まずはレチナⅡcです。販売前の整備ですから特にお書きすることも無いのですが、普及カメラといっても流石にドイツ製。良い作りのカメラですね。シャッター粘り、低速不調、セルフタイマー不調の改善とファインダーの清掃をします。LV表示のため、カム板の他に絞りリングが入って面倒な分解です。シャッター、絞り羽根の洗浄とスローガバナー、セルフタイマーを分離して洗浄注油をします。
レチナは巻き上げレバーが出っ張っているので背面に置くとレバーが傷だらけになりますね。
ヤシカフレックス。C型になるのかな? 知りません。程度の良い革ケース付です。
こちらもシャッター不調とセルフタイマー不調です。前面のシボ革はきれいでしたので、なるべく再使用としたいところでしたが、全く剥がれずアルコールにも溶けてしまうという状態。二眼レフはなぜこうなんでしょうね。断腸の思いで削り落としてカバーを開けます。シャッターはコパルですね。
非常にシンプルな構造のシャッターです。上側のスローガバナーと下側のセルフタイマーの洗浄注油とシャッターの洗浄脱脂をします。
セルフタイマーの方がご機嫌斜めでやっと調子を取り戻しました。
Yashikor 80mm f3.5 レンズを清掃して取り付けます。あとはファインダーの清掃とシボ革の製作かぁ。1台きりに型紙を作るのも面倒です。どこかでシボ革市販していないかしら・・
ファインダーとレンズを清掃します。ピントグラスは清掃で問題ありませんが、反射スクリーンは殆ど腐食していて反射率が落ちています。
これより程度の悪い個体も沢山あります。ピントの検出には問題がないため今回は洗浄で再使用とします。
二眼レフのシボ革はきれいに剥がれるものはまずありません。この個体はアルコールにも溶けてしまう状態でした。金属へらなどで削ると本体の黒アルマイトが傷だらけになるため、溶かしながら慎重に取り除きました。
二眼レフの修理で一番苦手で時間が掛かるのがシボ革の製作。だるまさん形とシャッターボダンやシューがありますので、僅かな寸法違いでもピッタリと貼ることが出来ません。紙の型紙を何度も修正しながら合わせて行きます。
型紙は出来上がったのですが、クラシックカメラ用のシボ革を製作されているAki-Asahi様からご提供頂けましたので、手によるカットよりレーザーカットの方が正確できれいなため、そちらを使用することにしました。左がレーザーカット品で、真ん中のだるまさんを私が作った型紙に嵌めてみるとドンピタでした。
取付けネジの部分が低いのでワッシャーがスペーサーとして入っていましたので同様にセットします。
お~、流石に正確です。このようなシャッターボタンやストロボターミナルなどの◯位置は、僅かにずれていても非常に目立ちます。
折角程度の良い革ケースですが、年代物ですのでオイルを引いておかないと切れたりします。オイル塗布後ブラッシングをしておきます。
シボ革の雰囲気は悪くないですね。他のパターンでも製作して頂けるようです。二眼レフのシボ革はきれいに剥離できることはまず無理で、シャッターの修理をする場合はどうしても破壊しなければなりませんので、現在は前面のシボ革がオリジナルでないことは評価に影響はないようです。この時点ではシャッターボダンのリングネジが付いていませんがレンズキャップも取り付けて完了です。
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