奇しくも前回のFT(B)と同月の生産#3136XX(1969年9月製)の個体です。セルフタイマーが途中で止まっていますけど、オーナーさんがタイマーのみ分解されたそうですが、巻き上げが固着して動かないことから、タイマー不具合の原因は他にあると見ました。ストロボの発光が不良とのことですので、接点が折れて悪さをしているのではないか? と仮説を立てます。
ほらね。Xシンクロ接点が折れています。前回M接点は殆ど折れないと書きましたが、X接点はシャッターのテンションシャフトに直接打撃されますので折れるものがあります。半田付けで直すか交換をするかです。
X接点が折れています。前回の個体と同じ月の生産ですので、あるいは部品の品質に問題があったのかも知れませんが今となってはね。半田付けで修理も可能ですが、今回は別部品を使います。
留めネジのガタ量の範囲で接点の隙間は大きく変化しますが、工場での組立データは分かりませんので、他の個体を参考に調整します。接点がテンションシャフトに近すぎるとシャッター幕が途中で止まってしまいます。次の図の「5908」「5889」が接点を叩きます。
問題はハーフミラーです。オーナーさんは再使用ご希望ですが、カビもあって拭き上げをするとメッキが薄くなってしまう危険があります。私としては交換をお勧めしますが、さでどうしたものか・・
ハーフミラーは清掃で再使用としました。次はリターンミラーです。こちらも曇りが進んでいます。特に周辺はメッキが劣化しています。こちらも清掃で対応します。
これで一通りの作業は終わりましたね。洗浄したトップカバーを付けて終了のはずが・・
ストロボが発光しません。直接の原因である接点折れは解決したはずなのに・・。過去にターミナルとリード線をやり直されていて、トップカバーを締め込むと電気的にショートを起こしています。
その他、セルフタイマーのロック不調の改善をして終了。巻き戻しボタンをセットしてアンダーカバーを取り付けます。
今回はハーフミラーは交換せず、接眼枠を交換してあります。実用派らしく、外観の向こう傷は前回の個体より多いですが、まだまだ現役で頑張ってくれるでしょう。
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