九州のご常連さんからセイコー・ダイバー6105-8110が来ました。セイコーの二代目のダイバーということでセカンドダイバーと言われています。このモデルは冒険家の故・植村直巳氏が愛用したことから植村モデルとも呼ばれる150mダイバーです。キャリバーは6105B(前期型は6105A)で、基礎キャリバーは6106Aになります。非常に人気の高いモデルで、ヤフオクなどでは20万円を超える出品も見受けられます。とても手が届かない時計ですね。ご依頼はオーバーホールとケース研磨、風防、竜頭、針などの交換です。分解してみると・・文字盤がきれい過ぎるようですので、すでにリプロパーツと交換されているようです。
ケースが平べったくて特徴がありますね。私も1つ欲しいです。機械の精度ですが、全然ダメですね。片振りが大きく、完全に油切れのようです。
香箱車の真のグリスが完全に乾いて固着しています。分解して洗浄、組み立てをします。
このような人気モデルは、何度も分解を受けているのが普通ですが、意外にこの個体は程度は良くて、過去に一度程度のオーバーホールですね。裏を返せば一度しかメンテナンスをせずに使い続けたということです。
機械は手巻き機構も無いので、組立はそれほど複雑ではありません。秒針停止ハック機能はあります。
テンプを載せて動き出しました。注油をします。
ひっくり返し。カレンダー機構を組み立てます。
自動巻き機構は載せずに、タイムグラファーで測定、調整をして行きます。中々良くなって来ましたね。
ダイバー系は高価なので良く知りませんが、文字板の裏側です。リプロだと思うのですけどね。
3時ヨコに薄いすり傷がありましたが、蓄光も利いていますからリプロでしょう。針もリプロを使います。新品の針はメッキに傷をつけないように注意します。最後に曇りを拭いておしまい。
たぶん、この針はヤフオクで海外から送ってくれる日本人の方の製作かと思いますが(入っていたケースから)他の針も品質は悪くはありませんね。しかし、オリジナルと比較すると針の両肩が折り曲げられているのですが、そのエッジがシャープではありません。抜き型の精度か、後加工のエッジ研磨を省略されているものか? まぁ、この辺がリプロパーツの限界なのですよ。
風防ガラスも傷だらけでしたので交換です。こちらは、たぶん当時物の社外品だと思います。腕時計の風防は、純正以外にも、適合する風防を作っていたメーカーさんがありました。あとは、回転ベゼルを取り付けます。
完成したケースに機械をケーシングして自動巻き機構を載せます。
現行のセイコー製ウレタンベルトを取付けて完成です。ケースの研磨は、なるべくオリジナルのデザインカットを損なわないように最小限の研磨としてあります。特徴的なケース形状ですが、同心円にヘアラインを入れるのが非常に難しいところです。海外でもファンの多いモデル。欲しいですね。