今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
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USN BUSHIPSの巻

2018年06月20日 20時48分12秒 | ブログ

最近は忙しくて自分のセイコー・スピードタイマーの部品は揃えてあるのですが、なかなか手が付きません。ご常連さんから興味深い腕時計が来ていますので久しぶりに腕時計をやります。この時計はWW2の頃に米海軍の特殊部隊が機雷などの除去をする潜水爆破部隊が使用していたモデルとのことですが、ケースがきれいで時代がありませんね。オーナーさんによると、近年、アメリカでケースが復刻をされたようで、中身の機械は他のモデルにも使われていた本物を組み込んで仕上げた。ということのようです。当時ケースは「STAR WATHCH CASE」というメーカーが製造し、HAMILTONとELGINが製造を担当したようです。防水のための二重竜頭がかっこ良いですね。オリジナルはガラス風防とケースの密閉に鉛を溶かし込んであるとのことですが、復刻版は風防はガラスですが鉛は使われていないようです。オリジナルは非常に高価ですので復刻版で雰囲気を楽しみたいとのことですが、この復刻版でもかなりの価格になるようです。アマゾンでは、クォーツユニットを使った復刻版が販売されています。https://amzn.to/2xVTPY2

上はHAMILTON Cal 748搭載で下はELGIN Cal 539を搭載しています。二重竜頭の形状が違いますが、この差はオリジナルなのかは知りません。キャリバーは特殊なものではなく、普通に販売されていたモデルにも使われていますね。ダイバーウォッチの元祖のような時計ですから、短時間の潜水時間が分かれば良いわけですね。

2つ共アメリカから取寄せたとのことですが、タイムグラファーに掛けるとデータ的には良好とは言えません。まぁ、歩度がゼンマイの巻き量によって大きく変化をしても、一日(24時間)経過した時に大きく外れなければ良い。という感じです。まず、HAMILTON Cal 748から始めますが、1950年代前半の機械のようですから精度的にきびしいのは当たり前というところでしょう。U.S.Aと彫刻されていますから、まだHAMILTONがアメリカで生産されているころですね。

 

 HAMILTON 748は部品に不良が見つかりましたので、部品をアメリカから取寄せ中のためELGIN 539をやります。こちらも同時代の機械としては、非常に良い作りです。しかし、画像には写りませんが繊維片が付着して出車が少し歪んで回っています。事前の測定では振り角が出ず、非常に重い動きです。

 すべて分解洗浄をして組み立てて行きます。

 

 

画像を撮り忘れましたが、特殊な板バネを使用したハック機構を備えています。しかし、直径約23mmの小さな機械ですから出車と輪列の組みにくいですね。

 

テンプはブレゲヒゲが使われています。姿勢差に強い方式と言われていますね。オーバーホールでテンプの振り角が230°と大幅に改善しています。

 

裏押エの厚みが厚いですね。加工も丁寧です。

 

 

文字盤と針は複製品なのでしょう。針は変色したように塗ってあります。

 

 

オリジナルの構造や作りを知りませんが、複製としてはしっかりと作られていますね。

 

内面の作り。

 

 

ねじ込み式竜頭ガードにもパッキンが入って防水性は高そうです。

 

 

機械をケーシングします。

 

 

インナーキャップ付き、10角形の対角約25mm(25.4mm=1㌅?)と小さな裏蓋。

 

 

これで完成です。竜頭キャップが特徴的なモデルですね。やはりカーキのベルトが似合うでしょう。現代のダイバーウォッチのように大型ではないので、日常使いにも良さそうです。

 

HAMILTON 748の部品が到着しましたので組んでいます。小さな機械に特異な歯車は非常に組みにくいですね。

 

特に輪列の受ケと地板との嵌合がこの時代の特徴で非常に固く、歯車のホゾが正しくホゾ穴に合っているのかが掴みづらくため、慎重な作業をしなければなりません。オリジナルでないネジが使われているところ多数でしたので部品取りから交換をして組んであります。

日ノ裏側はオーソドックスな設計ですね。裏押えを取り付けます。

 

 

文字盤と針はリプロ部品なのでしょう。針は劣化表現の夜光の塗り方が雑で、裏側が盛り上がっています。作動トルクはELGIN 539の方が強いと感じます。

 

残念ながら天真の摩耗が進んでいるようで、姿勢差が非常に大きいです。振り角は安定していてブレゲヒゲの効果が分かります。

 

本来は天真の交換が必要な状態ですね。ケース直径が32mmと小径ですので、巨大な竜頭キャップとのバランスが目を引いて、これから夏場に使用したくなるモデルです。

http://www.tomys800.sakura.ne.jp/


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