼ分かりましたが、頭を黒塗装したM1.4X1.5のネジが出て来ました。私はFTに使われているネジを見ればどこのネジかは分かりますがFTには使われていないネジです。

頭をつや消し塗装されていることから「あっ、あそこだ」付属の38mmのアトカバーのネジだ。やっぱり。撮影中にミラーボックス内に落ちたのでしょう。

 

にかく汚れ放題なのでダイカストから完全に洗浄して組み立てて行きます。この頃はスプールユニットを留めるネジが真鍮製で頭の大きなスリ割ネジのため、分解はネジロックが利いているので無理に緩めると簡単に折れてしまいます。

PEN-FとPEN-FTの初期までの№2プリズムは保管状態が悪いと腐食します。

 

 

メンテナンスをしたリターンミラーユニットを組み込んだ前板関係を本体に組み込みます。

 

全反射ミラーも腐食しています。新品と交換したいところですがプリズムにも腐食がありますので清掃で再使用をします。

 

セルフユニットも変更前のタイプが付いています。巻き上げた時の感触は良くありませんが、変更後のユニットのようにレバーのロックが掛からないという不具合はありません。この個体もレバーが水平ではないので調整をしておきます。

組立は完成。ファインダーのピント調整やストロボ発光テストをします。

 

 

同じ保管状態で付いていた38mmをオーバーホールします。各レンズの曇りと絞り羽根に油が回っています。未分解かと思いましたが、ネジ部に傷があり分解されていますね。この個体#2729XXは変更前の設計です。

無理やり起こして現役復帰させたようなものかな。これで現存数が増えました。

 

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沈胴ボタンがぁ、ローライ35の巻

2024年10月05日 19時00分00秒 | ブログ

カメラ店様からこんなのが来ました。ローライ35ブラックですが、かなり乱暴に使われています。沈胴ボタンの座がトップカバーとのカシメが外れて脱落しています。

 

どうも自然に外れたとは思えませんね。座もヤスリのようなもので削られています。何をしたの?? 材質がアルミですし、すでにカシメしろもありませんから再カシメでは耐ちません。接着で補強をするようですね。

 

ここまででなくとも、沈胴ボタンが外れた修理も来ますが、まずボタン復帰用のバネとワッシャーが付いて来ませんね。恐らくバネが入っていたことも気が付かれていないのでしょう。

ファインダーも汚れていますので清掃をしておきました。ケースの一部が取り去られている景色は過去にも見た記憶がありますが・・

 

このバネがまずついてこない部品です。沈胴ボタンは工場での組立時に強く締められているので普通は緩みませんが、中には緩んで脱落するケースもあります。少しづつ緩んで抜けて来ますので脱落する前に気が付くようにして欲しいのです。

こちらもサービスで露出計の調整をしているとメーターのオレンジ針が絞りダイヤルに連動しません。う~ん、限定修理なんだけどね。画像は正規の位置に戻してありますが、赤点の位置にレバーが外れる場合があります。

このように連動して動きます。

 

 

どうしてこのようになったのかは不明ですが、メーカーサービスであれば、新しい座を再カシメかトップカバーASSYの交換しか受けないでしょうね。

 

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