ベテランさんが初期型のPEN-FT #1173XXを入手して来ましたよ。初期型としては使用感も少なく、非常に程度はよろしいですが、ケチをつけるようで申し訳ありませんが、裏蓋にちょっと疑問があるんですね。フィルムローラーの右に見えるボッチですね。このボッチは初期型には無いのですね。ということは裏蓋が中期以降の部品と交換されているか、トップカバーが初期型に付け替えなのか?? しかし、外観から推測できる特徴では、圧板のバネ板が黒メッキ処理ですね。その他、スプロケット上部にウェーブワッシャーが無し、電池蓋が初期型のもの等々から、やはり本体は製造番号とおりの初期型で、裏蓋が換えられている可能性がありますね。本体を分解してみれば分かることですが、果たして・・・
前面を見ます。巻き戻しダイヤルはローレットタイプで初期型としてはよろしい。しかし、セルフタイマーが変ですね。初期型であれば、巻き上げた時に「ジッジッジッ」という感触があるはずですが、この個体のそれは中期以降に変更されたローラークラッチタイプです。レバーがお辞儀をしていますが、これは角度調整ビスが緩んでもなりますが、どうも中期以降の別個体から移植された可能性がありますね。どうも、裏蓋だけ単純に交換された個体という訳ではないようです。じゃ、早く開けろって? 今日は疲れたので明日の作業とします。
シンクロターミナルのリード線が断線したままですね。一度もあけていなければこれはない。観察すると、マウントのピンセットの部分にキズがありますね。これは、マウントを分離せずにセルフタイマー留めビスを外したためにドライバーが接触した跡です。と言うことはセルフタイマーは交換されていることに間違いないでしょう。確かにこれでは整備性が悪いため、30万代後期になってビス孔の位置を僅かにマウントから離して、マウントを外さなくともセルフタイマーを分離出切るようになります。ちょっと遅い変更です。よって、セルフタイマー本体の取り付けビス孔は変更の前後では、位置が異なるのです。
一見、後から交換されたようなリード線はこれでよろしい。駒数ユニットは旧型、メーターユニットは極初期の半固定抵抗をやめて、同じサイズの基板に固定抵抗を半田付けしていた頃のもの。半固定抵抗では調整が取り切らなかったのでは? 裏蓋のヒンジピンは、ピンセット先で押し出したキズがありますので、裏蓋を交換されているのに間違いないでしょう。私の資料からして#1173XXは1967-3月製は整合性はあります。#117956が1967-2月製など、製造番号と製造月はかなり前後しており、車の車台番号のように正しく製造順に並んでいません。逆に、同じ製造月で調べると#132921なんて言う個体も出現して来るので、あまり当てにはなりません。今日は息子が熱が下がらず、病院に連れて行ったので作業は出来ませんでした。因みにインフルエンザでしたので、みなさんもお気をつけくださいね。明日は、私が通院日のため帰宅後の作業となります。
シャッター本体は、少しテンションが低めでしたが、磨耗などは無く、初期型としては大変状態はよろしいと思います。裏蓋は私の在庫から初期型用に交換しておきます。
ハーフミラーを拭き上げしたところ。オリジナルと思いますが、最初期型ではないですね。中央に剥離個所はありますが、こちらも大変状態が良く、国内保管では難しいと思いますので、北米などからの里帰り機の可能性も有ると思います。今回はこのまま使用します。
接眼プリズムのコーティングも劣化が殆ど無い。国内ものとしたら驚異的です。ここまで来て換えない訳にも行かないですね。セルフタイマーは左の初期型を整備して使う予定です。
セルフタイマーにセットされていたセルフレバーでは、角度調整が取り切れませんでしたので、調整の取れるレバーを選択して交換してあります。一度オリジナルを換えられてしまうと、正規の状態に戻すためには労力が必要です。この個体は、「部品取りとして入手された」そうですが、あまりに程度が良いため生き残れた幸運に個体ですね。経緯は不明ですが、里帰り機の裏蓋とセルフタイマーに問題があって、国内で部品を所有されているプロの方が仕上げた個体ではないかとも思います。初期型としては、すばらしく程度の良い個体で、資料的価値も大きいですね。
http://www6.ocn.ne.jp/~tomys800/