今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

ズイコー38mm f2.8の巻

2019年08月20日 19時26分08秒 | ブログ

たま~に見ます標準レンズの38mm f2.8ですけど、カメラセット用の廉価版ですかね。カメラ店様からのご依頼ですけど、ずいぶんときれいな個体です。しかし、絞り羽根がスムーズに復帰しないとのことです。

 

このようなケースでは絞り羽根に油が回っていることが多いのですが、この個体の羽根には油は見えません。しかし、分解をして行くとやはりヘリコイドグリスが流化した油がありますね。

 

絞りユニットにも油が回っています。

 

 

絞りレバーを動かしてみると・・やはり引っ掛かりがありますね。羽根に錆も出ています。

 

 

基本的にはf1.8と同じ構造になっています。すべて分解洗浄をしてスムーズに作動するように調整します。

 

 

後玉もf1.8よりかなり小径です。レンズ自体はきれいです。

 

 

前群側。前玉の方が小ささを感じます。

 

 

f2.8は希少性から相場が上がっているとお聞きしました。絞りの作動もスムーズになりました。

 

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RECTAFLEXのレンズの巻

2019年08月18日 17時21分22秒 | ブログ

お盆の連休も終わりましたね。私はどこにも出かける予定は無くて、数日部屋の片づけなどをしていました。いつの間にか増えた部品などを整理して腕時計の組立スペースを作って作業の効率化を図ろうと思います。で、ご常連さんからイタリアのRECTAFLEXがチェックで来ていました。初期の一眼レフで、レリーズボタンを押し込むにしたがって徐々にリターンミラーが上がって、レリーズボタンを離すとリターミラーが戻る。その間はファインダーはブラックアウトになる機構。作りもしっかりとしていて中々魅力的なカメラです。点検の結果、特に不具合はありませんのでレンズ類を清掃しておきます。接眼レンズはすでに何回も分解を受けています。多少のカビとチリに見えますが、レンズの傷かも知れません。

すべて分解をして清掃していきます。ナットの他にCリングが入ってレンズのガタツキを防止する対策がされています。

 

 

何度も分解を受けているレンズはチリに見える細かな傷がありますが、ほどほどきれいになりました。

 

 

本体に取り付けます。

 

 

付属レンズは種類があるようですが、Rectaflex-Heligon f=50mm 1.9となっています。絞り羽根は10枚の多角形絞りですが、羽根に大量の油が付着しています。多角形絞りの場合、完全に羽根の油を脱脂してしまうと羽根同士の噛み込みが発生することがあるので、注意して清掃します。

 

マウントは独自のレクタフレックスマウントでレンズ交換可能。シャッタースピードは1/1300があるタイプですね。

 

 

絞り羽根もきれいになっています。少し大型のボディーですがバルナックにペンタが付いたようなカメラで、デザインも私の好きなタイプです。

 

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PEN-FTスプロケット交換の巻

2019年08月13日 19時37分53秒 | ブログ

お盆休みで働いているのは私ぐらいかなぁ? ご依頼の方々にメールを差し上げてもご返事が無いので、海外旅行などに行ってるんでしょうね。羨ましいなぁ・・

PEN-FT #1770XXと前中期辺りの個体ですけどね。フィルムのコマ送り不良で限定修理です。Fの頃はスプロケットはアルミ製でしたので、トラブルは無かったのですが、FTになって樹脂製となってからは強度不足で摩耗によりクラッチが滑ってしまうのです。特にこの17万台付近までの個体はスプロケット上部にウェーブワッシャーが入らないので、スプロケットが上下に遊んでしまうため、余計にクラッチが滑りやすいのです。まぁ、それを防止するための対策でウェーブワッシャーを追加するようになったのでしょう。ウェーブワッシャーを追加して組みます。ご自身のFTを調べてみてください。

それは良いとして、この個体はその他に色々問題があります。今回のように限定修理でお受けしてい場合は、それ以外に対応する工数を見ていませんのでつらいです。まず、吊環のネジが緩んでいてグラグラです。ネジロックで締め直しておきます。

 

プリズムも曇っていますね。見なかったことに・・出来ないですね。

 

 

当初、ハーフミラーは再使用の予定でしたが、メッキが無くなっていてこれは交換させて頂きました。

 

 

接眼プリズムを清掃のため接眼枠のネジを緩めると・・2つに割れていました。接着して取り付けます。

 

 

セルフタイマーレバーがお辞儀をしているので調整をしようとすると・・クラッチギヤのカシメが緩んでいて空転しています。これは交換が必要のためこのまま組んでおきますよ。ヤレヤレ色々ある個体でした。

 

で、作業終了で発送の梱包を終えていましたが、セルフタイマーも直して欲しい。とのご連絡がありましてまた開梱しました。それでは今回は不良部品の交換ではなく、ストックから同時期の変更前ユニットと交換します。

 

基本的に消耗の少ない良い個体でしたが、分解をしてみると色々な問題が出て来るものです。その場合限定修理では対応できない場合もありますので、なるべくオーバーホールでお受けしたいのです。

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書いてもいいのかなぁ参考PEN 初期の巻

2019年08月08日 21時46分21秒 | ブログ

続いて遅れて来たペンマニアさんから期待の三光PEN初期ですが。。#1003XXと極初期の個体にはなっているのですけどね。書いても良いですからね・・

 

 

極初期の個体はFlashの色入れが白なんですね。しかし、三光PENの場合はいろいろ作り物も多くて、発売前に営業マンが持ち歩いてカメラ店様に見て頂いたダミー機というものありましてね。じつは昔に頼まれまして、それを実用機に改造したこともあるんです。今頃独り歩きしているんだろうなぁとか思うと少し罪の意識もあったりして・・

 

で、この個体はそうではなくて、側はオリジナルと思いますが中身が違うような気がしてならないのです。シュー下のネジは頭が折れていますね。普通はネジ部だけ回転させて取り出すのですが、この個体の場合ビクともしません。ルーペで観察すると接着剤を併用されているような、或はネジピッチの違うネジを無理にねじ込まれているのかも知れません。

オーナーさんには申し訳ありませんが、嫌な予感が当たりましたね。PENの発売は1959年10月(昭和34年)のようですが、このシャッターには9.12の捺印が、一見整合性がありそうですが、これは39.12と捺印されていたはずで、1964年製のシャッターです。そもそも三光の頃は、このような形式の捺印ではなく、8とか5のひと数字が捺印されているだけです。シャッターを分離する時に、4本の留めネジの頭が大きい(三光は小さい)ので、これは違うと思いました。

ファインダーも違いますね。三光の頃の金型はの部分は段付きになっていないです。また、対物レンズもガラス製(三光は樹脂製)になっています。

 

 

この通りです。対物レンズも四角が墨塗りされていますのでガラスでも初期の物ではありません。

 

 

問題のM1.7ネジです。ダイカストと一体になっていて取り出すことが出来ません。

 

 

仕方ありませんのでドリルで削ってからタップを立てました。

 

 

裏蓋の内側に錆が出ていますので先に錆落としをしてから洗浄します。

 

 

全体の洗浄をしました。カム板(シャツターリング)は交換されたシャッターユニットに付いていたものに交換されたのでしょう。きれい過ぎます。初期はCOPAL-XXはないです。

 

 

今日は外出して帰宅後は腕時計をやったので暑さ疲れのため作業は進みません。洗浄した裏蓋の錆部分のタッチアップと本体2軸の組立まで。

 

 

 シャッターは何故交換されたんでしょう? 不調でしたら直せば良いのにね。

 

 

初期のレリーズボタンはストッパーが付いていますね。

 

 

レンズを清掃して取り付けますが、この頃のヘリコイドネジはピッチが細かいのでグリスは柔らかなものを使用します。

 

 

シャッタースピードの指標が赤になっていますが、本来は黒だと思います。ファインダーを研磨しましたのでヤケにきれいになってしまいました。本来この頃のファインダーは、角が丸くてシャープな感じではありません。そのうち適合する部品を見つけて交換したら良いです。みなさん夏休みのようですから、私も少しお休みをいただくかも知れません。

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レンズ交換のPEN-S3.5の巻

2019年08月06日 21時37分45秒 | ブログ

毎日暑いしさ。段々と体調が悪くなって来ますね。作業はやりますけど、ボチボチのペースになりますのでご了承ください。で、オーナーさんから交換用のレンズが付いて来たPEN-S3.5です。レンズに傷があるんですね。トップカバーを開けて見ると・・過去の分解時にファインダーのダストカバーのベロの部分が何故か開いてありますね。意味分かりません?

たぶん書くことも無い個体だと思います。シャッターはてっきり分解されていると思いましたが未分解でした。よく動いていましたね。しかも、内部には油が回っています。油の出るシャッターではないのですけどね。

 

暑いのであまり画像は撮っていません。シャッターは無事完成。洗浄をしておいた本体を組み立てて行きます。

 

 

今回は進捗が早い? 途中の画像を撮っていないだけです。怪しい分解を受けていたファインダーの清掃とレンズの接着、樹脂製の本体を研磨してあります。本体側も完成。

 

 

巻き戻し軸は改良型でカラーが入るタイプですが、トップカバーの留めネジを締めてもクルクルと回転してしまいます。これでは巻き戻し軸にダンパーグリスを塗布してもダンパーが利かないのです。ここには調整用のワッシャーが入っていたはずです。途中の分解で無くして来たのでしょう。追加しておきます。

 

レンズは良品と交換して組みます。

 

 

駒数カニメネジは交換ご希望ですので当方オリジナル新品と交換しました。

 

 

で、シャキっと美品になりましたね。シャッターの調子も非常の良好です。生産としてはトップカバーサイドのネジがスリ割ネジの初期型です。#1043XXは1964年12月製造になります。