その前に、こんなのが混じっていました。オリンパスXA2は1980年頃の生産でしょうか。PEN発売から20年でカメラの製造技術は急速に進歩したことが分解してみると実感しますね。
基本的には電子カメラですので私には扱えないのですけど、この時代に多用したモルトの劣化などメンテナンスをしておきます。裏蓋にシールの残りが付着しています。あと、小さな傷もがあるのは残念です。
A11の専用ストロボがカメラに合体するのはユニークな設計。果たして発光はするでしょうか?
古いコンデンサーは通電すると煙を発するので注意をして見ます。少し時間が掛かってパイロットランプが点灯しました。
コンデンサーは生きていましたね。果たしていつまで使えるのかは不明。
このモデルはXAも含めてファインダーが曇りますね。トップカバーを開けて清掃します。ネジはタッピングネジなので締め込みすぎに注意が必要。
フィルム室は劣化したモルトカスが大量に付着しています。本体は樹脂なので古いモルト剥がしに安易に溶剤は使えません。
当時、電車の窓ガラスにこのような画像のコマーシャルが貼ってあったと記憶しています。
では、本題です。ローライ35#6019XXX'シンガポール)ですから新しいので普通であれば問題はないはず。ですが、この個体は電池の液漏れをしているカメラ特有の臭いがあります。まずレリーズボタンが下降した状態で固着していてシャッターが切れません。
ローライ35の場合、電池の液漏れを起こしている電池蓋は必ず腐食の形跡がありますが、この個体の場合は水滴状の物質が付着しています。MR-9型のアルカリ電池を使用していたとすると水酸化カリウムでしょうか? 劇物のようですが仕事柄、手には付着してしまいます。
電池蓋を開けると・・ピントが合いませんよ。前回もありましたが接点が激しく腐食しています。これは作り直すしかありませんが、ローライ35系の場合は電池蓋が組立式となっていて、接触面が腐食することによって導通不良を起こしますから完全に分解清掃をしなければなりません。
トップカバーを開けてレリーズボタン部を点検します。摺動面が電解液のために腐食して固着しています。その他、ローライ35の場合は限られた狭いスペースに回路を収納する必要から、電池室の上に配線やCdsがあるため電池の液漏れを起こすと最悪はメーターの破損や各リンケージの腐食など大きな被害を与えます。全体的にはきれいなのにレリーズボタン座の周辺にポツポツとメッキが浮き上がった個体を見ることがありますが、過去にかなり深刻な液漏れを起こした個体ですので、購入時はそのような個体は避けた方が賢明です。この個体の場合は、そこまでの被害には及んでおらず、絶縁用のテープが粉々になってつや消し塗装が剥離をした程度です。
ご覧のように調整抵抗が腐食により自然に分解されています。液漏れは恐ろしいでしょ。
このような個体でも工賃はほぼ一緒ですからつらいところがあります。電池接点をやり直して本体に戻します。
予想通り、その他は問題はありませんでした。この個体#6019XXXはシャッター/絞りダイヤルネジが普通のクロームメッキではなく梨地クローム仕様となっています。当方の記録でも#6029XXXが同じ仕様となっていますので、この辺りで試験的に仕様を変えたものかも知れません。
次のローライ35ブラック#3397XXX(シンガポール)はかなり使い込まれて状態がよろしくないです。しかし、気になる仕様です。前面の文字部分にへこみがありますね。修正をしておきます。
で、トップカバーの表面処理を見ると材質は真鍮で黒塗装を施されています。
裏蓋底部は恐らく材質が真鍮で、クロームメッキ後に黒塗装をされているようです。真鍮素材のブラックが欲しい方はこの辺のシリアル№を参考に探されたら如何でしょうね。