今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
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またまたPEN-FT(B)をやるよの巻

2019年02月15日 19時25分50秒 | ブログ

今日の関東地方は寒かったです。午前中は車で外回りの仕事で午後から自転車で近くの医院のはしご。これで風邪を引いたらシャレになりませんね。で、続いてPEN-FTブラックモデルをやります。山形のご常連さんが念願のブラックモデルを入手されました。しかし、一つ前にFT(B)をやったばかりなので無意識に比較してしまいますね。ちょっと残念なコンディションかも知れません。でも、なるべくリカバリーします。ボトムプレートには打痕があります。これは修正します。それと酸っぱい臭いがします。これは電池の液漏れを起こしているのです。

あら~、本当は有害な漏れ液には触りたくないのですが、そんなことも言ってられません。

 

セルフタイマーボタンも固着していて分離出来ません。製造ロットによって肩の部分のRを大きく取ってあるものがあって、レンチが滑って回せないのです。裏技で分離しますけど・・

 

カメラ虫の抜け殻がありますね。

 

 

モルトを剥離しましたら劣化した塗装は無くなりました。この個体はかなり使い込まれてからの放置期間が長かったとみえて、塗装が剥離していた丁番と裏蓋が激しく錆びています。丁番はタッチアップと思いましたが、塗る面積の方が多いので、全体のリペイントの方が早いです。

 

フィルムローラーにも腐食が出ています。相当長期に湿気の多いところに放置されていたのでしょうね。

 

丁番はリペイント、裏蓋はタッチアップです。

 

 

セットされていた絶縁座(中央上)は電池液に侵されて溶けてしまい、絶縁負荷を掛けると導通をしてしまうので下の良品と交換します。リード線は新製しておきます。

 

前回のFTと同様ブレーキナットが緩んでいます。この個体#2828XXのナットは鉄製で、前回の個体25万台は真鍮製でしたので、メーカーとしては緩みに対しての対策を試行錯誤していたように見えます。結果的にどちらの材質でも緩んでしまうということです。

かなり乱暴に扱われた個体ですが、圧板やチャージギヤの摩耗からはあまりシャッターは切られていないようです。巻上げもスムーズでかなり良い機械になりました。しかし、保管環境の悪さから露出計の感度はかなり低下していました。電子部品に湿気は大敵です。ハーフミラーの腐食も普通の28万台より悪いです。交換のため分離しようとすると外れません。ネジの緩み止めが内部に浸透しています。

とにかくこの個体は裏蓋側を無造作に置いていたようで、裏蓋の塗装や接眼枠に傷が多いです。そのまま使おうかと思いましたが軽く研磨しておきます。

 

シャッターダイヤルの色入れも色が退色しています。

 

 

シャッターダイヤルの彫刻は非常に浅く、組立後のやり直しは非常に厄介です。・ASA B を入れ直しています。

 

フランジバックの調整用ワッシャーが入っている個体がありますが、前板の中央付近が引ける傾向にあって、マウントの左側に集中しています。軽微な調整の場合は上側(11時)一か所ですが、この個体0.04mmのワッシャーが上に1枚、下に2枚入っています。ワッシャーの厚みも1種類ではありませんので、入っていた場所を正確に記録しておく必要があります。

白の色入れ塗料も完全に劣化をして艶消しや下地が透けて見えます。入れ直しておきます。

 

まぁ、こんな感じ。錆び錆びよりマシでしょ。

 

 

機械はそれほど摩耗していないのに巻上げ部の塗装剥離が進んでいるのがミステリー。フィルムレールは磨いてあります。

 

傷のダメージが裏側に集中していて、表側はそれほどでもありません。まぁ、道具ですから良い写真が撮れればカメラに傷が付こうが問題はないとも言えますが、やはり物を乱暴に扱う人と愛情を持って丁寧に扱う人とでは、おのずとコンデイションが変わって来ますね。腕時計でも同じことが言えて、「どうしてここまで傷を付けられるか」と思う時計と出会うこともあります。愛情を持って接しましょうよ。

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