オリンパスの〇〇さんからご紹介を頂きました修理機が届きました。ご依頼者様のお父様が購入されたPEN-FTとPEN-FVです。当時、ブラックのFTとFVを購入されていたとは、かなりマニアさんですね。存在を忘れ去られていたカメラが陽の目を見たという幸運なカメラですが、2台とも致命的なダメージはありませんが、長期放置のため、色々と問題は抱えていますね。まずは、PEN-FTから作業に掛かりましょう。
シリアル№ #2599XXは1968-12月製の個体。ハーフミラーは最後期とは異なっていて、保管が悪いとこのように腐食が進みます。露出計は不動ですが、Cdsは生きているので復活可能と思います。その他、稀に巻上げの逆転があります。
メンテナンスや清掃をされていない個体ですので、汚れは激しい方です。すべて洗浄をして組み立てをして行きます。
電池室は配線のリード線が劣化をして導通不良の状態でしたので、すべてやり直します。遮光モルトを貼ってセル受けを載せます。
新しいリード線を半田付けしました。◎のセルカバーは無くしていますね。
洗浄したシャッターユニットには特に問題はありません。チャージギヤの摩耗も軽微です。ただし、↑のチャージギヤの逆止クラッチが固着しており、小刻みに巻き上げると逆転してしまいます。
シャッターユニットを本体に搭載しました。
プリズムとスクリーンを拭き上げて組み込みました。きれいですね。
前板関係をドッキングします。
ファインダーハウジングに新しいモルトを貼って取り付けます。
露出メーターは指針の動きが固着気味のため修正しました。ハーフミラーは新品と交換です。
メカ組立の最後は巻上げレバーカバーを取付けて完了です。
この個体もアクセサリーシューを取り付けたままにしたため、色入れの白塗料が変質してしまっていますね。因みに、アイビース枠を留めるネジに工場と異なるネジロックが塗布されていました。アクセサリーシューの取付で縁が割れて交換をしたものと思われます。
新しく色入れをやり直しておきました。
この個体(#2599XX)は殆どの部分について改良された仕様となっている頃ですが、セルフタイマーの取付け(保持)については試行錯誤を続けています。この個体では、セルフタイマーの地板にタップを切ってネジを通し、先端部をダイカスト本体に突き当ててユニットを垂直に固定する方法が採られています。この後、ダイカストの形状を変更して(手前側に▢に張り出す)無調整で地板が当たり固定する方法に変わっていきます。当然不要となる地板のタップ穴とネジは無くなります。
付属の38mmも内部は埃の混入が激しくグリスの変質で絞り羽根の作動やピントリングの回転重いなどの症状がありましたが、未分解の個体でした。しかし、後玉2枚の内側には、ご覧のような傷があります。この程度は良品限度としていたのでしょうかね?
レリーズボタンや圧板のすれからして、かなり使用された個体と推測しますが、幸い、シャッターユニットやチャージギヤの摩耗は少なかったですね。巻き上げ感も改善して、露出計も復活していますが、果たして新品の時の感触に戻っているかは分かりません。新品の時をご存じのお父様がご健在ですから、感想をお聞きしたいところです。ちょっと怖い気もしますけどね。